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唐突にお隣さんは宇宙人。  作者: 花澤文化
第1章 宇宙人は唐突に
6/69

第5日 最初から何かを抱えてる宇宙人。

「・・・・・・・・」

 毎度毎度本当に時間が飛んでいる展開で悪いのだが、今回はしょうがない。前回も回想からだし今回もかよ、という言葉は受け止めておこう。今回も回想から。

 ということには実はならない。なぜなら回想すべきことがないからである。

 しかし今は自分の部屋。あれ?かっこよく説得がどうのこうのって・・・。

 回想すべきことがなく、それでも俺は部屋にいる。なぜか。簡単だ。一瞬でやられてしまったのである。ボコボコとかじゃない。顔面殴られて終了。手癖悪すぎだぜ、こんちくしょう。

 そういうわけで俺の部屋。大家さんに手当てされている最中だった。

「もう、育ち盛りね☆」

「えぇ、まぁ」

 本当は見つからないようにしたかったのだが、鏡で見ていると予想以上に腫れていた。唇が切れて血が出ている。自分で手当てしたらそれ相応の大きなガーゼをつけることになってしまい、結局ばれた。

 誰がこんな血なまぐさい展開を予想しただろうか。

「で、どうしたの?」

「階段で転びました」

 大ウソである。階段で転んだ怪我にしてはやけに被害が一部分に集中しているし。

「うんうん、私もよく転ぶんだー。なんでだろうねー」

 信じるのかよ。

 あと足腰の弱りが原因じゃないですかね、恐らく。

「私、こんなにぴちぴちなのに。私、18歳なのに」

「おい」

 前半は否定しないでおくが、後半は無理がある。

「はい、できた」

「ありがとうございます」

「うん、ようやく消毒液開けれたよ」

「全然できてねぇ!」

 初歩の初歩じゃねぇか!あと開けにくいなら俺に頼め!

「よいしょ、よいしょ」

「何してるんですか?」

「包帯が持てなくて・・・おもーい☆」

「・・・・・・」

 非力アピールにもほどがあった。というか包帯いらなくね?

「はい、今度こそできたわ」

「ありがとうございます」

 俺は手当てしてもらったところをガーゼの上から軽くなでる。少し痛むがやはり怪我自体を見なくていいのは大きい。痛みが和らいでいく気がする。

「じゃあ、何か必要なことがあったら言ってね、きゃるん」

「じゃあ、その無理のある若作りをやめてください」

 無視された。

 でも感謝すべきことはきちんと感謝しよう。後で何か買ってきて渡そうか、などと考えていた。

「大丈夫ですかー・・・?」

「・・・・・よ」

 ドアを開けながらおそるおそると言った様子でこちらを見る宇宙人、ワン・・・なんたら。

 どうやら少し罪悪感があるらしい。

「別に怒ってないよ。逃げようと思えば逃げれたし。あれは俺の判断」

「で、ですが・・・」

 どうやら宇宙人は俺の怪我を見ているらしい。

「いや、平気。だから気を遣わなくていい」

「そ、そうですか・・・?」

 宇宙人がゆっくり入ってくる。

「あの・・・本当に申し訳ありませんでした!ただ恩返しをしたい気持ちがありまして・・・」

「いや、だからいいって。むしろそんなに謝られたら俺だって謝りたくなる」

「な、なんでですか?」

「侵略って意味を一方的に取り違えていたからな」

「それは私が説明していなかったからで・・・」

 と、なんか謝り大会になりそうだったので、話を終わらせるためにも自分が話したかったことを話して話を変えることにした。

「で、なんで俺とあの不良をぶつけようとしたんだ?」

「え・・・?」

 ぶつける、っていうのは言葉通りの意味ではなくて不良の相手をさせたんだ?という意味である。一応補足。

「いくらなんでも話が早急すぎる。なんで急に俺に不良を説得させようとしたんだ?」

「それは・・・私があなたが傷つくこと前提で不良にあたらせた、ということでございますか?」

「これは今まで以上に失礼かもしれない。違ったら俺を責めてくれ」

 マゾとかでなく。

「・・・・・・今は言えません」

「・・・・・」

「ですが、必要なことなのです。こんなにはやくばれるとは思いませんでしたけど」

「そうか」

「もちろん、あなたのことを考えてのことなのです」

「わかった。いいよ、言えるようになったら教えてくれ」

 俺はコンビニに行くために部屋から出ようとする。

 慣れないことはするものじゃない。もう二度と殴られるのはごめんだ。

「・・・・・でも」

 宇宙人。予想通り、こいつただただ地球に落ちてきたわけではないな。『何か』がある。

 そう確信した。








「ど、どうしたのそれ!?」

「あー・・・」

 やっぱりそうなってしまうよな。半ば諦めた気持ちで学校に来たんだけど。

 翌日の学校。教室にてヒメちゃんに驚かれてしまった。もちろん、怪我が原因で。

「階段で転んだ」

「階段でできる怪我じゃなさそうだけど・・・」

 やはり誤魔化しきれない。アラフォーのみである。まぁ、大家さんも何かを分かっている顔していたけれど。バレてるんだろうなぁ、きっと。

「いや、実は唇を殴打しちゃってね」

「お、おうだ・・・・・」

 困惑している。俺は嘘をつきとおす。理由は簡単で、ここで俺が真実を言ったら友達思いのヒメちゃんはきっと自分のせいだと責めるだろう。

 逆に友達だと思ってくれていなかったらショックだが。

「で、でもそれ殴られた後みたいになってるよ・・・?」

「階段で殴打したあと、その傷を自分で殴ったんだ」

「なんで!?」

 変態ここに生まれる。

 完全に誤解される言葉であった。後悔なんてもんじゃない。もっといい言い訳があったんじゃないか。

「どうしてそんなことしたの・・・?」

「いや、その・・・」

 これ以上自分を変態にするのはごめんだ。

 マゾ野郎で一年間過ごすなんて悲しすぎる。

「殴られるのが好きだから」

「えぇ!?」

 俺、終了。俺という人生終了。

「そうだったんだ・・・」

「いや、いままでの全部ウソ」

「えぇ!?」

 この日はヒメちゃんをひたすら混乱させて終了となった。

 すまぬ・・・。








 さらに翌日の帰り道。。リュックサックに見慣れぬ制服。恐らく見慣れないのはそれがブレザーで中学の制服だからだろう。そんな女の子が、俺の目の前を歩いていた。

「よ、猫ちゃん」

「あ、お兄さん」

 お兄さん、というのが少しむずがゆいがしょうがない。しょうがないというかもっとお兄さんと呼んでくださいと頼みこんでもいい。

「どうしたんですか、その腫れ」

「・・・・・・」

 忘れていた。あまり知っている人間には会わないでおこうと思っていたのに。高校以外で知ってる人間って大家さんか猫ちゃんしかいないけれど。

「階段で転んだんだ」

「嘘ですね、それは殴られた跡みたいな感じです」

「・・・・・・」

 取り繕う暇さえなかった。ヒメちゃんのようにはいかないらしい。

「まぁ、ちょっと喧嘩をね」

「嘘ですね、それ一方的な暴力っぽいです」

「・・・・・・」

 敏腕刑事か。

 なんで分かるんだ。

「猫ちゃんに隠しごとしても意味ないか・・・」

 俺は少ししんみり、というか達観した感じで話しだす。

「これは俺が自分で殴ったんだ。これなら一方的な暴力に見えても仕方ない。うん、仕方ない」

「嘘ですね、それは金髪っぽい不良に殴られた跡みたいです」

「・・・・・・」

 もう刑事でもない。

 まさか猫ちゃんも宇宙人だったパターンなの?これどう考えても能力としか思えないけれど。

「なんて、嘘ですよ。私一部始終見てました。かっこよく立ちはだかり殴られた姿を」

「なんてこった・・・」

 かっこ悪すぎる。

「本当はかけよろうとか、殴らないで!って彼女のふりとかしようとしたんですけれど・・・お兄さんあまりにも真剣に殴られているので」

「語弊がある」

 言い方に気をつけてもらわないと。

「うーん・・・でもなんでもっとボコボコにしなかったんでしょうね」

「え?」

 それはボコボコにされればいいのにという遠回しな攻撃?

「違いますよ。だってあの人いかにも不良!って感じで。なのに一撃でお兄さんが気を失ったわけでもないのに、そのままスルーってなんかおかしくないですか?」

 俺が起き上って背後から殴られるかもしれないのに、その可能性を無視した。そういうことなのだろう。一理あるな。

 これはもしかしたら不良の方にも『何か』があるのかもしれない。

「で、あの不良さんをどうするつもりですか?」

「仲間にむかえるんだよ。最強のパーティーだ。猫ちゃんも入れてあげるぜ」

 すると猫ちゃんは笑って・・・。

「ぜひ、不良さんを仲間に入れたら誘ってください。では、さようなら。マゾ兄さん」

「誰がだ」

 意外と口達者な猫ちゃんであった。

今回は少し短めになってしまいました。


今はこの物語は仲間集め、の段階です。いろいろやるまでに時間がかかるスロースターターな話ですが、ぜひ、お付き合いください。


ではまた次回。

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