36話 それでは
咲夜と知佳は、早めにログアウトすることにした。早めと言っても現実世界では深夜に入っており受験生がこんな時間までゲームをしていたら通常は怒られるはずなのだが二人とも成績優秀で行く大学は選びたい放題なので誰も気にしていなかった。そんな、二人はログアウトすると寝る準備をして就寝した。
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先に起きたのは咲夜だった。実家ではひかりが朝になると起こしてくれるのだが知佳の家では自力で起きるしかないので最近は咲夜が何とか起きて朝食の準備をするなど実家ではひかりがしていたことを知佳の家では咲夜がしていた。何とか知佳を起こして朝食を食べさしていた。
「おまえ、今まで朝どうしてたんだ」
「今までは、ぎりぎりに起きてホームルーム中に侵入してた」
「よくばれなかったな」
「ばれてたよ。去年なんて遅刻のし過ぎで留年しかけたし」
「そんな状況だったのかよ」
「うん」
2人は、平日と同じような時間に起きたこともあり警察署署長の前島との約束の時間にはまだ余裕はあるのだが確認したいことがあった咲夜は先にログインしていた。
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先にログインしていた咲夜は、車の追加のカスタムパーツを取り付けていた。どの取り付けていたパーツは、ランプではなく収納ケースを付けいた。このパーツに関しては今後、他のプレイヤーが開発した収納ケースも付けれるようにしていた。取り付けの時間は掛からなかったのだがその他のパーツを確認していたので時間が掛かっていたのだがそれ以上に時間が掛かったのは、車の積み込みだった。始めは、見せる車を自走で持って行こうと考えていたのだが最悪その場で受け渡す可能性も考えて新しく作ったトレーラーで運ぶことにした。このトレーラーは初めから車を運ぶことを想定して事前に書いていた物も一つだったのですぐに作製することは出来たのだが予定していなかった出費ではあった。その車を何とか入れ終わりトレーラーの側面に運転席に乗り降りするための専用の扉から出たタイミングて瑠璃が下りて来た。
「おはようございます」
「おはようございます」
「今日は、早い時間からログインしていますね」
「ええ、学校もないのでログインしようかと思いまして」
「そうなんですね、咲夜さんはこれは」
瑠璃のこれとはトレーラーのことであった。昨日ログアウトするときには無かったはずの新しいトレーラーがあるのだから当然の疑問ではあった。
「これですか?」
「ええ、これ昨日には無かったじゃないですか」
「ええ、昨日新しく作ったので」
「そうなんですね、でも作る必要は無かったのでは」
「いや、もう一台のトレーラーは満杯なので」
「何でですか?」
その理由を説明するのに1時間ほどかかったのだが何とかお咎めなしとなったのだがタイミング悪く降りて来た知佳はがっつり怒られ終わったころには「瑠璃は怖い」とだけ言った。
瑠璃による説教が終わったタイミングでそろそろ警察署に行かなければならない時間になり咲夜と知佳は警察署に向かうことにした。
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警察署に着くと前島が待ち構えていた。車を見ると前島は運転席に座っている咲夜に近づいてどこに止めたらいいかを教えてくれた。どうもこの警察署には地下があるようでそこに案内された。
「こんにちは、咲夜さん、知佳さん」
「こんにちは、前島さん」
「今日はありがとうございます。それでなんですがここに副署長を呼んでも大丈夫ですか?」
咲夜は、一旦知佳の方を見たのだが知佳はうなずいたので咲夜が了承を伝えると前島は署内に入っていた。咲夜と知佳はその間に車をトレーラーから出す準備をしていた。始めに出しやすく来るためにバックで入れていたので問題なく出すのには時間が掛からないようにしていたのだが、ラッシングベルトでトレーラーと固定していたのでそれを外していたその作業をしていると副署長であろう人物を連れてきた。その光景を見た咲夜は、ベルトを外す作業を一旦やめて二人と向き合うような形で知佳と並んだ。
「こちら、今回車を販売してくれる咲夜さんと知佳さんです」
「「はじめまして」」
「はじめまして、この署の副署長をしているリリアンです」
リリアンと名乗った人物は前島よりも背が高く顔つきも日本人と言うよりもヨーロッパよりの顔をしていたので外国人だと認識できたのだがここはゲームの世界なので実際はどうなのかは分からなかった。
「それで、先に車の確認をしますか」
「はい、先に確認させてもらえれば助かります」
「では、出すので少し離れてください」
そう言って咲夜は、入れるときとは逆の手順で車を引きだしたのだが、車をバックで入れていたこともあり低速ではあるがすぐに引き出すことは出来た。引き出されて車を見て感心したように声を二人は上げていた。完全に引き出した咲夜は、二人の待つ場所に行った。
「どうでしょうか?」
「これは、良いですね」
「ええ、聞いて想像していた物よりも出来が良いですね」
「ありがとうございます。急いで作った物なのでいろいろ不具合は、出るとは思うんですが」
「いえ、今の状況を考えると近くで見ても」
「どうぞ」
そう言うと前島は、近くによって車を撫でまわすかのよように見ていた。咲夜は、疑問に思っていたことを聞くことにした。
「リリアンさん質問をしても」
「はい、内容に寄っては回答できませんが」
「そこまで深いことは聞かないので大丈夫ですよ」
「それであればどうぞ」
「犯罪は多いんですか?」
「多いですよ。プレイヤーだけではなくNPCも犯罪をするのでなんやかんや忙しいです」
「儲かりますか?」
「いえ、そんなにですよ。今の感じで行くと現金化したら何とか現実世界で生活できるぐらいですね」
「そうなんですね」
「はい、でも危険手当とかが出ているのでそこに追加で保障金が入るてな感じですね」
「意外と現実的な設定なんですね」
「はい、でもダウンすると高額な請求が来るので犯罪者も警察も恐る恐るやっている感じではありますね」
「そうなんですか」
咲夜は、疑問に思っていたことの一つが解決したので若干満足していた。
そんな話しをしていると一通り確認し終わった前島が戻ってきた。
「咲夜さんありがとうございます」
「満足できるような物だったらうれしいです」
「それは、大満足ですよ。それで金額の話をしたいのですが」
「そこが問題ですよね」
「はい」
「このにはいくつかのカスタムパーツを付けているのでベースよりも高くはなっています」
「はい、ひとまず車体の金額はいくらですか?」
「1500万Gです」
「1500万ですか?」
「はい、警察専用で設計を一部変更しているので」
「一旦、相談してきても」
「はい、かまいません」
「では、5分ほど」
そう言うと前島とリリアンは駐車場近くにある会議室らしき部屋に咲夜と知佳を案内してから別室に移った。咲夜と知佳は署長らの話し合いが終わるまで全く関係ない話をして時間を潰していたのだが丁度5分で二人は戻ってきた。
ーーー
戻ってきた二人は何か覚悟を決めたような顔をしていた。
「どうされましたか」
流石に先ほどまでと明らかに顔つきが変わっていたので咲夜は若干緊張したのだがここで何かしても相手の方がリスクが大きいことが分かったのでその緊張もすぐに解けた。
「はい、何台か購入させていただこうと思うのんですが」
「やはり、金額ですか?」
「はい、私たち本島は広大な面積なので結構な台数が必要となります」
「はい」
「なので若干でも金額が安い方が助かるのですがそこで1000万Gまで安くはなりませんか?」
「1000万Gですか?」
「はい」
このことはやはりそうかと言った感じだった。こうなることは先に想定はしており先にどうするかを二人は決めていた。1000万Gで売ったとしても問題は無く200万Gの利益は確定で出来るので問題は無いのだが二人からしてみれば今後の付き合いよりも現状の車の貴重さに重きを置いていた。実際現状で燃焼型の車両を生産できるのは咲夜だけでエンジン単体だけでも販売してはいるのだが高額に設定しているので個人で新しく車を作成しようとすると1500万G以上かかるのでこのことを考えれば1500万Gは格安ではあった。
「では、この話は無かったことで良いです」
「ちょっと、待ってください」
そう言って咲夜と知佳が部屋から出ようとすると前島は焦ったようで急いで止めに来た。その後ろでこの値切りは反対だったのであろうリリアンはため息を付くように肩を落としていた。リリアンはどうもこうなることは想定してはいたのであろう実際この交渉では圧倒的に咲夜たちの方が有利で前島側は不利な交渉であることは理解していたようではあった。しかし、咲夜からしても値切りたい理由もわからないことも無かった。限られた資金でどれだけ多くの車両を入手するかは重要ではあった。
「なんでしょうか。私たちは車を売りに来たわけでプレゼントしに来たわけではないんですが」
「それは、わかっています。ですが、出来るだけ低コストで済ませたいこともありまして」
「それで、何でしょうか?」
「ですから、安くしてまらえないかと思いまして」
「別にことらからしてみれば1台2000万Gでも3000万Gでも販売しても構わないんですが」
咲夜にそんな金額を言われてどう返せばいいのかわからなくなった前島が固まっていると今まで静観していたリリアンが会話に割り込んできた。
「申し訳ありません、ですが資金が限られている現状多くの台数を配備しようと思うとその金額では、50台ほどが限界でありまして」
「では、買わないという選択肢もありますが」
「いえ、現状遠く離れているエリアのパトロールが出来ていないので欲しいのです」
「では、いくらなら出せますか?」
「それは、カスタム込みでしょうか」
「どちらでも構いません」
「因みにカスタムパーツにはどういった物が含まれているのでしょうか?」
そう聞かれた咲夜は、どんなパーツがいくらかを伝えて行った。因みにパトランプなどライト系は後から増設できるようにしてはいるのだがコネクタが特殊な形状をしておりその形状の特許は咲夜が持っているのでカスタムパーツは買われなくても問題は無かった。それぞれのカスタムパーツの金額を伝えるとリリアンは計算を始めた。一方で前島はどう対応すればいいのかわからなくなっていた。




