偶像と書いてあいど…いかりゃくっ☆彡
たった一つの方法とは・・・
かつて、ゲーム時代に一度だけ行われたイベントがあった。
「偶像と書いて…アイドル!!168時間絶唱マラソン☆彡」
その過酷な内容とは…
なんと、イベント開始から終わりまでの1週間、ひたすら「アニソンの歌詞を入力し続ける」というもの。得点は拍手ボタンを押したプレイヤーの数と歌詞の文字数で決められていた。
しかも「替え歌有り」
で、そんな餌を与えられた、このゲームの残念なプレイヤー達はどうなっちゃうのかと言うと…
「俺は…勇者【ピーッ!】だ!見てくれ俺の…」
だの、
「キノコの国から…断固!食材!…食材っ♪」
だの、果ては・・・
「俺の【ピーッ!」が【ピーッ!】で【ピーッ!】」
と、、、最早、新規実装された「放送禁止ワード隠ぺいシステム」の性能負荷試験でもしているのかと疑いたくなるほどに乱れ飛ぶ放送禁止用語・・・
不謹慎なワードはかつて無いほどに溢れかえり、拍手システムがそれをさらに煽る始末であった。
そして。
全1万人が参加したそのイベントにおいて…1週間(168時間)のうち、なんと165時間歌い続けた廃人ソナタが魔法幼女アバターによる人気も相まって見事優勝したのであった。
尚、あまりの惨状に第2回目大会は開かれなかったという。
「…その景品が、伝授不可能魔術。“アイドルソング”。効果はたった一つ。歌い続ける間、俺以外の事を考えられなくなる」
「つまり?」
「…ゲームでは使っている間、敵の攻撃は…全部俺に向けられた」
しかも、抵抗不可能。歌い踊る事しか出来ず、笑顔の固定が発動し続ける条件である。
「効果は…10万人まで。抵抗不可。・・・つまり、」
「そ、それって・・・!囮を通り越して生贄じゃない!だ…駄目だよ!そんなの…絶対、駄目っ!?」
ライラが悲鳴をあげる。
「俺が囮になって引き付けて。だから…」
「やだよ!え…エリザベートさんからも何とか、い、言ってよ!」
狼狽するその様子にも、
「…その間に、皆が殲滅を」
止まらず紡がれたソナタの言葉。
そして、
「ふー…」
義姉は溜め息を吐き出し、諦めた顔でソナタを見遣るのみ。
彼女はこの場の誰よりも理解していた。
―作戦におけるソナタの生還が絶望的であること。
―それでもなお、彼女の義弟が止まらない事を。
そして、ただ悲しげな色を瞳に浮かべる者達を他所にして。
街から離れた山岳地で行うソナタを囮とした殲滅作戦が採択されたのであった。
ソナタの運命は・・・




