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唐突にお隣さんは宇宙人。  作者: 花澤文化
第3章 スクールフェスティバルタイフーン夏13号
17/69

第16日 本性をさらす宇宙人。

「見つけた!」

「よし」

 適当に走ること10分。とうとう俺らは神崎さんを見つけ出した。都会!というような自己主張のきこえる街の中、神崎さんは誰かと対面していた。

「なんだ・・・子供?」

「あの子です!あの子がバズーカです!」

 超タイミング悪いじゃん。というか名前だけじゃなくてマジにバズーカ持ってんのかよ!そのバズーカは神崎さんの方を向いていた。これは撃たれるかもしれない。

 間に合え!しかしそう思っても虚しく、バズーカが放たれる音が聞こえる。

「神崎さん!」

 大丈夫だろうか。俺らがかけよると神崎さんがこちらをむいた。

「白木くんに、ハルンさん」

 どうやら無事なようだ。しかし先ほどまでの子供宇宙人の姿が見えない。どこにいるのかも分からない。さっきまでは確かにそこにいたのに・・・。

「ノゾム、一応私の力を分けておきますね」

 そう言って俺の手の甲を触るワン太。お、おぉう・・・考えてみれば女子の手を触られるという経験もない俺はなんだか恥ずかしくなってしまう。

 しかしキュインという音がしたあとに白く手が光り、光が収まる。

「も、もしかして俺も宇宙人パワーを?」

「はい。限りなくどうでもいいようなパワーなら使えます」

「使えねぇよ!」

 使えたとしてもどこで使うんだその微妙な能力!

「いえ、相手は一応、軍人ですから。普通に体術では私でさえ負けます」

「お前ほんと体動かす系はポンコツだもんな」

 私でさえとか言っているが、運動が得意ではない方の俺でさえも軽く引いてしまうほどのものなのである。女子の噂できき、それから試しにキャッチボールをしたときの悲惨さといったらなかった。

「でも、情報系では分かりませんよ」

 するとワン太は不意に指をまっすぐにのばした。まるで指についている何かを遠くに飛ばすような仕草。「ビンゴ!」と言うとほんとに姫様なのかこいつ・・・と思わせるような勢いで腕ごと引っ張る。

「な・・・」

 すると釣り針にひっかかった魚のように何もない空間から宇宙人の女の子が引っ張られてでてきた。

「いてて・・・姫様じゃないですかー奇遇ー」

「・・・・・」

 今更その演技で乗り切れる状況ではない。

「何してるんですか、バズーカ」

「その名前はやめてください。ハノは軽く話していただけですよ」

 どうやら情報改ざんなんちゃらでそこに自分がいるという情報をいじくっていたらしく隠れていたのだが、ワン太はそれを見つけて引っ張り出してきたらしい。

「じゃあ、なんで神崎さんには力をかけずにいたんですか?」

「神埼さんっていうんだー・・・ふーん・・・」

 そうつぶやくと女の子は嘘らしい笑顔になる。

「いえ、ただハノは地球に旅行に来ただけです。で、そのお姉さん、神崎さんのところに泊めてもらおうかなって思いまして」

「なっ・・・」

 また宇宙人が地球に・・・?

「私も旅行気分ではありますから人のことは言えませんが・・・神崎さんに迷惑がかかるのでやめなさい。どうしてもというなら私と同じ部屋に泊まるのです」

 愛ちゃんに後で話さないと・・・と小声で言っていた。

「嫌です!」

「あなたは何を考えてるのか分かりません。ですから1人にしておくことなどできません」

 なぜか子供とその母親みたいな言いあいが始まっていた。全然危険じゃないじゃん・・・。ほのぼの日常パートじゃん・・・。俺に能力を分ける意味ないじゃん・・・。

「あ、あたしはいいよ」

 そこで神崎さんが手を挙げた。

「1人暮らしだし。それにいい子そうだし」

「い、いい子・・・?」

 すると神埼さんが何かを握っていることに気付く。あれはバズーカ?いや、バズーカから出ているのはマジックハンドだ。それを握手するような形で握っている。

「これ、その子がバズーカで撃ったらでてきたんだよね。どうかよろしくお願いしますって」

「神埼さん・・・でも」

「大丈夫、この子は宇宙人なんでしょ。一緒に過ごしてたらあなたが宇宙人かどうかも分かるかもしれないしね」

 ほとんどワン太が宇宙人だということはバレているはずなのにあえて自分で証拠をつかむまでは無視するらしい。いい人ではあるな、やはり。

「それに、おもちゃで照れ隠しってなんか可愛いじゃない」

「お姉さん・・・ありがとうございます!」

 そう言って神埼さんに抱きつく女の子。いや、恐らく神崎さん3日ぐらい泊めておけばいいみたいに考えてるかもしれないけれどかなり長くなる可能性あるぞ・・・大丈夫か?

「バズーカ、いい子にするんですよ」

「はーい」

 すると次にそのバズーカちゃんが向かってきたのは俺だった。

「ん?」

「お兄さんが姫様のパートナーですか?」

「パートナーって・・・まぁ、そんな感じかもな」

 へー・・・と笑う女の子。

「どーん」

 次に出したのはバズーカ。先ほどのマジックハンドバズーカであろう。なんだワン太がいうほど危険じゃないじゃないか。

 バズーカちゃんはバズーカの引き金を引く。

 あはは、と笑い握手しようとするとそのマジックハンドは俺の手ではなく、頭、眉間のあたりに飛び出していく。あれ?と思った時には俺の眉間に何かがあたっていた。・・・・・拳銃である。

「このマジックハンドはハノの言うとおりに動かすことができる。これに拳銃を持たすことぐらい簡単だ。今、あなたをここで殺すことも簡単」

 おい、おいおいおいおいおい・・・マジかよ、こいつ一番クレイジーじゃねぇか・・・!

「あなたは姫様だけでなくシキブ先生までも奪った。そんな憎い憎い地球なんてハノが壊します」

 俺は静かに両手を上げる。

「まずはあなたを殺す。あなたを殺して地球を殺す。まぁ、神崎さんだけは許します。ハノの星で一緒に過ごしたりしたいですし」

 そして指をピンとはる。降参のポーズ。

「殺した後はハノ得意の情報改ざんで存在自体を消す。なので後処理は任せてください」

 降参のポーズ。・・・ではなく、その後、腕を思いっきり引っ張る。

「まずはここで死ね」

 するとバズーカちゃんが持っていたバズーカがするんと後ろの方へと引っ張られる。俺は釣りをした感覚だ。釣り上げたまま、それをキャッチ。実際には糸も竿も見えない。いや、竿は腕か。

「ともあれワン太、助かったぜ・・・」

「くっ・・・」

「バズーカちゃん、でいいんだっけ?」

「どうかハノとお呼びください」

 そう言っててけてけと歩いていくバズーカちゃん。

「今日はここまでで」

 バズーカちゃんは笑顔で去っていった。・・・・・言うべきかどうか迷ったけれどもうその証拠である拳銃付きバズーカは消えている。信じてはもらえないだろう。

 でも彼女の言い分からすると俺を殺すまでは地球は殺さない。さらに神崎さんに手をあげることもない。なんというかどんだけ人気なんだよ、ワン太とシキブさん。

 でも、彼女の様子を見るにどうもそれだけではない気がするが・・・。

「どうかしましたか、ノゾム」

「お前には話しておくか・・・」

 俺は今までの話を全て話しながらアパートへと帰った。







 ワン太はあの後、バズーカちゃんが隠れながら攻撃してくるかもしれないとのことから俺に索敵のような力をくれた。くれたところでどうしようもないわけだが・・・。

 しかしあの釣りみたいな力をどう使っても勝てる気がしない。というかこれって暗殺されそうになってるんじゃ・・・しかしワン太はたぶん大丈夫ですよ、と無責任なことをいいそれだけで俺への力の授与は終わった。

 大丈夫、らしいが・・・何の根拠があるのだろう・・・。

「しかし・・・」

 学校。教室ではいつものように授業が行われている。俺の机の下には消しゴム。落としてしまったのだ。しかし俺はしゃがむことはしない。小さな声である言葉を言う。

透明な鋼糸スケルトン・ストリング

 指を伸ばし、消しゴムめがけて見えない針を突き刺す。そして腕をあげると、まるでつりざおに引っかかったように消しゴムも上がる。そしてそれを机の上へ。

 糸をものすごく短くした上に授業中。誰も気付いてはいない。

「・・・・・」

 か、かっこえぇー!

 な、なにこれ!確かにどこで使うの?的なものだけどかっこいい!ちなみに名前は昨日ワン太が考えた。少年漫画の影響受けすぎ、恥ずかしい。と俺は反論したのだが、名前を言った方がイメージしやすくてやりやすいことが分かった。

 今では俺もこの名前を使っている。絶対に人がいるところで大々的に使わないでおこう。

 ちなみにワン太いわくあげたわけではなく貸しているだけらしいのですぐに使えなくなるそうだ。も、もったいない・・・。

 授業が終わりいつもどおりにみんながバラける。

「んじゃあ、明日ヒメちゃんちなんだな」

「うん、ごめんね」

「俺らは別にいいよな」

 空人とヒメちゃんそして俺で遊ぶもとい、ミスコンについての討論は明日行われる。というかヒメちゃんの家にいけるのが楽しみすぎる。暗殺なんてどうだっていい。

 こうして俺らは帰宅することにした。







「・・・・・・」

 俺の人差し指が光る。そして警報めいた音が頭の中にだけ小さく響く。どうやら索敵に引っかかったらしい。本当にめんどくさい。

「・・・・・」

 人気はないが心配だったので無言で糸をと針を形成。そして適当に遠くへ飛ばす操作をする。最後に一気に腕を引き、釣り上げると・・・。

「わわ・・・」

 目の前からバズーカちゃん登場。

「その能力・・・姫様から借りたのですね・・・」

「まぁな」

 で、問題はここからだ。ここからどうしたらいいのかというのを聞いていない。俺は拳銃を出されたと同時に針を拳銃に引っ掛けることなどできない。

「覚悟するといい・・・人間!」

 そして拳銃を取り出す。ま、まさか死なないよな・・・ワン太、信じるぜ・・・。

「ばきゅーん!」

 バズーカちゃんは擬音を口にしながら拳銃を発砲。そこから出てきたのは鳩。・・・・・・鳩?

「し、しまった!他の星へは拳銃やその他もろもろは持ち込み禁止でした!」

「・・・・・・」

「うぅ・・・ハノの武器が全部マジック道具にすり替えられてます・・・うぅ・・・ぐすん」

「・・・・・・」

 ワン太の言いたいことがなんとなくわかった気がする。そもそも凶器を持ち込めない上にこいつは間違いなく限りない馬鹿だ。

「で、何か用かな、バズーカちゃん」

 汚い笑みで女の子を見る俺。見る人によっては通報もの。自分が有利だと分かった瞬間に余裕ができる汚い人間。それがこの俺だ。

「ぐっ・・・ハノと言いなさい。その名前は嫌いなんですー!」

 バズーカちゃんは言いながらどこかへ逃げてしまった。どうやら子供に絡まれる親戚のおじさん、みたいな立ち位置で相手をしなければいけないらしい。

「なんだかなぁ・・・」

 俺はため息をついてアパートへと帰って行った。


とりあえず明日あたりは投稿できないかもしれないので2話目を。


今、話としては学校祭、それに新しい宇宙人騒動の両方を同時にすすめるというような構成になっています。


このあとどうなるのか、ぜひとも見ていただけたら嬉しいです。


ラブコメのラの字ぐらいはもう出てもいいころ・・・でる、と思いますたぶん。


ではまた次回。

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