希望の光☆ミ
オーク軍が迫る中・・・
…北辺のオーク軍襲来!
…その数10万!
…ロードの存在を確認!
ホーケン冒険者ギルド内の大会議室に設けられた対策本部に、次々と悪い報せが届く。会議室には冒険者ギルドの幹部達の他に、大神殿関係者も詰めかけていた。
「もうひとつ、悪い知らせじゃが…」
いいながら白髪緑眼の老人が羊皮紙を翻し、他の出席者に提示する。
「女王府からの“援軍“の通告。…有り難くて涙が出そうじゃワイ」
「…期日は」
感情を感じさせない冷たい声音で、エリザベートは問うた。
「1週間…とあるが、まあ3日と見ておる。要は…」
「オークと共謀していないと言い張れる最低限の言い訳が欲しい、という事だね」
ポコチーニが老人の言葉を引き継いだ。
「お、爺良かったじゃねえか。中立宣言したお前らだけは助かるかもな?ただし…豚に分別があればだけどな」
「ふぉほほほ…まあ、期待薄であるからに、の。ワシらは人間の敵を前に一時休戦、やむ無く共に立ち向かう、そんな所かの」
「ふん…まあ、別に良いけどな」
「ちょっとお爺ちゃん!」
ばん!とライラが立ち上がる。
「ソナタちゃん達は大事な仲間だよ!?」
「ふぉ」
孫娘のあどけない真っ直ぐさに大神殿神官長のクロードは目を細めた。
「まあ、大人の戯れ言みたいなものじゃて」
「ナニソレ!?」
「まあまあ、それよりも」
ここで祖父と孫娘の対話に割って入ったのはポコチーニである。
「状況を整理しよう」
「北の辺境からオーク10万が迫っている」
言いながら作戦ボードに箇条書きしていく。
「その中にロードという強力な個体がおり、」
「女王の援軍…という名の侵略軍が南から。こちらは後3日で着く」
「戦力は…僕らと神殿軍…足して3000人」
「…」
そこで目を閉じたポコチーニ。
沈黙したまま1分が過ぎた頃、再び言葉を続けた。
「今回は、…打って出る」
「!?」
一堂が等しく固まる。
数で劣る方が都市の防衛力を捨てて、真正面から、というのでは完全なセオリー無視だ。
が、そう提案するのには理由があった。
「まず、今回の戦い、3日で片付ける必要がある」
籠城は通常援軍のあることが前提だ。
それが、あろう事か、今回は逆に攻め手に援軍が来るのだ。
「次にまだまだ都市は一致団結しているとは言いがたいし…籠城の為の物資も圧倒的に足りない。準備不足だ」
「待て…。それは、“せざるを得ない理由”、つまりは愚痴に過ぎねえぞ」
「そう。だけど事実だ。敢えてそうした理由は、たったひとつの議論に集中するためさ」
「100000の大軍をここにいる精鋭のみの戦力で、どう殲滅するか、というね」
「無理だアホ!」
「そうだねでは何が無理なんだろうか?」
「まずひとつ、軍の展開する面積は?」
「良い質問だ。効率よく1m間隔で正方形に並ぶと1辺333mになる」
「その広大な面積を焼き払う?ハッ!?神竜王でも、んな芸当出来なかったがな!」
「しかもうち損じたらうちらをすり抜けた豚共が大挙して都市に直行だな」
「いや…」
方法に思い当たりがある、という表情を浮かべるも、何故か言葉を続けない参謀。
「な…、なんだよ?」
珍しく狼狽えた様子のエリザベートを見て。突如はっとした表情を浮かべるとポコチーニは頭を振った。
「…いや、何でもないよ。今のは無しだ。忘れてくれ。とりあえず…」
と。
ここまで、沈黙したままであったソナタが口を開いた。
「…ある。たった…一つだけ…殲滅するような魔術じゃないけど、方法が」
その発言に希望の光を得た大勢の中にあって。
参謀と義姉が苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべたのは奇しくも同時であった。
「方法」とは一体・・・




