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唐突にお隣さんは宇宙人。  作者: 花澤文化
第2章 帰りたがらない『かぐや姫』
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第9日 奇妙に招く宇宙人。

「おい、希。なんで神埼さんがここにいるんだ・・・?」

「いや、俺が聞きたい・・・」

 学校から一度帰宅して、近くのコンビニで待ち合わせた。そしてみんなが揃った後に俺の部屋のあるアパートへと向かうことになったのだ。5分ぐらいでつくあたりになった時に空人が距離をとってから俺にしてきた質問はまるまんま俺もしたいぐらいである。

 なぜか神埼さんがついてきた。今はヒメちゃんと談笑中である。ほんと誰とでも仲良くなれるな、ヒメちゃん。

 神埼さんがついてきた理由は分からない。でもあの時、街でみた神埼さんは宇宙人がどうのこうのと叫んでいた。・・・・・・・嫌な予感がするなぁ。あいつヘマしたんじゃないだろうか。

 ところでそんなワン太は今、シキブさんと話しているはずである。

「でも断るわけにはいかないだろ?」

「まぁ・・・な。というか小花くんはすげぇな・・・もう仲良くなってる」

 驚く部分は同じだったみたいだ。

 そんなこんなでアパートに到着。俺は共通のリビングのドアを開ける。ちなみに他の住民の方からも許可を得ているので大丈夫。気を遣ってくれたのかアパートから出て暇をつぶす、とも言っていた。さすがに遠慮したが、結局アパートにいるのは俺達だけである。

「ただいま」

「おじゃましまーす」

 俺はただいまとみんなはおじゃましますといいそれぞれリビングへ。

「アパートっていうからどんなもんかって思ったけど・・・広いじゃん」

「ここは共通のリビングだからな。なんだったら一軒家のリビングよりも広いよ」

 そうして中に入っていき、テレビの近くにあるソファに座るよう促す。そこで空人、神埼さん、ヒメちゃんがとてつもないものを見たかのような顔をしていた。え?なに?

「みんないらっしゃーい」

 ・・・・・・・・。俺も凍る。

 なぜか知らないけれど大家さんは水着だった。しかもビキニ。やはり外見だけではもうそろそろ40になろうという年齢は見受けられない。え?な、なんで水着・・・?

「何やってるんですか!」

「全身からあなたたちのオーラを吸い込もうかなーって思って☆」

 なんで今日に限ってあなたらしさが全開なんですか・・・げんなりする。あと恐らく吸い取っても若返りはしないと思います。

「ちょ、ちょっと白木くん」

 神埼さんがなんで?みたいな顔をしてみてくる。いや、分からないです。

「あ、あれは誰なんだ?」

「えーと大家さん」

 兼妖怪。

「今日夕飯作ってくれたのも大家さんだから・・・一応」

 感謝する気持ちだけは忘れないでね、という意味を込めてそう言う。かくいう俺ももう忘れそうであるのだが。

「きょ、今日はありがとうございます」

 丁寧に頭を下げるヒメちゃん。果敢に大家さんに挑んでいる。

「あら?のぞむーも隅におけない。ハルンちゃん、私、それにそこのツインテールガール、さらにこの子まで女の子にモテモテじゃない」

「さりげなくあなたを入れないでください」

 隙がない。格好は隙だらけなのに。

「あ、あの・・・僕、男です」

「え?」

 意外ーみたいな顔をしていますが、現在全員制服ですよ。ヒメちゃん超学ランきているから。ぶかぶかだけれど。そこもまた可愛い。

「のぞむーが女の子に学ラン着せるのが趣味なのかと思っていたわ」

「それを強要して外を歩かせるって鬼じゃないですか」

 どんな人間だと思われていたんだ。

「もう少しでできるから待っててねー」

 そう言って台所へ戻る大家さん。ようやく第一関門突破・・・

「じゃあシキブちゃんとハルンちゃん、手伝いお願いね」

『はい』

「なんでだよ!」

 突破したすぐ横が第2関門だったらしい。

 とりあえず俺も台所へと行く。

「おいおいおい、ワン太。説得するんじゃなかったのかよ」

「しましたよ?帰るまでに地球を楽しみたいらしいです」

「はい、私はおとなしく姫様を諦めますよ」

 超にやにやしている。絶対嘘だ。

「まぁ・・・最初っからあまり期待していなかったが・・・」

「何がですか?」

「いやなんでもない」

「のぞむー、のぞむーは手伝いいいからあの子たちと話してきなさい」

 そもそもワン太との交流を深めるために連れてきたのだが・・・それは食べながらでいいか。料理に関しては完全に足手まといだし。

「食器運ぶとかあったらすぐに言ってくださいね」

「おっけー」

「あと大家さんは着替えてください」

 最後にそう言ってもう1度リビングに戻る。すると空人がまだ驚いた表情をしていた。

「あーびっくりした・・・どういうことだよ。大家さんって・・・なんであんな格好?」

「それは何度も言うが俺も分からない・・・ちなみに母親の友達なんだ」

「え?マジで・・・何歳だよ・・・」

 空人が宇宙人を見たかのような顔をする。本物もいるのに。

「ちょっと白木くん」

 今度は神崎さんだ。というかいつからこんなに気軽に話しかける仲になったのだろうか。つい先ほどまで人見知り発動だったのに。

「あの人と一緒に住んでいるの?」

「大家さんだからね」

「・・・・・・・・あの、白木くん。ちょっと歳の差ありすぎじゃないかしら?」

「神崎さんは何か重大な勘違いをしている」

 このまま誤解させておくには大きな間違いすぎるので面倒ながらもきちんと説明する。

 ようやく説明しおえてヒメちゃんの顔が赤いことに気付く。うん、確かに普通は耐性ないよね、水着。恥ずかしいよね、水着。

「ヒメちゃん・・・すまない」

「ううん、ちょっと驚いちゃったけど明るくて優しそうな人だね」

 天使降臨。

 ヒメちゃんの小学生の夏休みの宿題での書き初めはこの4文字だったに違いない。そう思わせるほどの天使。女神と言ってもいい。

「本当ならヒメちゃんが水着を披露する予定だったのに・・・」

「そんな予定はないよ!」

 これまた顔を赤くして反対する。あー癒される。

「ちょっとあたしも台所見てくるわ。なんかこのままなの申し訳ないし」

「あ、僕も」

「じゃあ俺もー」

「いやそんなに入れないから」

 すでに3人入ってるんだ。かなりギリギリである。

「じゃんけん、だな」

 じゃんけんの結果神埼さんが行くことに。・・・・・・・俺も行こう。理由はなんか不安だから。

 そうしてまた台所へ。先ほどから行ったり来たりである。

「ってあなたは!」

 台所に入った瞬間、ワン太を指さす神埼さん。

「何か姫様に御用でしょうか?」

 しかしその間に割って入るシキブさん。

「ひ、姫様?・・・どいて。あの子は宇宙人なの。・・・・・笑いたければ笑いなさい。でも確かに見たのよ、侵略するという言葉にテレポート。どれも人間ができることじゃないわ」

 超ヘマしていた。ヘマしかしていない。どうしたらそうなるんだ。

「いやぁ、さすがにそれは見間違いか、なんかじゃ・・・・・」

「そうですよ」

 シキブさんがそれに笑顔で答える。

「このお方はグリーン星の姫!あなたが指をさしていいような人ではありません!高貴なお方なのです。ね、姫様」

「ね、じゃねぇよ!」

 なに暴露してんだ、この着物女!

 無理やり台所からシキブさんを連れ出し、十分に離れてから小声で話す。神埼さんはまさか肯定されると思っていなかったのか意識がまだついていけていない状態らしい。口をあけて呆然としている。

「あなた、地球でそんなこと言ったらどんなことになるのか知ってるでしょう!」

「いえ、まず信じないと聞いたので、この際はっきり言えば逆に嘘っぽくなるかな、と」

 普通はそうなんですけれど、ちょっと事情違うんですよ。テレポートとか見られたって言ってたでしょうに・・・。

「と、いうのは嘘で面白そうだったんで」

「本当に教育係なのか!?」

 自分の都合でそんなことしていいのかよ!

「やっぱり何か企んでるな・・・あんた」

「いえ、何も。私は所詮姫様の教育係ですから」

「・・・・・とりあえず神崎さんに説明してきてください。放心状態ですから」

「わかりました」

 そう言って台所に戻るシキブさん。

「神埼さん、でよろしかったでしょうか?」

「え?あ、はいって・・・し、質問に答えなさいよ!」

 記憶がなくなっている。どんだけショックだったんだ、自分で質問したのに。それとも・・・まさか、シキブさんが何かしたのか?いや、でもワン太が前に人間に宇宙人の力を使うのは禁止しているって言っていたような・・・。

「はい、彼女は人間です。宇宙人というものではありません」

「で、でも・・・」

「何か?」

「くっ・・・じゃ、じゃああの抉れた山はどうなってるのよ!」

「ん?」

 その言葉に俺が反応する。抉れた山・・・・・・あれってだいぶ前からあったんだろ。少なくともワン太が来た時にはすでにあったぞ。

「神崎さん、抉れた山がなに?」

「・・・・・見てみなさい」

 まさか俺が遊びで頼んだ流れ星のことを言っているんじゃないかと思ったがあれは結構小さくてここから見えるものではない。

 なら・・・何を見せようとしているんだ・・・?

 俺はリビングにいるみんなにちょっとごめんと断わりを入れてからドアをあける。そういえば抉れた山、最近見ていないな・・・。

 そこで。

 俺が見たものはすごく簡単なものだった。

「抉れた部分が・・・大きくなっている・・・?」

 俺が最初に見たときより大幅に。

 これはどういうことだ・・・。

 いや、分かっている、どういうことかぐらいは分かっている。簡単だ。答えは明快。すぐに分かる。

 他の宇宙人の墜落。

 それであった。

「他にも・・・宇宙人が・・・」

 それよりもなによりも驚いたのはその事実に気付かなかったこと。登下校の道から抉れた山は見える。なのに俺はそれを見ようともしなかった。

 事実、ニュースなどでもそんな報道は見たことがない。誰も気付いていていないのだ。

 ならば・・・落ちた宇宙人がその事実隠したのか?隠れるつもりなら特にこちらから関わらなければ害はないはず・・・。

 俺はある奇妙な思いを抱きながらアパートの中へと入る。

 もちろん夕食を食べようとは思っているのだが、それよりも気がかりなのは神埼さんだった。

「なんで・・・神崎さんは気付いたんだ・・・?」

 

サブタイトルの奇妙は後半の展開から、招くはもちろん夕食です。


次回へとこの騒ぎは続きます。もちろん、夕食パーティーが、です。


馬鹿騒ぎを温かい目で見ていただければなぁと思います。


ではまた次回。

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