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第祝日 過ごす宇宙人。

 学校にて。

 放課後になり、これから勉強しようか、それともどこか寄り道しようか迷うこの夏。ぎらぎらに光る太陽が俺達を照りつけ集中力を切らそうとする。

 しかしもう放課後。その集中力も必要ない。

 帰宅の準備を始めて、教室を見る。未来を見た俺はみんなを救うためにあちこち動き、結果このクラスから嫌われる立ち位置になったわけだが、それもみんなのフォローなどですっかり冗談だったということになっている。

 ありがたいことだ。

 そのみんなに話しかけようと横を見る。

「あついね・・・」

「Oh・・・」

 そりゃ息も出るわ。

 横にいるのはもちろん姫岡小花ことヒメちゃん。小さく、すこしぽっちゃりしていて顔は完全に女の子。髪の毛もそれなりに長く、セーラーとか着ても違和感がないヒロイン。

 そんな彼女・・・じゃなく彼はワイシャツの襟の部分をぱたぱたしながら涼んでいた。暑さによる微量の汗と上気した頬が赤く染まっているその姿は可憐だという感想以外出てこない。

 おかげでこのように長い描写になってしまうのだ。

「希くんは暑くないの?」

「Ah~」

「な、なんでさっきからそんな反応なの・・・」

 困っているヒメちゃんも可愛い。

「ヒメちゃん最高に可愛いな」

「可愛くないよ!」

 真っ赤になって否定する姿もGOOD!

「そういえば、希くんはハルンさんと付き合うことになったんだよね」

「はっ・・・」

 そこではたと気付く。

「すまん、ヒメちゃん!大丈夫、結婚するならヒメちゃんだと思ってるから」

「全然大丈夫じゃない・・・」

 待てよ・・・。ヒメちゃんは男だからどんなにスキンシップをとろうが浮気にはならない。なるほど、さすがヒメちゃん。いつでも性別を自由に変えることで言い訳がしやすいぜ。

「というかさ」

 そんな話をしていると後ろから声がかかる。

「空人」

「お前らなんか恋人らしいこととかしてるの?」

 恋人らしいこと・・・?

「例えば?」

「デートとか]

空人のその回答を聞いて確かにデートらしいデートをしたことがないということに気付いた。

「駄菓子屋とか行くのはデートじゃないのか・・・?」

「いや、小学生かよ・・・」

 呆れられてしまった。だってしょうがない。ワン太はなぜかそういうことに興味があるのだ。どうやら駄菓子屋はグリーン星にはないらしい。

 珍しいものをみたいという彼女にはぴったしだと思っていたが・・・。

「まさか・・・無理、しているのか?」

 デートらしいデートをせずに今日まできてしまったが・・・それはまずいことなのかもしれない。というかそもそもデートって何をすればいいんだよ。

「分かったよ、2人とも。俺、頑張ってみる」





 そんな帰り道。

 今日もなぜかワン太は駄菓子屋に興味津津で500円でかなり買えることに死ぬほど驚いているみたいであった。小学生のころは300円をやりくりとかしてたもんな。

「ここは素晴らしい場所ですね」

 笑ってはいるものの・・・。

「ワン太、デートらしいデートをしたいとは思わないか?」

「?デートってこれもデートなのでは?」

「いや、たぶんこれもデートではあるのだと思うけれど・・・」

 分からない。

 でも映画やらを見に行く方がデートらしいと言えるのではないか。

「私はこのままでもいいと思いますけれど」

「え?」

「私は珍しいものが見たいんです。こうやって素朴に歩いたり、何かするのが好きなんです。ノゾムと一緒ならもちろんなんでも面白いんですけれど、こういう日々も大切にしたいんです」

 そう言って笑うワン太はとてもかわいかった。

「ノゾムは気にすることないんですよ。どれだけキスが逃げ腰っぽくても私はそんなところも含めて大好きですから」

「今、それを言うな」

 いい話だったのに、台無しである。

 珍しいという意味では俺が一番体験している。それこそ宇宙人と付き合うことが、だ。

 ならば日常を過ごそう。

 たまにはデートらしいこともしよう。

 全部して、やることがないねと笑えるぐらいになろう。

 時間はたくさんある。

 地球があり続ける限り、俺とワン太は続いていく。


これでこのお話は終わりとなります。60ちょいの話ではありますが、読んでいただきありがとうございます。

前回やったのが1話完結型の小説だったので章ごとの話をやりたいと思って書いたのがこの小説でした。


新しいものを今、書いているのですがいくつか候補があり、どれを投稿するかが決まっていません。


では他の作品などでまた。

ありがとうございました。

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