43話 屋上
咲夜が資金について考えているとき、既に興味を失った知佳は瑠璃と何やら話込んでいたのだが咲夜が気が付くことは無かった。内容としては、キャンピングトレーラーの内装に関してであった。そもそも、現状でトレーラーを引くことができるような車両を保持しているプレイヤー自体が少ない上に地域によっては国家すらも所有していなかった。その地域のNPCも本島と同じように車両は持っているのだがプレイヤーが購入することは出来ないのでこんなアンバランスなことになっていた。
「ねえ、何時まで考えてるの?」
「いや、考えとかないといつか製造が間に合わなくなるなと思ってな」
「そうでしょうね、でも注文数のことを考えるとまだ自動車会社みたいな工場作るわけにはいかないでしょ」
「そうだけど今後のことを考えるとな」
「そこは、いずれ問題には、なるでしょうけど従業員もいない現状を考えると出来ないでしょ」
「先に会社を立てないといけないけどな」
「従業員にあてがあるの?」
「無いことも無いけど今は無理だな」
「そう」
現状咲夜は、警察車両は個人的に受けている仕事であって会社を立ていないのであまり注文を受けすぎるのも今後問題になるのではないかと考えてもいた。
ーーー
会社の話が出た後は解散となり咲夜は、自室に戻って先ほどまでやっていた設計の続きをしていたのだが、さすがに水上機のことを進めて行かないといけないと考えた咲夜はそっちの作業を進めることにした。進めようとしたのだが水上機に関しての知識が全くなかった咲夜は、一旦現実世界に戻ることにした。
現実世界に戻って来ると時間はすでに深夜に入っていたのだが咲夜は、そのまま自身が自由に動かすことができるパソコンで調べていたのだが、はっきりと設計図が出てくることなく困っていると最近は寝室からログインしている知佳が入ってきた。
「どうしたの、いきなりログアウトして」
「ああ、水上機の件を進めようと思ってね」
「そういうことね、で何か出た」
「良いのは出て来てない何かある?」
「ありはするけど、どんな奴が良いの?」
「逆に何がある」
「うーん、咲夜が作れるエンジンから考えるとこれとになるのかな」
そう言って、見せられた資料にはいくつかの飛行機が載っていたのだがその飛行機は陸上機ばかりで水上機ではなかった。
「これ、陸上機なんだが」
「そうだよ」
「わかって、見せて来たのか」
「うん、水上機にできるでしょ」
「できるか」
「できないの、仕方ないな」
そう言って出てきたのは、水上機だったのだがそのエンジンはどれも星型エンジンを搭載している形状だった。しかし、その内のいくつかはレシプロエンジンを搭載している形状をしていたのでそれしか選択肢がないような状況だった。
「選択肢が実質無いんだが」
「仕方ない」
「そうか、それで設計図はあるの?」
「機体本体の設計図はあるけどフロートとかの設計図は無い」
「わかった、それで覚える設計図コピーしといて」
「わかった」
「夕飯?夜食?なんか食事用意してくる」
「わかったー」
ーーー
遅い夕食は、簡単なもので済ませた。咲夜が知佳にお願いした、飛行機の試料に関してはすでにコピーしておいてくれておりリビングにあるもう一つの机の上に置いてあった。そこには、大量にコピーされた紙が大量に置かれており咲夜も軽く確認したのだが骨格となる部分でも30枚以上あったので一瞬覚えるのがめんどくさいと感じた咲夜だったのだがそこには詳しく寸法が書かれていたのでまだ楽ではあったのだがそれ以上に問題だったのは、フロートの部分の設計図が無いことの方が問題ではあった。
「それで今日はもう1回ログインするの」
「してもいいけど設計図覚えないといけないからな」
「製作機多分空いてるよ」
「それならログインしようかな」
「あと、何台なの?」
「8台かな」
「今週中にうまくやれば終わるんじゃない」
「マックスで動かせばできるね」
「それなら動かしたら」
「それは同時に睡眠時間が無くなるんだが」
「仕方ない」
「それを仕方ないで済ませるなよ」
「そんなこと言っても覚えないといけないことは変わらないんだから」
「話をすり替えるな」
それでも、水上機の設計図を覚えないといけないのは変わらないので食事を終えてすぐにログインするつもりがなかったので覚えることにした。咲夜は胴体よりも主翼の方が重要と考えて主翼から覚えることにした。覚えるスピードは普段と変わりはしなかったのだが主翼の片方でも5.6mもある上で端から端まで同じ設計ではあるもののサイズが異なるので覚える量は多かった。
1時間ほど覚える作業をした咲夜はログインすることにした。
ーーー
ログインしてみるとヴィジオンは夕方で夕日が部屋に差し込んでいた。咲夜は、製作機で警察車両を作製してから久しぶりに屋上に上がることした。咲夜が屋上に上がるのは、内見した以来で上がってみると屋上にはエレベーター塔しかなかったのだが久しぶりに上がって来ると何かを立てようとしているのか骨組みが出来上がっていた。
「何か作ろうとしてるんだ」
「そうみたい」
予想していない場所から声が掛かったのだが声の主は知佳とわかっていたので大きく驚くことなく咲夜は、声の方向を見たのだがそこには知佳はいなかったのだがいきなり知佳が塔の上から顔だけ出した。
「おい、ビックリしたぞ」
「それは、わたしには関係ない」
「関係は無いわけではないんだが」
「そう」
「まあ、いいや、それでこれ何しようとしてるんだ」
「わかんない、でも何か庭園みたいにするんじゃない」
「そうか」
実際、何か庭園にしそうな感じにできておりエレベーター塔に繋がるような形で骨組みが出来上がっており瑠璃が一人でで作ったとは考えれない太い梁などがあった。
「これ、一人でやってんの」
「ひかりちゃんと一緒にやってるみたいだけど」
「そうだとしたらどうやってこの梁上にあげてんの?」
「滑車使ってるみたい」
「滑車なんてあったけ」
「いや、咲夜は作ってたじゃん」
「そうだっけ」
咲夜は、滑車自体は作ってはいなかったのだがエンジンを上げて運ぶ際に滑車があったのだがそのことを忘れていた。
「まあ、それで買ってやってるんだ」
「そうみたい」
「そうか、これこんだけ作ってるけど台風とか来たらどうすんだ」
「わかんない。でもコンクリートで固定とかしてたから問題ないんじゃない」
「そうか」
咲夜は、もう一度骨組み見てこれを作っている二人に驚きはしたものの出来ている現状を考えると出来ないことも無いんだろうと思うことにした。咲夜は、本来の目的であった夕日を見たのだがきたタイミングが遅かったこともあり既に本体は沈んでおり若干の明るさが残って居るだけだった。そのことを確認した咲夜は翼の設計図を書くために知佳と一緒に降りて行った。




