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唐突にお隣さんは宇宙人。  作者: 花澤文化
第6章 終わりゆく世界の中で
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第59日 知る宇宙人。

「どういうことだワン太。なんなんだ、今までの全てのことは!」

「落ちついてください。それと私の名前はワン太ではありません。ワルディード・ハルン・タブレースというのが私の名前です」

 動揺する俺を冷たい目で見降ろすワン太。このやりとりは前にもした。初めて会い、俺がつけたあだ名。でもまるでそれがなかったかのようにふるまっている。いや、振る舞っているんじゃなくて、これは本気でなかったことになっているのか?

「まず、1つ1つ説明していきます」

「ああ・・・」

 そのワン太の目を見ているとなぜか少し冷静になれた。たぶん動揺している恥ずかしい姿をワン太に見られたくなかったからだろう。

「私はグリーン星の姫、ワルディード・ハルン・タブレースということまでは大丈夫ですか」

「大丈夫だ」

 今更そこは疑わない。もうすでに色々と現実離れしたものを見てきたからな。

「まず、今までのは全て夢です」

「ああ・・・・・・ってはい!?」

「今まであなたが見てきたものはここ」

 そう言ってワン太はたくさんの機械を1つ1つ指さしていく。

「ここにあるこの機械達で見せた夢なのです」

「えーと・・・つまり夢オチだったと?」

「はい、ある意味そうですね」

 なんだそれ・・・夢オチって・・・おいおい・・・。

「そんなの信じられるわけないだろ。だって今までのが全て夢、この機械で見せた夢だなんて・・・空人もヒメちゃんも神崎さんも椿野もシキブさんもバズーカちゃんもそれに・・・お前も。それが全て架空のものだったなんて信じられるかよ!」

 人物はもちろん、思い出も、だ。今振り返ればたくさんのことがあった。学校祭やら、夏休みやら。バカ騒ぎもしたし、真面目な話もした。

 そして何よりみんなの思いだ。それは友達に対するものだったり恋愛に対するものだったりしたが、それが全て嘘でなかったことになるなんて、おかしい。理不尽すぎる。

「信じられない・・・宇宙人を信じているのでしょう?ならば、あなたに夢を見せるぐらい簡単だと思わないんですか?」

「ぐ・・・」

 確かに俺はテレポートやらを見ているからな・・・。今現在夢を見れる枕などもあるわけだし、宇宙人がそれぐらいできないわけがない。

「それに全て嘘、というわけではありません。確かにあなたの築いてきた時間はなくなりました。それはあなたの時計を見ても明らかでしょう」

 俺の時計は進んでいない。こいつがいじったと考えることも可能だがそれをする意味も見当たらない。

「ですが、嘘でない部分があります。それは夢です」

「・・・・・・」

 ますます訳が分からない。

「私が考えた夢をあなたに見せたわけではないのです。あれはあなたの、地球の運命です」

「運命・・・?」

「簡単に言えばあなたが地球でこのまま過ごすとああなるわけです」

 ああなるってみんなが死んでいくあのことか?

「あなたの未来をこの機械をつかってみせていたのです。理由は簡単。あなたに地球を救ってほしいからです。あなたにいきなり地球を救えと言っても信じてくれないでしょう」

「それは・・・まぁ」

 宇宙人すら信じてなかったからな。

「だからこそあえてあなたにあの辛い夢を未来を見せたのです」

 あの夢が本当だとするならば、説得力は抜群だ。

「そのために拉致することになりましたが・・・」

「えぇ!?」

 つーか忘れてたけどここどこだよ!

「UFOでしたっけ?あなた方の言葉では。その中ですよ。あなたをさらってここに連れてきたのです。そして今まで約、10分」

「10分しか経ってないのか・・・?」

 俺は夢の中で約8、9カ月もの時間を過ごしてきた。しかしそれはあくまで夢の中の話で、現実では10分しか経っていないということか。

「・・・・・・あなたは今までのことが夢だったと信じることにしたのですか?」

「ん?あぁ、そうだな。みんなが死ぬのが夢だったわけだし。あれが未来ならみんなの気持ちがなくなるわけでもない。それにお前の言うことだし、信じることにした」

「・・・・・・・・そうですか」

 そう言うとワン太は少し間をつくってから、

「では白木希、話の続きをします」

「・・・・・あぁ」

 なんとなくフルネームで呼ばれ傷つく俺。うん、まぁ、夢だったんなら仕方ない。夢でのワン太は異星人とのコミュニケーションのため、テンションを上げていたのだろう。確かにシキブさんに対してもバズーカちゃんに対しても割と静かだったしな。

「私は地球が好きです。それは小さい頃の話ですが、昔、私の祖母が地球に行ったときのことを話してくれたんです。それですごく綺麗な場所だなぁ、と」

「へー・・・」

 てか、あの抉れた山の抉りってワン太のおばあちゃんがつけたんじゃないだろうな・・・。

「だからこそ守りたいと思ったのです」

「いや、それには賛成だよ。俺も俺の住む地球を、人を守りたい」

「そうですか・・・では今回宇宙人、グリーン星人がどうやって地球を滅ぼそうとしたのかについてですが・・・・・」

「それは確か不運を持ちこんだからだろ」

「そうです。不幸の指輪があるようにグリーン星人は不幸を操作することができるのです。それは恐怖のない星であるところからも分かるとは思いますが」

「ああ」

「しかし、グリーン星と地球は大きく距離が離れていますし、人を死なすほどの不幸を移動させることは不可能です。不幸の指輪に不幸を詰め込んでも、あまり意味はありません」

 確かにあのサイズだとたいした量の不幸を詰め込めないだろうな。

「だからこそ、グリーン星は人に不幸を詰め込めたのです」

「なっ・・・!」

 そんなことが・・・。

「いや、待て!詰め込まれた方の人間はやばいんじゃないのか・・・?」

「えぇ、不幸の指輪をつけた人間でさえ厳しいですからね。だからこそ、不幸が起こってもそれをぶちぬくぐらい規格外の人間に詰め込んで、地球まで行くように仕向けたのです」

 しかしそこで普通のことに気付く。

「そもそもなんで不幸や不運を地球に押しつけるんだ?」

「それはグリーン星の不幸や不運をなくすためです。不幸の指輪程度じゃ恐怖はなくならない。だから他の星に飛ばして自分たちの星の平和を守っていたのです」

「そんな・・・」

 じゃあグリーン星のせいで関係のない星がなくなっていったってことか?それでみんなは・・・。

「話を戻します。その人間の話ですが」

「・・・・・・まさかワン太、とかいうオチじゃねぇだろうな・・・」

「違います。私、もとい夢の中の私は普通の宇宙人と同じですよ。正解はノウンです」

「ノウンさん・・・?」

「あの子は常に不幸を押しつけられていました。そしてその不幸が他の人にいかないよう、閉じ込められていたのです。様々な知識が詰め込まれ大事な宇宙人、という肩書で」

 異星でみたノウンさんの強さは半端じゃなかった。規格外、確かにそうだろう。

「夢の中であなた方がたどり着いた星の1つの国が滅んでいたのです。それは七実空人とシキブが知っていましたがね。そしてノウンが滅ぼした星にたどり着いたのは偶然ではなく、私を連れ戻すために宇宙船の移動をする際、間違って以前来たところにワープしてしまったのです」

 そうでなければあのノウンが宇宙船を操作することなどできるわけないですし、星にたまたまワープだなんて確率はほぼ0ですからね、と言う。

 広大な宇宙の中、適当に宇宙船をワープさせて星につくなんてありえない、ということか。

「じゃあ、あの黒い指輪は・・・?」

「あれはこの機械の管理者専用装置です。あれで見せる夢を選べたりするのですよ。夢の巻き戻しや早送りもできます」

 それであの指輪から俺の絶叫が聞こえたのか。あれで全てが操作できたのなら納得だ。

「でも処理し忘れたり、バズーカに拾われたり散々でしたけど。ですが、あの素材は元々夢のなかではないもの同然なので調べたりしても意味ないですけどね」

「そこはわかった。それで俺は具体的に何をすればいい」

「あることをしてほしいのです。あなたの夢を私も見させてもらいました。それでその夢を操作したのです。ああしたりこうしたり、色々と部分部分を変えて」

 気を悪くしたのなら謝りますと言うが俺は気にしていなかった。

「夢を操作しても夢は夢。運命を映し出すテレビと同じようなものですから意味はないのですが、その繰り返しで見つけました。唯一地球を助ける方法を」

「それは・・・なんなんだ・・・?」

「今から挙げるものを全てまっとうしていただきたい」

 そう言うとワン太は指を1つ立てる。

「1つ、七実空人、姫岡小花、神崎阿国、椿野春風、猫柳巫。この5名と知り合うこと」

 またもう1つ指をたて、

「2つ、猫柳巫の母親を助けること」

 さらにまた指を立てる。

「3つ、七実未空を宇宙人の力なしで助けること」

 そして今度は指を立てずにどこかへいき、すぐに戻ってきた。手に持っているのは子供が持つおもちゃのピストル。引き金をひくと、音と赤い光が点滅するようなちゃっちい作りであった。

「最後に、このピストルで宇宙人を1人撃つこと」

 ワン太は俺の目を見て言う。

「この4つをこなすと、運命が変わります。それを白木希、あなたにやってもらいたいのです」

完全に説明回。次回からは少し動きがあるんじゃないかなぁと思います。


なんやかんやでもう終盤。このままいけば今までの自分の作品の中で最短で完結しそうです。3年とかかかりましたからね・・・前作。しかも日常系なのに・・・。


ではまた次回。

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