37話 契約
計算が未だに続いているリリアンを片目に咲夜は何台までならすぐに製造できるかを考えていた。1台を作るのに3時間ほどかかる上にエンジンは別に作っているのでさらに時間が掛かっていた。そんなことを考えているとリリアンが声を掛けて来た。
「一応、台数は出ましたが、問題がありまして」
「なんでしょうか?」
「色です」
「色ですか?」
「はい、警察車両など公共車両は基本的に車両の色が決まっておりましてその塗分けは行ってもらえるのでしょうか?」
そのことには考えてはいなかった二人であったのだが製作機で指定してしまえば問題ないことは分かっていたので二つ返事で返答するとほっと肩を下ろした。
「その、料金はいくらになりますか?」
「台数によっては無償で行います」
「わかりました。では、今現状で確実に発注できる台数は40台です」
「その台数なら無償で行いおます」
「ありがとうございます」
「で、カスタムパーツはどうされますか?」
「はい、パトランプは確実に装着します。それで20台にだけ収納ケースを付けてください」
「了解です。そうなると料金は、6億6000万Gになりますね」
咲夜のその計算の速さに感心したような反応をリリアンはしていたいたのだが、そのリリアンの横に居る前島は金額の大きさにおどろいていた。実際そうなるだろう現金化した時6600万もの金額になるのだから驚いて当然ではあったのだがすべてが、利益になるわけでもないしそもそも現状で現金化しようとは考えていない咲夜だったのでそこは気にしてはいなかった。それ以上にその台数を作ろうにも現金が足りない方が問題ではあった。40台分の必要経費だけでも3億2000万にもなりそれだけの資金は無いのでその分の資金は先に貰わないと作製が出来ない状況ではあった。
「はい、今のところは40台でその金額で大丈夫です」
「わかりました。それで契約内容を決めましょうか」
「はい」
そこからは、順調だった。決める内容ははっきりとしていたので内容の摺り合わせ自体は1時間ほどで終わった。しかし、と言うべきかやはりと言うべきか支払いに関してひと悶着あった。咲夜たちは契約の際3分の2にあたる4億4000万Gの支払いを求めたのだが警察側は、支払いを渋った。それもそうで1台も納入されていないのにその金額の支払いを渋るもの当然ではあったのだが3億は貰わないと作製もできない状況で若干のもめたのだが先に半額の3億2000万Gを警察側が先に支払い残りの代金をすべての車両が納品されて時に支払いされることになった。
「こんな内容で大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です」
「はい。ではこれを裁判所に持って行って承認してもらいましょう」
「はい、あとあの試作車はどうされるのでしょうか?」
「あの車両ですか?」
「はい」
「今のところは破棄するか、試験車両になると思います」
咲夜のは発言は完全に嘘だった。本音を言ってしまえば販売したほうが後処理もしなくていいので引き取ってもらえばうれしのだが試験走行をしたりしていて結構な距離を走行しているので値段が安くはなるのだがいくつかのカスタムパーツは一度も使っていない物なので新品ではあった。そしてその咲夜の発言はで再度リリアンは何かを考えるようなしぐさをした。
「この車を契約とは別に購入しますか?」
「ええ、したいのですがいくらでしょう」
「えっと、いくつかカスタムパーツが付いていてパトランプも付いているので1700万Gなんですが、実験走行とかしている車両なので今回は1500万でどうでしょう」
「この場での引き渡しは可能でしょうか?」
「そこは問題なく」
「では、即決でこの場で支払いをします」
「分かりました。では、所有者権限の変更を」
「はい」
ナンバープレートを取得する際に所有者も登録する必要があり現状、そこには咲夜の名前が記載されていた。この所有者変更は簡単にできるようになっていた。各自が配布されている電子端末から、専用のアプリにログインして行うようになっており、短時間で変更できるようになっていた。
その変更自体も簡単なためリリアンがどこからか出してきた警察専用に配布されている電子端末で操作を始めた。するとすぐに1500万Gが咲夜に振り込まれた。そのことを確認した咲夜は、所有者変更を行い5分足らずで所有者が咲夜から警察に変わった。
ーーー
その後、咲夜と知佳は部屋を出て裁判所に移動するためにトレーラーの戸締りをしていたその間交渉の間飾りと化していた前島が嬉しそうに警察車両となった車を見ていた。そんな前島を冷たい目線で見ているリリアンがいた。
その戸締りもすぐに終わり裁判所に前島たちとは別に移動することになった。
「案外うまくいったな」
「うん、利益だけでも2億8000万G強でしょ」
「ああ、そうなるな、でも8000万は家の購入に消えるから2憶が確実な利益だな」
「そうね。でももう少し時間が立つと大変になるんじゃない」
「生産がか?」
「うん、今回は本島だけだったけど今後は本島以外からも来るでしょ」
「そうなるだろうな」
「どうするの?」
「ひとまずは、本島以外の警察以外は契約しないことにする」
「それ、結構問題にならない」
「しかたないだろ生産できないんだから」
「そうね、早めに量産する準備は今後のためにしておきたいわね」
「そうだな」
「ええ」
「着いたな」
警察署から裁判所まではさほど離れてはいなかった。ちょうど警察署とタワーの中間地点にある建物で何度かこの前を通ったことはあったのだがこれが裁判所だとは知らなかった。裁判所と言っても契約のどの重要な契約の保証を行う場所なのでビルの建物だったのだが装飾が全くなくシンプルな建物だった。
駐車場に止めるとすぐに集まり建物内に入って行った。建物内部もきれいで他のプレイヤーはおらずNPCばかりだったのだが受け付けでリリアンが電子端末を何か機械にかざすとすぐに個室に案内された。案内された個室の中には本拠地の会議室と同じようにデザインだった。会議室に入ると用紙が用意されておりテンプレートがある程度用意されており内容と契約者を記入するぐらいの準備がされていた。その用紙に先ほど話しあった内容を再度確認しながら記入していきその場で署名をしあい部屋の片隅に置かれている機械に投入すると契約がゲーム的に問題ないかが確認されて可能と表示された。その表示を確認した咲夜と前島は、機械に手を当て内容を読み上げた。すると、この現実世界の物理法則で出来ている世界にしては珍しく二人の周囲が光った。光が消えると片手に紙が握られていた。その紙を確認すると契約に使用した内容の書き写しだった。
「今日は、ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ車両の提供をありがとうございます」
「出来るだけ早く40台納品できるようにいたします」
「それは、ありがたいです。すぐに料金の3億2000万を振り込みます」
「はい、確認でき次第製作をはじめます」
「ありがとうございます」
「では、ここで」
「はい、ありがとうございます」
咲夜と知佳は裁判所を後にしたのだがこの契約の40台を納入するために一か月もかかった。




