7話 決定打
二人で例の建物に向っていた。町は既に日は上りNPCが自身の職場に向っているようで明らかに交通量が増加していた。二人が住んでいる家がある場所は島の様になっていて瑠璃の家の2軒隣には橋がありその橋の下を船が通りやすくするために島の両サイドに坂道が出来ていた。しばらくは、無言だったが
「この時間になると交通量が増加するのか」
「どうも、NPCが各自自分の会社に通勤してるみたいですよ」
「でも、そうなってくると新しい会社はこの本島で建てるのは難しそうですね」
「なんとも言えない状況ですね」
「この状況で会社を立てるか会社を買うことが出来るかどちらかしかないような感じですかね」
「それか、NPCの会社に購入してもらえるようにするかでですね」
「NPCてそもそも、プレイヤーが作成した製品を購入してくれるんですか?」
「先ほど作った髪留めあるじゃないですか」
「ええ、製作所で見たやつですよね」
「はい、あれが一つ400G で購入してくれることになって、通販みたいなアプリで確認してみたら500GだったのでNPCが一つ100G の利益が生まれるようになっていました」
「そうなってくると一定間隔で収益が入ってくるということですね」
「はい、なので咲夜さんが作っていた物が分かりませんが一定間隔で収入があるんじゃないですか?」
「なんとも言えないですね」
「そうなんですか?」
「ここだけの話にしてほしいのでっすがエンジンを取得しました」
「エンジンですか?」
「ええ、エンジンです。結構大型のサイズですが」
「そうなると、今移動手段が少ない中エンジンは結構有利になるのではないないですか?」
「モーターがあるんで微妙じゃないですか?」
「うーん、陸での移動は怖くないと思うんですが空とか海だとバッテリーが無くなるのが怖くないですか」
「確かに餓死とかと違う死亡での蘇生が分かんないですね」
「そこなんです。更に、そういった物を自身で作るにしろ買うにしろ初めの方はエンジンが優先的に買われていくような気がします」
「そうなると、小型機でも作ろうかな」
「良いような気がします」
「そうなると、敷地が結構いるな」
「そこで、この家です」
話しているうちに先ほどまで見ていた建物の正面に来ていた。建物自体のは黒で先ほどまで見ていた建物の裏は平面で水門があった両サイドには小さいが庭らしきものがあったが正面に側にはこの島を走っている自動車が10台ほど停車が可能な駐車場が広がっていた。
「意外と大きいですね」
「ええ、対岸から見ていたこともあるんですが大きいですね」
「見学しに来たこたなかったんですか?」
「無いことは無いんですが、少し前を通っただけなんで」
「そう言うことですね」
「内見が出来るんですがしてみますか」
「見てみますか」
「はい」
瑠璃は、どこかに連絡している用であった。その間にこの建物の周辺を見てみることにした。工場自体は立ち入ることは出来ないが周囲の建物の設備を見てみることにした。周囲の建物は、先ほどまで見ていた建物よりもサイズが大きいか同じぐらいのサイズであったがどの建物も駐車場が狭い建物が大半だった。その多くの工場でNPCが出勤している様子が確認できた。
「咲夜さーん」
内見しようとしていた建物の前で跳ねながら呼んでいた。咲夜は、駆け足で元の場所まで戻って行った。
ーーー
揃って建物の中に入ってみることにした。入り口には大きなシャッターがありその横にあるドアから入った。中には広い空間が広がっていた上に正面にはあの水門まで続く長いスロープがあり平坦なスペースがあった。その両サイドにいくつか作業室がありそのうちの一角に上の階に続くエレベーターがあった。
「わー広ーい」
瑠璃は、工場の中を走り回っていたが何かを探しているようで各部屋を覗いた上にある一部屋を見て何か満足したようだった。
「咲夜さん上の階に行きませんか」
「ええ」
何か気になりはしたものの上の階も気になったため一緒に上の階にエレベーターに上がることにした。そのエレベーター大きさも大きく車1台分の大きさががあった。その大きさにも驚きはしたものの二階に行くと1階続く吹き抜けがあり天井があった。そこにはいくつかのレールがありクレーン本体は無かったが付けようと思えば付けること出来るようになっていた。
「ここも広いですね」
「ええ、両サイドに会議室がありますね」
「でも、なにも置いていないですね」
「それは、仕方ないですが、それでも味気ないですね」
「それは、そうですけど」
「3階に行きませんか」
「行きましょう」
二階は完全に会議室が並んではいて吹き抜けの両サイドに会議室がありその会議室はエレベーター側には大きな会議室が1つありの反対側に2部屋ありその横にトイレもあった。三階に上がるとそこは完全にプライベート空間が広がっていたそしてそのプライベート空間は明らかに咲夜の家よりも広く面積だけ考えると咲夜の家の2倍ほどの面積があった。
「ここも広ーい」
「広いですね」
「ほら、玄関ですらこんなに広い」
「そりゃあそうでしょう。そして、ここ土禁なんだ」
この世界では珍しく土禁になっていた。実際には自身で土禁にしているプレイヤーもいるのだがそのことを知らない二人はその土禁のことに驚いていた。しかし、たまたま二人とも日本人であったために靴を脱ぐのに抵抗がなく二人そろって靴を脱いで入って行った。
「あ、この部屋がメインの部屋なんだ」
「そうみたいですね」
その部屋は、非常に大きく中央の方に2段ぐらいの段差がありのへこんだ部分が水路側にU字になっておりそのU字が窓まで続いていた。その窓は、非常に効率よく外から光を取り込んでいたそのため非常に室内が明るくなっていた。
「私、自由に見てくるから」
「はーい」
瑠璃は、興奮しているようで先ほど一階で見た同じ光景が広がっていた。咲夜は、施設設備の関しては興味はさほどなくそれよりも1階で瑠璃がきにしていた一室の方が気になっていた。そこの方が気になりはしたものの水路に面している部屋が気になり確認してみることにした。その間も瑠璃は、キッチンやお風呂など水回りなどを確認していた。それを確認した咲夜は、気になっていた部屋に入ってみることにした。
その部屋は、案外広くてベットなど自身で購入しなければならない物が多いがために借りるだけの資金でなく設備を購入するために資金がいるがその資金以上に興味がそそられるものがあった。
「ここの景色めちゃくちゃいいじゃん」
「気が付いたね」
「知ってたの?」
「さっきいろんな部屋見てたからね」
「それは、知っているけど」
「私が探検している間に何をしていたんですか」
「ボケーとしてました」
「そうでしょ。私に文句を言わないで」
「すいません」
「良いでしょう」
偉そうに両手を腰に当てていたのだが瑠璃は、身長が小さいこともあり偉そうの見えることは無かった。
「さて、屋上もあるけど咲夜さんが、ここにするといえる決定打がここにあります」
エレベーターに乗り、一階へ降りる。例の部屋に入ると、そこには巨大な製作機が置かれていた。
機械の金属光沢が、光を反射して美しく光っている。
「――どうですか?」
瑠璃が振り向き、静かに言った。
「この工場、一緒に借りませんか?」
その瞳は、まるで未来を映すように輝いていた。
咲夜は一瞬息を呑み、水面に揺れる光を見つめながら、小さく答えた。
「……悪くないですね」




