前途洋々・・・?☆彡
前途洋々のホーケン冒険者ギルドですが、、、
キノコ平原にて。
「マジ・・・”イッカクサーッ!”」
青年の突き出した掌から光球が発生し、一直線に飛んでいく。
向かう先には木人の群れ。
そこに飛び込んだ光球は、ボーリング玉がピンをなぎ倒すが如く、木人達を蹂躙していく。
「・・・っし!2連・・・”ファイア・ボルト!”」
次に唱えたのは第3階梯魔術。
的確に放たれた炎が光球の軌道上から免れた木人も蹂躙していく。
殲滅完了・・・その間、わずか10秒。
「・・・っし!」
「・・・うん。状況に応じての使い分けと第4階梯までの実践利用も問題なし。
なかなか・・・いいんじゃないかな?」
頷いたのは検分役のポコチーニ。
「マジすか?俺らHKの元締めから直々に褒められるとか・・・なんか、照れるっすね~」
「それ・・・誤解、だからね?」
トラウマがフラッシュバックして、引き攣った笑みで応えるポコチーニ。
彼らは一体、何をしているのか。
それは、、、
「合格者は・・・、以上。えー、では今回は30名中合格者10名、という事で」
午前が終わり、ソナタは”試験”の結果を発表する。
この試験に合格した者のみ、「戦闘」を伴うクエストを斡旋するのだ。
テンプレな制度に合わせ、
非戦闘のみ=Fランク=実戦で第4階梯が使いこなせない。
戦闘あり=Eランク=実戦で第4階梯が使いこなせる。
とした。
そんな事言ったら本職なのにライラ達は・・・となってしまうが、
実はロイターとライラについてはソナタ達のギルドで訓練に自主参加しており、
それぞれ既にLV300に到達していた。
現在二人は既に第5階梯を使いこなし、第6階梯に挑んでいる最中だ。
「えー、本日はお疲れ様でした!次回の昇格試験はまた来月ですっ!」
「「「あっしゃっしゃーッス!」」」
(・・・どうでもいいけど、体育会系のこの挨拶、元の言葉は一体、何だったのだろう?)
異世界でも現実世界と同じ謎に直面し、思わず首をひねるソナタであった。
―午後。
ギルドに、ソナタを訪ねて一人のお客さんが現れた。
受付併設のティールームで待っている、というその「お客さん」に会う為、
ソナタはギルドマスターの執務室を出て、3階の廊下を歩く。
一瞬、眩しい日差しに目を細めた。暗い部屋で書類仕事に没頭していた為に。
窓の外からは威勢のいい掛け声が響く。訓練生だ。
施設も日に日に充実し、かつて廃墟同然であったこの敷地内には活気が溢れている。
ギルド開設の日から、3カ月が経過した。
ソナタ達の計画は着実に実を結ぼうとしていた。
先日の事件以降、急速に反女王独裁の機運が高まっていく中、発せられた「朝敵」の布令。
制裁を恐れて都市を去る者もいたが、寧ろ反対に集まる人々の方が多かった。
そんな中人々の期待を一身に集めたのは「中立」を宣言した神殿ではなく、
ここ、冒険者ギルドであった。
そして広がる古代魔術。
ソナタ達のスキルは何も戦闘用だけではない。ゴンさんの様に建築のものもあれば、生活に利用できるものも数多くある。それらの技術が広がり、都市は繁栄へと向かい始めていた。
幾何学模様として描かれた曲線美が交差するデザインの白い壁面。
それに指を添わせながら、階段を降りる。
そのまま直通で1階のホールに降り立つと、その訪問者と目が合う。
「―マユカちゃん、もう、体は大丈夫なの?」
「はいっ!お陰様で、この通り元気です!」
元気一杯の少女がソナタを出迎えた。
そう、彼女は元巫女にして、鬼女の素体とされた処からソナタが救い出した、パン屋の娘、マユカ。
全快したという事で今日はソナタにお礼を、と訪れたのであった。
―”ありがとう”と”ごめんなさい”がきちんと人の目を見て言える、育てた母親譲りの真っ直ぐさが心地よい人物。
ソナタが彼女と話して思った感想。とてもあの鬼女の素体にされていた、とは思えなかった。
・・・本人にはとても言えないが。
その後、近況やとりとめも無い話をして、いつの間にかずいぶんと時間が経った。
「あ!・・・すみません。お忙しいのに引き留めてしまって・・・これ、母から皆さんにって」
ガサ・・・
紙袋の口が開くと、そこから漂うパンの仄かに甘い香り。
と。
「おお、美味そうなパンだな。一つもらってくぞ」
通りすがりのエリザベートが、ひょい、と摘み上げていく。
「ああ。いい匂いだねぇ。貰ってくよ」
「ふふっ・・・本当はソナタ君の方を食べたいのだけど・・・このパンも中々美味しそうだね」
「美少女とパン・・・絵になるでござるな。・・・失敬!」
「あら!おいしそうじゃない!」
「お!マジ、パネェ匂い・・・頂きッス」
そして、何故か通りがかった某参謀、美少?の人物、ダメ忍者、某受付嬢、チャラ男HKが次々に通りすがりパンを強奪していき・・・
「・・・無い」
「あの・・・・・すみません」
「あ、いや・・・」
と。
「おい」
強奪犯の一人である義理姉が戻ってくる。
「あのパン、美味かったからもう一個・・・なんだよ。もう無いじゃないか!」
「・・・」
「・・・こうなったら、お前アレだな。・・・責任取ってパン屋にパシッて来い」
「えぇ!?俺が!?まだ一個も食べてないんだけど!」
「まさかお前、その子を一人で帰すわけじゃねえだろ。・・・もうそろそろ夕方になるから色々物騒だしな。・・・送ってやれよ」
「え」
「あの!悪いです!私が勝手に押しかけたんですしっ!」
「まあまあ。そうだ・・・ソナタちょっとこっち来い」
「何?」
肩を組んでマユカから見えないようにすると、彼の義理姉は。
「まあ、あれだ。今日は帰ってこなくてもいいから・・・上手くヤレヨ?」
とんでもない発言と共に卑猥な形を指で作る。
「な・・・何て事、言ってるんだよ!」
「・・・しーっ。声が大きい」
「”声が大きい”ジャナイヨ・・・そんな事したら、・・・色々な方面でアウトじゃねえか!」
「そしたら、・・・面白れぇだろ?アタシ的に」
・・・ニヤリ。
邪悪に笑う義姉。
相変わらずのクオリティに、彼は眩暈を覚えたのであった。
ソナタ=義姉の玩具。
それが世界の約束( ゜Д゜)!




