鬼女 VS ソナタ ☆彡
いよいよバトルが(舌戦ではなく)始まります!
「キノコ・・・キノコ・・・キノコ・・キノコ・・・」
重低音でエンドレスに響く”キノコ”ヴォイス。
ドームの壁面に乱舞する大量の♂マークと♀マーク。
それは、確かにゲームと寸分違わない、決闘領域が作り出した空間であった。
「くっ!な、なんなの、この下品極まりない空間はっ!」
鬼女が苦し紛れに鞭を振るうが、
ブン、というシステム的な音と共に波紋が生じ無効化されてしまう。
「・・・無駄だ。俺達はこの中でどちらかが倒れるまで戦う事になる」
「ならば、お前を殺してこの・・・イカガワシイ空間を出るまで!」
鬼女が地を蹴ると瞬時にソナタの前に現れる。
―縮地。
そして直後に振るわれる鞭、爪、回し蹴り。
だが、
「我が目は未来を見通す目・・・3秒先のいかなるラッキースケベも見逃さない・・・未来視!」
ソナタの目にパステルグリーンの光が宿り、その双眸にブロンドの鬼女が映し出される。
その瞬間、ソナタの脳裏に3秒後の攻撃が映し出される。
「このっ!このっ!またイカガワシイ・・・!やはり!オマエラは粛清!・・・されるべき存在、だっ!」
再び鬼女が攻撃を仕掛けるが、その裏拳はソナタがしゃがんで空を切る。
すると、
「・・・。」
このままやっても無駄と判断したのか、鬼女が一旦後方へと下がった。
そして詠唱を始める。
「我らが女王よ・・・根たる我に更なる力を!」
両手を捧げ言い放った鬼女に天空から光が落ち、更なる変化が生じた。
角が更に厳つくなり、髪はブロンドから黄金の蛇に変貌し、その手に握られたのは、鞭ではなく金棒。
その金棒に赤黒い力が注ぎ込まれていく・・・。
「くっくっく。狭い空間が災いしたな。・・・そのビジョンとやらで見てみるが良い。」
自信たっぷりの鬼女。
―そのはずだ。
鬼女が構えている攻撃は一面の土石流と共に振るわれる金棒。この狭い空間に逃げ場等あるわけがない。
鬼女の髪に成り代わった黄金の蛇がうねる。
「・・・仕方ない。決闘領域、モードアップ!コードネーム・・・”アワヴィ”!」
その言葉と共に、重低音ヴォイスが「キノコ・・・キノコ・・・」から、
「アワヴィ・・・アワヴィ・・・」に変わった。
「ええいっ・・・とことん如何わしい!何なのこれは!」
「ただの食材さ。鍋物が好きなんでね」
「絶・対、言うと思ったわっ!・・・白々しいっ!」
「まあ、冗談はさておき、・・・空間の強度を上げただけさ。なんせ・・・」
言いながら愛のステッキ(LE)を構えるソナタ。
「今から放つ攻撃は俺の最大奥義の一つだからな。」
「それは・・・我らが女王様より賜いしこの力と・・・どちらが上なのかしらね?」
「さあ?見れば分かるさ!・・・我が右手の摩擦がイン・モーに宿りっ!其は雷を生み出すっ!・・・雷弩級乱舞!」
対して金棒も振るわれる。
「蚕食鯨呑っ!崩・落・演・舞っ!」
狭い空間でぶつかりあう二つの災害級スペル。
雷の束が土砂を焼き、貫通するがすぐに次の土砂に覆われ遮られる。
逆もまた然り。
ぶつかり合う巨大な災厄は空間の空気という空気を震わせ、地を振動させる。
そして、その余波で、二人の間を無数の雷光と土石が掠める。
「ーっ!」
今、また、一つの石礫がソナタの頬に一筋の赤を刻み付けた。
見れば中間地点で拮抗する雷と土石の向こう側で鬼女にも相応に焦げた箇所が生じている。
驚いた事に術としての格は同格であった。
これはKKGを超える、どころの騒ぎではない。
―上位プレイヤーと同レベルの威力。
だが。
”上位”と”TOP”には明確な差が存在した。
それは―
「我は請い願う!更なる・・・【ピーッ】を!」
―威力追加。
プレイヤーによりこれまた発動ワードは異なるが、・・・まあ大抵の場合、ロクでもない言葉になっているのは読者の諸兄の想像通り。
そのワードに導かれ、TOPプレイヤーであるソナタの過剰魔力が上乗せされると、
カッ! ・・・・ズドゥウウウウンッ!
地鳴りと共に現出するそれは、もはや「雷」そのものである。
数億ボルトに達する天の怒りは土石を容易く突破し、
「・・・あばばばばばばばばばばばっ!」
鬼女の金棒に直撃した。
あの一撃で死なないのが不思議すぎるが、、、一応、動きの止まった鬼女。
トドメを刺すため、ソナタが動く。
「至高っ!」
瞬時に間を詰め、その勢いのまま音速の貫手を・・・
―ドウシテ・・・
「!?」
突然の声に驚き、慌てて必殺の攻撃を明後日の方向へ逸らす。
理解できない事態に、固まるソナタ。
そこへ、
―ドウシテ・・・アノトキハ・・・
再度、鈴の鳴る様な声で。
その言葉が決闘の空間に響いたのであった。
あくまで食材です。・・・断固食材っ!




