鬼退治☆彡
やってしまった。垢BAN5秒前・・・?(*´Д`)
「・・・え?」
予想外の反発。
それはそうだろう。この街を守る、といって反発されるいわれなどないのだから・・・
だが、
「聞こえなかったのかしら?・・・異議アリだと言ったのよ!」
詰め寄ってくる中年女性。
「・・・それは、どうしてでしょうか?」
「まず一つ、その「皆を守る」というのは誰がやるのかしら?」
「それは登録してくださった冒険者の皆さんですが?」
「―そう。なら、彼らも市民だけれど、”彼らが危険な目に遭う”のは構わないのね?」
「・・・いいえ。そうならないように神竜王を討伐した技術をメンバーに供与する予定です。無論、戦いに身を置く以上、危険は0とは言えないですが我々も最大限のサポートをする心算です」
これを受けてオーバーアクションで手を広げてポーズを取る。
「アハハ!詭弁ねぇ!0ではないのでしょ!?なら、”市民の為”とか言っちゃって結局戦うのも市民、お金を出すのも市民、・・・じゃあ、割に合わないわねぇ~」
「・・・0か、全部か、とは乱暴なのでは?実際に魔獣の被害は看過出来ない程に多いのですが、そちらは放置しておけとでもおっしゃるのでしょうか?」
「それでこの1,000年やってきたじゃないの!何が悪いのよ!」
―悪いのはお前の頭の中身じゃ、このクッソBBA!
と心で叫びながらもソナタは努めて冷静に応酬を続ける。
「それに言ってはなんですが、お金を出すのも市民、ですが、受け取るのも冒険者である市民、なのですが。仮にパン屋でパンを買っても、貴女はお金を払わない、・・・そう、おっしゃられているので?」
「ナンて、なんって人聞きの悪い事っ!全く口の悪いクソガキねっ!一体、どういう教育を受けてきたのかしら!?」
(少なくともお前よりも上等な教育・・・あ、口元の化粧が割れとる・・・厚化粧しすぎクソワロタ)
「そうそう!”口が悪い”で思い出したわ」
ニヤリと笑う女。
「貴方達、・・・ご禁制のイカガワシイ魔術を使っているそうじゃない?」
そう。
この国では女王の支配のもと、ソナタ達「古の魔術師」が使う魔術は子供に聞かせられない「イカガワシイ」魔術として焚書、口伝を禁ずる扱いとなっているのだ。
「これは由々しき問題だわぁ。問題ありだわぁ。即刻、取り潰さないといけないわぁ!」
余裕ぶるクレーマー。
(・・・なんだろう?)
ソナタの中に違和感が広がる。
まるで
市民が力を得て、
生存率が上がって、
豊かになるのが、
―困る。
とでも言う様に。
聴衆もその中年女に不安と不満の混ざった視線を向けている。
それを見て、ソナタは気が付いた。
『鬼女』
ソナタの元いた世界の既女=所謂、鬼女も相当おっかない集団だという話だが、こちらの世界ではリアルな命の危険を伴う脅威。人物を特定されずどこにいるかも不明、女王の端末として動き民衆を内側から操作する恐るべき諜報集団で、・・・加えて戦闘能力を持っているのだ。
どこにいるかもわからない、KKGを軽く超える戦闘力を持った脅威。
それが人々を疑心暗鬼で縛り、女王の圧政を実現する。
以前にロイターから聞いた記憶がソナタの脳裏に蘇る。
つまりこれは女王側からの妨害工作。
だからわざわざセレモニーのこの場で「潰す」事を画策した、という事だ。
―こんな時、「あの人」はどう対応したか。
ソナタの強欲な姉は学生当時、バイトをいくつも掛け持ちしていた。
そんな職場の一つで酷いクレーマーの中年女性に絡まれているのを目撃した事があった。
普段の彼女であれば暴力で解決、、、なのだが、バイトという弱い立場からか彼女は誠意をもって謝っていたように思う。だが、客の態度はどんどんエスカレートしていき・・・
―そうだった。
その後の彼女の行動がヒントになる。
一瞬目を閉じ、それが開かれるとソナタは口を開いた。
「・・・具体的には?」
「魔術」の内容が「何か」は知らないはず。
ならば、具体的な指摘などできるはずもない。
「は?」
「具体的には、と申し上げたのです。我々の魔術の「どこが」イカガワシイのか、今後、改善の為にお教えて頂きたく」
下手に出るように見せて、実際には煽る。
すると鬼女は案の定、喰い付いてきた。
「何が・・・て!・・・そうね、貴方この前の演説で変な事を口走ったそうね?」
もう、だいぶ上気した顔で、冷静を繕おうとするのがいっそ痛々しい程だが、彼女なりに反撃の手を考えたらしい。
「はて。先日、ですか?」
ソナタは内心ほくそ笑みながらつづけた。
「そうよ!あなた・・・ホーケ●などと、如何わしい言葉を連呼したそうじゃない!」
―感情の抑えられないBBAが、とうとうボロを出した!
内心、喝采を上げるソナタ。
周囲が勘違い、もしくは面白がってソナタの演説を「ホーケ●連呼」などといっているが、自分はこの街の名を連呼していただけだ。どこぞで変な噂でも聞いてきたのだろうが、・・・それは墓穴だ。
そう、考えた。
…彼は、あくまで知らない。「自分が本当にホーケ●連呼していた」という事を。
だが、無知は強し。押し通す。
「一体、何をおっしゃっているのですか?この街の名前、『ホーケン』となら確かに言いましたがね?」
「何を言ってるの!?貴女、ホーケ●って言ってたじゃない!?確かにホーケ●って!」
「寧ろ、その言葉、・・・貴方が連呼しているようですが?」
そして、聴衆を振り返り、
「俺は、あの時、確かに!「ホーケン」と!この街への賛美を繰り返していた!・・・そうだよな、皆!」
両手を挙げてアピール。
(え・・・?)
(お前、確かにHKって言ってたじゃん・・・・?)
皆、一瞬思ったが直ぐにソナタの勢いに飲まれた。
「・・・ほ、ホーケン!ホーケンだ!確かにあの時ソナタさんはそう言っていた!」
「そうだ!確かに彼女はこの街を守ると言っていた!」
「ホーケン!ホーケン!」
一斉に発生する「ホーケン」の唱和。
それを受けたソナタは
「どうだっ!いかがわしいのは・・・アンタだ!BBA!」
ビシリと指差す。
と、突如鬼女の顔から表情が・・・消えた。
「もう・・・いいわ。馬鹿馬鹿しい・・・。小賢しい愚民共が・・・」
その言葉と共に鬼女の身体が赤黒い光に包まれる。
「折角、穏便にギルドとやらを潰すだけに留めてやろうと思ったのに・・・」
光の中で様相が変わり始める。
平凡な容貌が、ドギツイ化粧ながらも美しいと言われるであろう整った顔に変わり、ひっつめた黒髪は波打つ豊かなブロンドに。頭に山羊の角、目が紫に。そして、服装が黒い革の露出が多い服に変わり・・・、
「・・・その愚かさ・・・命を以て贖うが良いぞっ!」
手に携えられた三叉の鞭が振るわれたのだった。
本作で登場する鬼女は語られていますように、現実の既婚女性=通称「鬼女」とは全く関係が御座いませんm(_ _;)mアシカラズ!
いつか、ソナタが黒歴史(HK連呼)を知る日は来るのでしょうか・・・?
(;´・ω・)




