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唐突にお隣さんは宇宙人。  作者: 花澤文化
間章 恋騒乱、夏心地
32/69

第31日 見合って黙る宇宙人。

「好き・・・ってその、恋愛感情ってこと?」

 僕は言ってしまってからなんてバカな質問をしてしまったんだと後悔した。この感じ、照れてる神崎さん、どれをとっても彼女は恋をしている。

「うん・・・たぶん・・・」

「・・・・・」

 ということはきっと相談も恋愛絡みということになる。でも、空人くんの好きな人はシキブさんだ。最近彼は明日風くんのことで大変そうだけれど、今でもそれは変わってないと思う。

「えっと・・・相談ってそのこと・・・かな」

「なに困ってんのよ。別にそんなおどおどしなくてもいいわ。もう・・・知っているから。七実くんがシキブさんを好きなことぐらい」

「え・・・?」

「今度はなに驚いてるの・・・。姫岡くんが分かったように七実くんすごい分かりやすいじゃない。見てれば一目瞭然。学校祭のときにもうぼんやりとそうなんじゃないかなぁって思ってたんだ。あたしもその時には自分の気持ちをぼんやりとしかとらえられてなかったんだけど」

 ってことは振り向いてもらうために頑張りたいということなのだろうか。

「あたしが協力してほしいのは、告白するときに少し背中を押してほしいということなの」

「あれ?」

 しかし神崎さんの答えは少し違うものだった。

「ふられる手伝いをしてほしいの」

 神崎さんは泣きそうな顔をしてそう言った。

「気持ちは伝えたいから。だから背中を少しだけ押してほしいの」







「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 俺は空人と目を合わせる。俺の家、現在シキブさんと明日風が対面中である。だが先ほどから無言。無言。無言。明日風は気まずそうな顔をしているが、シキブさんは特に表情を変えていない。それが逆に明日風へのプレッシャーになっている。

「じゃ、じゃあ、ここは若いお2人に任せまして・・・」

「おい!逃げるのか!」

 俺が去ろうとしたときに空人に止められる。そして端の方まで連れていかれて小声で話す。

「いや、俺ワン太と話したいし」

「それはこの状況を打破するのより大事なことなのか!」

 いや、打破とかできないだろ。シキブさんが好きそうな話なんてそういえば俺も知らない。というか好きな話したところでこの状況は変えられない。

 シキブさん・・・・・少し、もう少しでいいから愛想よくしてくれ・・・。

「確かにこれは俺が言いだしたこと、希に無理矢理手伝わせることはできない。でも・・・でもな、俺が完全に当てにしていた小花くんが・・・」

「ああ・・・そうだったな・・・」

 俺らはヒメちゃんを見る。

「・・・・・・・・」

 なんかすごい上の空だった。ヒメちゃん、何があったんだ・・・。

「なぜか無言な人間が3人もいるんだ、こんな状況俺にどうしろと!」

「いや、確かにそうだけど・・・」

 予想外ではある。

「い、いや、待て!さすがに明日風!何か会話の糸口を探そうとしている!」

 再び残念お見合いに意識を向ける。

 すると明日風が何かを話しだした。

「あ、あのー、シキブさんの趣味とかってなんですかね・・・・・?」

「ないです」

「あ、えと、じゃあ好きなこと、とかは?」

「姫様観察。姫様の成長を見守ること。姫様に奉仕すること。姫様を可愛がること、です」

「は、あはは・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

 なにあれ・・・。どうしたらあんな地獄みたいな空間ができるんだ。というかシキブさん、姫様とかってあんま言わないで!明日風何も知らないから!

「というかシキブさん会話続かす気あんの・・・・・?」

「もう俺はなかったことにしたいよ、このお見合い・・・」

 ちなみに俺が少しだけ期待していた大家さんは今日はいない。こういうときこそ大家さんみたいな人が必要なのだが、タイミングが悪かったらしい。

「こんにちはー」

 するとそこに猫ちゃん登場。たまたま遊びに来たらしい。

「えーと、愛ちゃんいますか?」

「猫ちゃん!」

 俺はそこにダッシュでかけよる。

「大家さんをここで待とう!大丈夫、俺が最高のおもてなしをしよう!」

 最高どころか最低をも下回るおもてなしになりそうなことは伏せておこう。

 猫ちゃんを奥の方に無理矢理連れて行く。

「え、え、でも迷惑なんじゃ・・・」

「いや、全然迷惑じゃない!むしろ俺が迷惑かけるというか」

「・・・・・なんかお兄さんあやしいです」

「前から気になってたんだが、なんでお兄さん?希の妹なのか?」

「いや、違うけど、でも待って。それどころじゃないだろ」

 今はこれを打破しなければ。

 そうしないと俺はワン太と話すこともできない。

「猫ちゃん、あれを見てごらん」

「え・・・?・・・・・うわぁ・・・」

 そして事態を理解する。そして帰ろうとする。

「待って!お願いだから!」

「嫌です!絶対に嫌です!」

 醜い言い合いが続く。というか高校生が中学生に懇願する様はちょっと情けなさすぎるような気がする。しかし気にしない。俺の体裁など、好感度などどうでもいい。

「というか私、ご両名ともあまり知らないんですけど」

「でもなんとなく猫ちゃんならどうにかできる気がするんだよ」

「私はただの中学生ですよ・・・」

 その中学生にはない貫禄があるんだよ・・・。

「あ・・・」

 そこで部屋からワン太登場。俺と目が合うとあからさまに目線をそらす。

「くっ・・・」

 俺は猫ちゃんを空人に任せてワン太に頼みこむ。

「ワン太!」

「・・・・・・・・」

「宇宙人の力が必要なんだ」

「・・・・・・・う、宇宙人の?」

 なぜかそこで反応するワン太。確かこいつ宇宙人らしさをどうやって見せたらいいのかで苦悩していたっけ?だったらそれを使わせてもらうぜ。

「そうだ、宇宙人の力が必要なんだ」

「・・・・・・・」

 そこで久しぶりに俺とワン太は目があった。

「ワン太」

「・・・・・・・・そ、そそそそそそれなら手伝ってあげなくもないですけど」

 なぜか動揺しまくっていた。

 そして上から目線。

「よし、じゃあ頼む」

「あ、あの・・・ちょっと時間をもらえませんか?」

「え?でも結構急いでるんだが」

「で、でもその・・・」

「さぁ、ワン太、いくぞ!」

「・・・・・・ノゾムのバカ!お手洗いに行きたいんですよ!」

「・・・・・・・あ、ごめん」

 俺は素でふざけることなく謝罪を口にしていた。

 そうして待つこと少し。ワン太がとうとう現れた。

「ふっ・・・宇宙人、登☆場」

 すごい格好つけていた。

 明日風とか猫ちゃんがいるのであまり宇宙人とか大声で言わないでほしいのだが。

「で、現場はここですね」

「そんな事件現場みたいな言い方しなくても・・・」

 ワン太は依然として無言の3者面談状態の現場を見る。

「ふふん、簡単ですね」

 そう言うとワン太はちょちょいと指を振る。

 すると無言のお見合いが丸ごとどこかへと消えてしまった。その場所はなくなっていない。人だけがいなくなっていた。

「よし、これでもう大丈夫です。空間ごと移動させました。息苦しさは消えましたね」

「おおい!」

 なんの解決にもなっていない!ただ俺らの見えないところに飛ばしただけだ!

「え、あれ?消えた・・・?」

 猫ちゃんが心底驚いている。

「猫ちゃん、君は何も見ていない。何も感じていない」

「え・・・そう・・・ですよね・・・」

「ふぅ、催眠完了」

 俺は汗をぬぐう。

「お前何者だよ・・・」

 空人がげんなりしていたが気にしない。

「で、どうする?」

 汗を今度は大量にかきながらみんなを見渡す。

 みんなもだらだらだらだらだらと汗をかいて一斉にそれぞれ違うところを見た。







「あー・・・疲れたー・・・」

 学校にて、自習を終えた春は外に出て、歩いていた。もちろん帰宅するためだ。

「今日は白木くん・・・こなかったな・・・」

 空を見ると鮮明に星が見える。この空に春の追い求めている不思議があるのだろうか。いや、あるに決まっている。宇宙人とか絶対にいるし。

「ん?」

 そこで春は何かを見た。

「・・・・・・・なにあれ?」

 でかい翼の生えた女の人・・・みたいだけど。

 その女の人に近づいてみた。

「・・・・・・・やはり何かがおかしい。ここはどうやら普通じゃない。私が来て正解だった。バズーカやシキブでは話にならない。ここは私が、『全てを知る者』としてのノウンが全てを解析しなければいけない。姫様は何を考えているのか」

「・・・・・」

 何かごちゃごちゃ言っていたので無視しよう。危ない人には近づかないことが大事ですもんね。


 

恐らく間章は次回かそのまた次回で最後かなぁと思います。


なんだこの夏の過ごし方・・・というようなものでしたが。


ではまた次回。

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