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唐突にお隣さんは宇宙人。  作者: 花澤文化
ピピピ交信開始
1/69

プロローグ こんにちは

 未確認生命体、すなわちUMA。それに宇宙人。そんなありえない生物達の存在を信じている人がどれぐらいいるだろうか。ちなみに俺は信じていない。映像やら写真やらが残ってると言われても全てが捏造で作られたものだと判断する。そういうのが好きな人には悪いけれど。

 この日、俺は引っ越し初日だった。見知らぬ街に1人で来て、明日から転校先の学校も始まる。何もかもが初めてづくしで楽しみと緊張が混ざっていたのを覚えている。というか高校3年生で転校ってどういうことだと問いただしたい気分だが親の都合なのでしょうがない。俺は特に反発も覚えず転校することを承諾した。

 その街のパンフレットを見れば分かることで、見なくても分かるようなことだったのだけれど、ニュースやら世間に疎い俺はあることを見落としていたんだ。

 夜。初日の夜。明日から学校ではあるが、気になってある場所へ行くことにした。それは抉れた山であった。何かが落ちたような、そんな跡のある山。完全に好奇心である。

 4月とはいえ寒い日。ある程度の身支度をして山へと向かった俺を待っていたのは信じられないものだった。

「むむ、ハロー。で合ってますかね?」

「・・・・・・・・・」

 俺の目の前に落ちたのはアニメや漫画でしか見たことのない、円盤型の基本的な超巨大UFOだった。

 ・・・・・・。

 なんで日本語ペラペラなんだ。あと、俺に聞くな。いろいろと聞きたいのは俺の方だよ・・・。







 親の転勤。しかし親の転勤先には近くに学校がないらしく、俺は1人で近くの街に住むことになった。母親と妹が一緒に住む予定だったが妹がまだ幼いため、父親も一緒の方がいいと自ら俺は断ったのだ。

 そして電車に揺られて1時間近く。俺は全く知らない街にいた。

「・・・・・・」

 携帯を開き、自分の家となる場所を地図アプリで探す。というか、なんかさっきから移動途中にあるお土産屋に宇宙関連が多いんだが、どういうことだ、これ。

「・・・・・っと」

 携帯を見ていると誰かとぶつかった。

「すみません」

 相手の顔を見る前に謝る。誰であろうととりあえずは謝る。これ敵を作らないための法則ね。すげーかっこわるいけれど。今回は完全に俺が悪い。

「あ、いえ」

 しかしぶつかった相手は俺の予想をはるかに上回る美少女であった。同い年・・・ぐらいか?長い黒髪にリボンのピン止めを前髪につけている。大きいリュックは学校帰りだろうか。確かに制服のようなものをきているが、セーラーじゃない、ブレザーだ。

 この近くに俺の行く学校以外の学校があるのだろうか、と考えていると(うちの学校はセーラーらしい)女の子が心配そうに俺を見てきた。

「あの・・・大丈夫ですか?」

「あ、うんうん」

 うなずいたのはいいものの、なぜか相手が悪いことしたなーみたいな顔をしていたので、申し訳ない気持ちになる。俺が今のは悪いんです。でもそれを伝えるのもどうかと思い、大丈夫、とだけ言ってその場を去った。

 なんかかっこつけかた間違えたようだ・・・キモイやつが街に来たみたいな感じでメール流されたらどうしよう。俺外歩けない。

 気を取り直して歩く。ひたすらその家まで歩く。家と言ってもそこはアパートで部屋を借りるという形になるのだが、大家さんが母親の知り合いらしく、俺も少しは安心できた。

 あの姿を見るまでは。








 あの姿ってこの姿だった。

 結果としてアパートまで迷わずにたどり着いた俺への神様からの称賛は最悪な形で送られることになった。最悪っていうか、なんかすごく嫌だ。

「あー!君が白木希しらきのぞむくんね」

「・・・・・・」

 アパートの前でわざわざ待っていてくれたのだろう。大家さんが玄関の前にいた。その気遣いは本当に嬉しいのだけれど・・・。きている服がアイドルだった。ふりふりのドレスのような服。母親の友達だから40はいっているはず。しかしそれが似合うのがまたなんか嫌だった。この人ほんとに40なのか?とても綺麗、というよりかわいらしい人だった。どうみても20代。

「あの・・・大家さんすごく恥ずかしいですよ、それ」

「私のことは愛ちゃんって呼んでね」

「・・・・・」

 ガン無視だった。俺、見えてないのかなと心配になるぐらいには。とりあえず俺、白木希は大家さんの伊藤愛いとうあいさんに出会ったわけである。こんな形で会いたくなかったーと喚いてもしょうがない。

「あ、そういえばのぞむー」

 まさかのニックネーム決定。ひねりがないというかそのまんま伸ばしただけである。

「はい」

「お母さん、私に何か言ってた?」

「あー・・・」

 確かに何か言ってた・・・なんだったか・・・。いや、でもあれは大家さんじゃなくて俺に宛てたものだったはず。俺が頭を悩ませていると不意に思い出した。

「大家さんに気をつけなさいと言っていました」

 俺に。

 というかこういう意味かよ・・・完全に忘れてたわ。

「ふふふ・・・愛ちゃんって呼んで」

 どうやら呼ばないと会話が成立しないらしい。どんな儀式だ。しかしこのままじゃアパートの前にひたすら立つことになってしまう。自分の部屋にそろそろ入りたい。

「むむ!テレパシー!のぞむーは私に発情しているな!」

「してません!」

 テレパシーの才能皆無だよ、あんた!

 と、テレパシー関連で話したいことがあった。他愛もない話としてはまずまずな話題。

「あの・・・なんかこの街って宇宙関連のこと多すぎません?土産屋とか宇宙饅頭なんて画期的なもの売ってましたよ」

「あれ?のぞむー知らないの?」

「何がです?」

「あの山見てみなよ」

「え?」

 大家さんが指さしたのは俺の真後ろの山。俺は後ろを振り向き目をこらす・・・こともなく、すぐに分かった。山が抉れていたのだ。ひどい有様に。そこだけビーム砲かなんかでうたれたように。何かが落ちてきたように。そう、隕石みたいなものが。

「なんですかあれ・・・?」

「興味あるなら一度あの山に行ってみるといいわ。というか普通知ってるものなんじゃないかしら・・・でも全然いい!おバカキャラ万歳!のぞむー中へどうぞ」

 不本意なキャラを設定されて俺は渋々部屋に入ることにした。







 夜。俺はその山にさっそく行ってみることにした。もちろん大家さんには内緒だ。山は遠いかと思いきや案外近く、アパートからバスで10分ぐらいの距離であった。

「ふー・・・」

 近くで見るとすごいな、これ。なんだこれ。まわりを見ると俺以外にも人がいた。一種の観光スポットのようだ。ようだ、じゃなくてそうなのかも。これは何かの跡、なのかもしれない。

 ちなみにアパートの部屋に入ってしたことは部屋の説明と世間話である。大家さんがひたすらに質問してくるので俺はそれに答え続けた。ある意味拷問である。というか家の中ぐらいふりふり脱いでくれ。別に脱いでくれって全部じゃない。何言ってるんだ、俺。

 その跡へと続くロープウェイに乗り、なんとかたどり着くとやはり遠目で見たとおりそれは何かの跡だった。真ん中にいくにつれて抉れてるところが深くなっている。何かが落ちた、という予想はあながち間違いではないのかもしれない。

「宇宙・・・・・・」

 あの時、大家さんは宇宙関連の話をしている最中にここを指さした。それが何を意味するのかはさすがに分かる。この跡も宇宙関連なのだ。この跡ができてから観光名所宣伝のために宇宙関連のお土産を増やしていたのだろう。納得。

「・・・・・・・」

 しかし同時に俺はくだらないと思ってしまう。宇宙関連。どうせ隕石かなんかだろう。しかもニュースでそのようなことを聞いたことがない、というかあんまニュースを見ない。前の学校の友達も何も言っていなかったということはここ最近のことじゃない。

「はぁ・・・」

 そんな大昔かどうかは知らないけれど、前のことを引っ張り出して宣伝しているというのはなぜか哀れに見えた。ほんと、申し訳ない話である。街にきてすぐの男に馬鹿にされる筋合いもないだろう、と自分で自分を責め、考えることを終わらせる。

 すると知らない間に知らない場所にきていた。少し跡からも離れすぎている。人もいない。考えながら歩いている間に知らない場所にきていた。

「やべ・・・」

 なんとか光が見えるため、そちらの方へ行けばいいことがわかり安心する。遭難とかシャレにならん。

 でも、それでも俺の足は動かなかった。

 理由は簡単。そのみんながいる光よりもさらに明るい光が空からどんどん近づいてくるのだ。

「って・・・空から?」

 俺は数歩後ずさる。

 するとものすごいスピードで上から降ってきたのは・・・。

「UFO・・・・・・?」

 典型的な円盤型UFOだった。雑に着陸するが壊れた様子もない。神々しく光、見る者を魅了する輝かしさ。さぁ、お待たせ。これで俺の回想終了。現在に追いついた。

「ハロー・・・って通じてないんですか?」

 そして追い打ちをかけるようにUFOから降りてきたのは人間。しかも高校生ぐらいの女の子。

「・・・・・」

 驚きのあまり声が出ない。これが悪ふざけじゃないとするならこの女の子は宇宙人・・・。

「・・・・・」

「へ、へロー」

 通じてないのは発音のせいじゃねぇよ。


はじめましての方は初めまして。そうじゃないかたも新鮮な気持ちで楽しんでいただければと思います。


少し不思議なラブコメです。SFっぽいですけれどラブコメです。


宇宙人ものを前からやりたかったので、これを。


ではまた次回。

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