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反撃の狼煙☆ミ

「ゴザル!」


巨竜の前肢が地を踏み締める刹那、音速を越えたソナタが滑り込み、ゴザルを掴んで離脱。


直後、大地が震える。


『猪口才な小娘がっ!』


目の前の侵入者を仕留め損なったばかりか二人に増えた事に、巨竜が憤怒の咆哮を上げる。


そして巨大な顋が上空に向き、周囲の空気という空気を取り込んで胸が膨らむ。

それはブレスの準備動作に過ぎないにも関わらず周辺を暴風の渦のただ中に変容させる。


ソナタは音速を越えた速度で、暴風に歯向かい、

ゴザルを抱き抱えたまま、高く上空に翔んだ。


空中で逃れ得ぬと見た巨竜は、これを目掛けてブレスを放った。


軌道上の空気まで凍りつき、その破片が乱舞する死の猛吹雪。


それが自らに迫るのを視認したソナタは、短く発する。

「自由落下で彼女のおぱん…、以下略!」

スペルの変更よりランクがもう一段落ち、消費は10倍の詠唱短縮。通称以下略。


スペルに呼応して、二人の体が急落下し地面に吸い寄せられ、そして激突寸前で止まる。

自由落下とはつまり、空中からの急降下をもたらす魔術であった。


竜も予想外に避けられたことを悟ったが、如何せん最大限のブレスは一度上に向けたら最後。

その勢いゆえに下方に軌道修正は出来ず、虚空を凍りつかせるばかりとなった。


ほんの少し得られた息つける間に、ソナタは抱え込んだゴザルを見た。

どちらかというと平常時は脂肪質で白っぽいはずの彼の顔が、赤黒くなり唇も紫色に変じていた。


「我が右手は灼熱!摩擦の力で心棒に炎を灯すモノなり!…拡大治癒(エクステンドヒール)!」


早口で発した治癒の魔法で、見るまにゴザルの血色が戻り…、


「…駄目では、ござらぬか。主が忍びを救うのに命をかけて。…我が主はおおうつけに、ござる」


その細目が開いた。


「ゴザル!」

「それにしても、パンチらに自慰行為…、全くろくでもない魔術ばかりにござるな。この世界は」

「ああ!全く違いない!」


「さて」

ゴザルが起き上がる。


「ソナタ殿」


「ん?」


「正直、さっきまで・・・」


「さっきまで?」


「怖くて…震えて動けなかったでゴザルが…」


そして彼の主の前に進み出る。


「今はこれっぽっちも感じないので・・・ござるよ」


構えを取る。


「某も軽率な主に感化されてっ!全くもってっ!心底!とんでもない阿呆になりもうしたわっ!」


宣言すると同時にゴザルが駆ける。

その捷さはブースト無しで先程までのソナタに勝り残像を生み出す。


向かう先の巨大な竜はブレス後の硬直が解けたようで、破壊の爪を振るうが、その切っ先は残像の一つをなぞっただけだった。


「某が回避盾の役を仕る!主は隙を見つけて攻撃を!」


幼女とオタク忍者。

今まさに、二人の反撃が始まろうとしていた。

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