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唐突にお隣さんは宇宙人。  作者: 花澤文化
第1章 宇宙人は唐突に
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第1日 唐突にお隣さんが宇宙人。

「へ、へロー」

「・・・・・・・」

 山に行ったら宇宙人いた。説明終わり。っていやいやいや、なわけないだろうと自分を冷静に保とうとする。しかし目がそれを否定。なぜならあのUFOはどうみてもCGなんかじゃない。第一ここにいるのは俺だけ。有名人でもない俺にCG使ってドッキリする意味も分からない。

「Hello」

 知らないうちに宇宙人の発音がネイティブになっていた。すごい成長である。でも発音関係ない。

「いや・・・聞こえてはいる・・・」

 なんとか絞り出した声はかすれ気味で自分でもいまいちよくわからないものとなっていた。でも宇宙人はそれに反応する。しかもビクッて感じに。お前から話しかけてきたのに驚くなよ。

「おお・・・通じてます。やはりすごいですね、ほんやくこ〇にゃく」

「マジで!?」

 もう完成してる星とかがあるのだろうか。UFO作れるならありえそうだ。というかこいつが宇宙人だという前提で話しているが、どうなのだろう。UFO型の飛行機とかだったらとんだ茶番である。

「嘘ですよ、嘘!SPACEジョークです!」

 必死に否定してきた。なんだSPACEジョークって。息できないほど面白いって意味なのだろうか。

「さて、ではごほん」

 喉の調子を整えていた。俺の混乱は未だ収まらないが一周まわると冷静になれるものだ。それはある意味冷静ではないんだけどね。

「ワレワレハウチュウジン」

 扇風機なしであの声色を表現していた。すげぇ・・・これ信じざるを得ないかもしれない。それほどまでに扇風機なしワレワレはすごかった。いや、俺が馬鹿なだけか。大家さん割とキャラあってるよ。不本意だけど。

「えーいきなりですけれどー・・・私たち、グリーン星は今日から地球侵略を開始します!」

 その女はいきなりそんなことをぬかしやがった。ここはなんか指を重ねるみたいな感じが普通なんじゃないかな。あーえー。友好的とかじゃないの?

「って言っても私しかいませんけれどね・・・しくしく」

 と思ったら泣いていた。感情の動きが激しい。それは人間以上である。ただ馬鹿さかげんは負けてない。侵略するっつってんのに人数バラす馬鹿がいるだろうか。

「というわけで今日は下見です!」

「遠足かよ」

 どんだけずぶとい神経してたら侵略先を1人で下見できるんだ。というか心の中でさっきから突っ込むのではなく、声に出さなければ。驚いてはいるが、相手は宇宙人とはいえ馬鹿だ。

「あの・・・まずどちらさんでしょうか?」

 宇宙人に対してこんな質問もどうかと思うが、気になるっちゃ気になる。身の上を知りたいと思うのは当然だ。

「はい、私はグリーン星の姫、ワルディード・ハルン・タブレースと申します」

「・・・・・」

 ワルしか覚えてない。ワル・・・ン・・・タなんとかかんとか。せっかくこの状況に慣れてきたのにまた動揺し始めそうだ。動悸がどんどんはやくなる。

「えーじゃあワン太さん」

「ワン太!?」

 涙目になって叫び返してきた。ふざけるのはよそう・・・仮にも俺はここであのキャトルなんたらかんたらとかビームで蒸発させられたりするかもしれない。それだけは避けたい。姫とか言ってたし。

「地球ジョーク、地球ジョーク」

「え?あ、そうなんですか。なかなかブラックなジョークですね」

「はい、ではワン太さん」

「変わってないです!」

 意外と面白いやつだな、と思い始めていた俺を抑え込み、本題へ入る。

「あの・・・マジな宇宙人なんすか?それと侵略って・・・」

「私たちからみればあなたたちが宇宙人ですけれど・・・そうですね。マジです。侵略も宇宙人も」

 できれば侵略の方は嘘であってほしかった。

「証拠とかって・・・」

「証拠ですか?えーと・・・パスポートでいいなら」

「パスポート!?」

 そんなのあるのかよ!余計に信じられなくなるだろうが!

「SPACEジョークですよ、ふふふ」

 う、うぜぇー。SPACEジョークめんどくせぇ!してやったり顔なのがさらにイライラする。造形が整っている顔だけに腹立たしさも2倍ぐらいになっている。

「そうですね・・・何をしたら信じてもらえます?」

「あー・・・」

 そう言われると確かに何にも言えない。何をすれば証明できるのか。正直UFOとかが動かぬ証拠なわけだがなぜか認めることができない。典型的なUFOなのでどうしても作りものに見えてしまうのである。

「じゃあ、この山に隕石とか流れ星とか落とせます?あ、もちろん人にあたらないように」

「かしこまりました」

 ズドォォォォオオオオオオオオオオオオン。という響きが山に伝わる。音のした方を見ると、小さな隕石のようなものが近くに落ちていた。規模は小さいため誰も傷を負っていない。誰もっていうかここらへんには俺とこいつぐらいしかいないけれど。・・・・・・・・マジ?

「おい、あれ・・・」

「はい、成功でしたね。星を呼ぶのって難しいんですよ」

 えっへんと胸をはる。ほめてほめて、という目で見てくる。あぁ、胸、すごくでかいなと思いつつもそれらを全て無視して星が落ちたところを見る。これは最初にあの山でみた抉れた部分とよく似ている。

「あのさ・・・」

 認めたくない。しかし認めるしかない。俺はその悔しい気持ちをやつあたりのように宇宙人にぶつける。こいつは何も分かっていない。

「侵略するなら俺じゃなくてテレビとかで宣言した方がいいんじゃないか」

 自慢じゃないが俺は世間に影響力のある人間ではないぞ。

「テレビ・・・?」

 しかも知らないのかよ。

「あの・・・箱に映像ウツール」

 なぜかカタコトになってしまった。すごく日本人と話している気がしない。顔は完全に日本人だが。

「ウツール?おぉ、イエス!」

 グッと親指を立てやがった。雰囲気で分かったふりをするんじゃない。

「シンプルに言えば、ここで発表しても何の意味もありませんよ、ということです」

 手入れされていないのか、伸びっぱなしの草々が風に揺れる音がする。普通に山にきていたが俺虫とかすごい苦手なので話をはやく終わらせたい気持ちがあった。虫以外にも精神的に。というか侵略者とのうのうと話していていいのだろうか。警察・・・は意味ないよな。

「そ、そうなのですか!」

 しばらく経ってからガーン!といった様子で青ざめる。

「はい、だから帰ってください」

「しかも冷たいです!地球人ベリークール!」

 だからお前侵略者なんだろうが。なぜ優しくしなければならない。一生こないでください。

「わかりました・・・ふふふ・・・私、いらない子・・・」

 なんとなく心が痛んだが悪いのは俺じゃない。ということにしておく。

 宇宙人はUFOに乗り込み、しばらくして輝き始めた。どんなライトをつかってもこうはならないだろうというような神々しい輝きに思わず目を閉じる。閉じたまま・・・・5分。

「・・・・・・」

 全然飛び立たない。

 するとUFOから宇宙人がでてきた。しかも号泣。

「ううう・・・・・ひっく・・・動かないです・・・壊れちゃいました・・・」

 頭が痛い。最悪だ。俺の生活天気予報が荒れ模様だと警告している。壊れている理由はすぐにわかった。俺は、だが。こいつ着陸するときすごい雑だったからそれで壊れてしまったのだろう。ここは山だ。整備されたヘリポートじゃない。あとさっき流れ星かすってました。これは半分俺のせいだ。

「あー・・・ドンマイ」

「帰れません・・・私1人ぼっちです・・・」

「・・・・・・それってSPACEジョークかなんかじゃないですよね?」

 そう聞いた瞬間に大声をあげて泣き出してしまった。







 なぜ、こうなるのか。アパートにて。俺は流れ星落下の騒ぎにかけつけた人々に見つからないように宇宙人ワルなんちゃらかんちゃらを連れて下山した。UFOはいいのかときくと人の目にも見えず触れることもできない隠蔽モードなるものがあるらしい。とりあえず安心。あんなの見つかったらそれこそ大騒ぎである。そしてもう1つ。

「・・・・・こんばんはってこの国の言語でなんていうんですかね?」

 大丈夫、こんばんはで合ってる。さすがほんやくこん〇ゃくだね。

 そんなわけで俺のお隣さんが今日から宇宙人となった。そんな馬鹿な。ほんとそんな馬鹿なだよ。しかし若干俺の責任もある。そんなわけで大家さんに頼みこんだ。お金の心配はないらしく、家賃は払えるそうなので特にいざこざもないまま承諾された。

「その代わり愛ちゃんって呼んでね、ラブラブな2人」

 こういういざこざはあったが。いや、ラブラブではないですし、そもそもこいつ人ちゃいますし。

「ら、らぶらぶ・・・」

 なぜか照れていた。気持ちは分かるよ。お前免疫なさそうだし、でもテレビ知らないでラブラブとかは知っているのかと言いたかった。こいつに地球の文化教えたのは誰だろう。文句を言いたい。

 そんな俺も照れて全力で否定してしまったが。そんなに強く言わなくても・・・と宇宙人が泣いていた。メンタルが弱すぎである。

 俺の部屋にワルなんちゃらを招いて話しているのが今。

「で、ワルなんたらさんはいつ宇宙に帰れるんだ?」

「ワルディード・ハルン・タブレースです。ほかの仲間が気付いてくれるまでは・・・最初の1カ月とかは旅行気分で遊んでるのかとか思われてそうです」

 つまり1カ月後までは迎えにこない、と。侵略うんぬんはどうなるんだろうか。この宇宙人そのことについては何もしゃべらない。俺も聞いていないからしょうがないっちゃしょうがないが。でもこんなおバカさんに侵略される地球でもない、となぜかそんな意味のわからん信用を地球にしていた。

「で、どうすんの?」

「お金ならたくさんあります」

「いや、そうじゃなくて。これから。その1カ月間、どうすんのって」

 えーと・・・と悩み始めた。

「あなたの名前きいてませんでしたね」

「白木希」

「ノゾム。あなたのそばにいます」

「・・・・・」

 いきなり呼び捨てにされたとかそんなことの前にそれってプロポーズみたいなもんだろ、と思ったがそうじゃない。飼い主みたいなものだ、と思いなおす。

「俺だって学校があるし、四六時中みてられないぞ」

「なら私もがっこーに行きます」

「それだけは嫌だ」

 俺の心労を増やさないでくれ。学校でまで悩みたくない。とりあえず3カ月平穏に過ごせばいい。何もほかのことは考えない。侵略も後で考えればいい。まずはこいつをどうするか。

「えーと、人間と同じ姿をしているのは擬態とか?」

「違います。私たちは比較的地球人に近い容姿をしているんです。性別の区別もありますし、地球の文化も学びます。そのほか人間にあるものは全て私たちにあります。違いは住む星が違う程度ですね」

 それはよかった。

 こいつがあのよくあるタコみたいなやつとかだったら余計に心配だ。人に見られたら終わりだからな。

 しかしそうではないらしい。

「じゃあ、大人しく部屋で待っててくれ」

「暇です」

「この野郎・・・」

 立場わかってんのか、と思ったが俺も部屋を借りている身だった。で、でもほら、ここに連れてきたの俺だしぃー。とすねても意味はない。

「とにかく、俺は明日から学校だから来るな」

「ぐぬぬ・・・分かりました。服を脱げばいいんですね」

 そう言って地球でいうドレスのようなものに手をかけ脱ごうとする宇宙人。

「おい!何やってんだ!」

「いえ、地球人のオスはこうすると大抵なんでもしてくれると。お金さえももらえると教えられまして」

 マジ文化教えたやつ誰だ。文句どころか殴りたい。

「とにかく着ろ!着崩すな!俺はもう寝るから自分の部屋に戻れ」

「ぶー」

 大人っぽい口調におおきな胸。それとは裏腹に子供っぽい面もあるらしい。

 しかし宇宙人は何も言わずにそのまま自分の部屋へと戻っていった。

「はぁ・・・」

 第一わかってんのか・・・俺は侵略される側で相手は侵略する側。どう考えても仲良くできないだろう。というかその前に宇宙人だってことをバレないようにしなくては。もしバレてこいつがどこかに連れ去られたりしたら・・・。

「・・・・」

恐らくお仲間はお怒りになるだろう。姫とか言ってたし。あいつが馬鹿すぎて忘れていたがほかのやつは馬鹿とは限らない。ものすごいやつがきたら地球は終わりだ。俺はこれが夢でありますようにと心から願った。







 夢ではなかった。

「えー・・・転校生を紹介する」

 学校。俺は3年生の教室に担任らしき先生に連れていかれて、そしてよくある転校生紹介。緊張の時間。その時に俺は昨日のことが夢じゃないと知った。

「なんと2人だぞ。では自己紹介どうぞ」

 先生に促されて壇上に上がり自己紹介する。

「ワルディード・ハルン・タブレースです。どうかよろしくお願いします」

「・・・・・・白木希です。よろしくお願いします」

 なんでお前がここにいるんだ馬鹿宇宙人。

タイトルが変わっています。前のタイトルは少しわかりにくかったので分かりやすいタイトルに。


しかし今でも迷っています。(仮)ってことでよろしくお願いします。


次からようやく話が動く感じです。登場人物とかも増えます、たぶん。


ではまた次回。

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