表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11

想像してみてください、暗殺者の姿を。

 次の日、セルマは異変に気付きました。まず、背丈が前より少しのびました。つぎに胸が、ちょっとだけ生えてきました。そして、ついにアレが来たのです。生物学的に女性であるから起きる現象、成長していないと思った体が、成長している証です。

 知識だけはありましたから、事後処理は完璧です。汚れたものは、手順通りに風呂場で洗濯し、既に干してあります。

 いつか私も赤ちゃんを授かれるのだろうか、と思いながら、セルマは母に手紙を書きました。ちょっと父には伝えにくいからです。

 セルマが侍女に手紙を渡そうと呼び鈴に手を伸ばしたとき、すっと、その手が絡めとられました。


「こんにちは、お嬢さん」


 侍女の格好をしたその人は、多分、昨日の夜の黒い影でした。


「今日は何の用ですか」


「主人は、君に用がないんですよ」


 侍女の姿をした男はにこりと笑いました。


「でもね、自分は君に用がある」


 セルマの口をハンカチで押さえると、男はセルマの手を捻り挙げて自分に引き寄せました。


「君、とってもいい実験サンプルになるよ。不老の研究に貢献する、いや、不死の研究にまで貢献するやも知れない」


 男は、セルマのほほをぺろりとなめました。


「それに、君の脳は知識と知識欲の塊、さぞ良い知識保管場所データバンクになるだろうねぇ」


 それはちょっと素敵かもしれないとセルマは思いました。だんだんと体が想い通りにならなくなってきました。男はセルマの重心が不安定になるのを感じて、そろそろセルマを運び出そうか、としたとき、部屋の扉が開きました。エミディオです。

「貴様! 彼女から離れろ!」

 部屋に入るなり騎士の剣をぶんどって振りかざすエミディオは、戦い慣れしていなさそうです。

 その様子を見た後、セルマはまぶたを支えきれず、意識も遠くの方へ放り出してしまいました。

セルマが、ちょっと素敵かもしれないと思ったのは、脳がデータバンクになるという発想。自分のことは置いといて、そんなことを考えちゃってます。

呼吸を通じた麻酔って、気絶するまでに結構時間掛かるらしいですね。歯医者の麻酔は割とすぐ効いてきた気がするから、やっぱり注射ってすごいですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ