カオスなワンマンショー☆ミ
二連投!!
その日。
一年に一度の祭りの日だと言うのに、テッドは自宅で酒を呷っていた。
それもこれも、あの女、ステファニーにこっぴどくふられたから。とても、浮かれた雰囲気の街に繰り出す気分にはなれなかったのだ。
「性格の不一致」
便利な言葉だ。
だが、初めて結ばれた次の日にそんな事ありえるだろうか。
彼は女の部屋で幼女のおパンツを被る様な変態ではなかったし、その他の特殊な趣味や病気といったものにも無縁な、極々平凡な男である。
ただ、少しだけ恥ずかしがりやで寒がりな彼のダガーが紳士然と着帽して姿を現した時の、、、彼女のなんとも言えない苦笑いにこうなる予感は薄々感じていた。
「くそ…あのアバズレめっ!」
ガツンッ!
本日3本目のワインのボトルをテーブルに叩きつける。
そんな彼のもとに、同じ悩みをかかえる親友のジョニーが鼻息荒く現れたのは午後三時。
いきなり彼の肩を掴んでこう叫んだのだった。
「おい!とうとう俺達の時代が来たっ!」
そして、ワケが分からないまま都市で一番デカイ広場へと彼を連行したのだった。
広場につくと、ソコは混沌の坩堝と化していた。
男達がところ狭しと詰めかけ、元々あった座席等無視するがごとく押し合いへし合い。その中に遠慮がちに割り込もうとすれば、突如会場から自然発生する野太い唱和。
「So!na!ta!…So!na!ta!…!」
地響きとなって異様な熱狂が会場を支配しているのにテッドは驚きを隠せない。
その熱狂の中心にいるのは、ひとりの幼女。
その子供…即ちソナタが次の言葉を続けた。
「何度でも言おう!俺達はこのホー●イを、ホーケ●の街を!全力で愛し!守り抜く!何故なら、ホーケ●にしか出来ない事が有るのだから!」
「So!na!ta!So!na!ta!」
「ホーケ●こそ、権利を主張するべきだ!」
その言葉に、テッドは衝撃を受けた。
はじめて…自らの存在を肯定された!
しかも、打算も条件もなく。神のごとき整った容姿の、正に天の御使いにしか見えない存在から!
そして、テッドもまた熱狂する群衆の一人となっていくのであった…。
「皆は!このホーケ●の(町が受けている被害の)現状を知っているだろうか!?」
ソナタが問いかける。
一瞬、静寂が支配する。
(流石に、統計情報なんて知らんよな…)
何処からも答えがないのを見て、ソナタは自らの問いに答えを提示する。
「(魔獣の被害が交易の取引額に及ぼす影響は)3割だっ!人も沢山傷ついている…最早、他人事ではない!」
「おおおっ!」
興が乗って台本を棄ててしまったソナタは大事な部分を適当に省略したため、エライ誤解を招く表現をしまくっている事にも気がつかず、熱に浮かされた頭で更に暴走する。
「誰もが(魔獣被害の)当事者であるといっても良いだろう!」
「So!na!ta!So!na!ta!」
(不味い!流石にドクターストップだ!?)
とうとう我慢できずポコチーニが、ソナタを止めに入ろうとするが、
「例えば、、、」
そういって振り返ったソナタは向き直ると、親指で近づいてきた後ろの青年、つまりポコチーニを差し、
「こいつも…、皆の仲間だっ!」
(ひぃぃっ!)
「ち、ちが・・・・」
「おいおい。そんなに恥ずかしがらなくても・・・いんだぜ?俺たち(この街を愛する)仲間だ、そうだろう?」
―ニヤリ。
ソナタが不敵に笑う。
無論、1ミリも悪気はないのだが。
そして、司会者の女性がそんな彼を見る目が・・・とうとう無機物を見るソレに変わってしまった。
・・・悪夢の如く進行する悲喜劇に、ポコチーニは石像と化した。
変態が撃沈したため、いよいよ止まらなくなったソナタの大演説は予定時間の十分を越え、、、
「・・・1人の、ホーケ●民として、、、」
「So!na!ta!So!na!ta!」
「・・・さあ!一緒に唱和を!・・・ホーケ●ッ!ホー●イッ!・・・」
「So!na!ta!So!na!ta!」
「・・・ホーケ●による!ホーケ●の!ホーケ●の為だけのギルドを!・・・」
「So!na!ta!So!na!ta!」
(いける・・・!皆、ギルドの理念にこんなに賛同してくれてっ・・・!)
一人の勘違い幼女が生み出す、止まらない勘違いとカオスな空気の中、それは、延々と続いた。
やがて、1時間を経過する頃、ようやく言いたい事を全部吐き出したのか、それとも単に体がキツくなったのか、ソナタがやっと締めの口上に移る。
「皆!ここから!守り抜く為の闘いを!ホーケ●を守り抜く為の闘いを!ホーケ●の皆と一緒に冒険者ギルドで始めようじゃあないか!」
「So!na!ta!So!na!ta!So!na!ta!…ウオオ!!」
「声援ありがとうっ!ありがとう!やる気の有る者は是非神殿に設置した受付所へ、先ずは冒険者登録に来てくれ!俺からのお願いは…以上だ!」
「So!na!ta!…So!na!ta!…So!na!ta!…」
颯爽と壇上を去るソナタの背中に向けて。
彼の信者となった男達の歓声と拍手はいつまでもなりやむことは無かったという。
余談だが、、、後日。
冒険者志願者は(男ばかり)大量に殺到するも、
逆に事務員や受付嬢はいくら募集をかけても集まらず、、、
「…あれ?」
首を捻るソナタの姿が見られたそうである。
ポコチーニ、哀れ…(。´-д-)




