33話 資金源は
「借りれた」
「そうだろうな」
「何か、文句ある?」
「文句しかないんだが」
「何が?」
「いや、いきなり連れてこさせられたと思ったらいきなり借りだすし」
「仕方ない、ひとまず中に入ろ」
知佳のその意見に反対ではなかったので格納庫の正面の大きな開き扉の正面に車を止めてから扉横にある人が一人ギリギリ入ることが出来る扉から中に入ると咲夜たちが本拠地にしている面積よりも広く天井には本拠地にはないクレーンが存在していた。天井は高く学校の体育館よりも高かった、それも当然で昔は大型旅客機が入っていた設定になっているためにこのような構造になっていた。
「流石に広いな」
「うん、ひと昔前に飛んでいたジャンボジェット機が2機は入りそうね」
「ああ、確かに互い違いにすることで入りそうではあるが、それでここはいくらだったんだ」
「家賃?」
「そう」
「50万G」
「そんなにするのか」
「逆だよ逆、それだけしかしないの」
「確かにそうだが」
確かに面積から考えるとこの敷地面積で50万Gは安く感じるのは当然だが、この格納庫の周囲には全くと言っていいほど商店が無く最も近くにある店が高速道路のサービスエリアだった。そのため、面積に対しての価値が低くこんだけ大きな格納庫を借りても安かった。
「さすがにこんだけ距離が離れていると不便だろ」
「そこが問題ではあるんだけどね」
「滑走路が使えたら少しは違うかもな」
「飛行機でも作る気?」
「いつかは作りたいけどな」
「材料が不安?」
「いや、航空機に関係する知識が全くないからそこが不安だな」
「確かにそこは重要よね」
「ああ」
咲夜も最近は航空機な関係する知識を入れてはいるのだが量が多い上に複雑に絡みあっているので過去の航空機を車と同じように真似したとしても問題が起きる可能性がありそこを咲夜は危惧していた。
「でも、さすがにジェットエンジンとかは、取得しようとしてるんでしょ?」
「いや、エンジンとしては取得はしていない」
「そうなの、なら何で取得してるの?」
「エンジンブレードで取得はしてる」
「そんな方法で取得してるの」
「ああ、ブレードにお関しては、構造が簡単な上今後先に取られる可能があったからな」
「確かに、簡単の構造ではあるけど、結構複雑な形してるでしょ」
「ああ、でも覚えたらだな」
「そうなるか」
「まあ、いつものことだから問題ないだろう」
「そうだけど」
2人は、会話しながら建物内を探査していた。格納庫自体は非常に広いのだがほとんどが駐機スペースになっているので部屋割自体は無いに等しかったのだがさすがにこれほど広い建物なので移動も一苦労ではあった。
「それにしても、広いな」
「ええ、さすが元格納庫」
「内装は、どうするんだ」
「内装かー、ひとまずはこのままにする」
「瑠莉に頼まなくても良いのか?」
「いずれはするけど」
そう言って。咲夜の方を見た。その視線に気が付いた咲夜は知佳の方を見ることは無かった。
「あの計画か」
「そう、でも瑠璃は知ってはいるんだが」
「そう、でも知っている人は少ない方が良い」
そう言って知佳は、格納庫の中を楽しそうに歩いていた。今になって気が付いたのだが知佳の服装は初日とは異なり何か怖い雰囲気がある中にも可愛さがあるような服だった。その後も、知佳と咲夜は探索を続けた。
ーーー
その後は、必要になりそうな物を電子端末に記録しながら再度、格納庫内を確認してから格納庫を後にした。そして今は、街に戻るために車を走らせていた。
「そうだ、免許は取らないのか?」
「免許、とってもいいけどめんくさい」
「おい、そうなると毎回格納庫に行く時に運転することになるじゃないか」
「それは、仕方ない気がする」
「気がするにしないでくれ」
「でも、さすがに自由に移動できないのはしんどいから取るとは思うし瑠璃さんも取ると思う」
「そうだな、そうなると車がさらに必要になるな」
「そうね。私は、家の車でいいから」
「わかった、もう一台作っておく」
「うん、それよりこれ、フラットにならないの?行く時からしんどかったんだけど」
知佳の文句は仕方ないもので、咲夜もこれほど長距離を移動するとは考えていなかったので車を変更しなかったのが仇となった。パーティションで仕切られた後部座席はさらにしんどくクッションすらすらなくシートも動かないので前席の方がまだましではあった。
「仕方ないだろうこんなに長距離を移動するとは思っていなかったんだから」
「そうだけど、さすがにもう少し倒れては欲しいけどね」
「それは、助手席にいる人間の声だな」
「助手席にいる人間だもん」
「そうだったな」
咲夜はその返答に肩を落としたものの事故を引き起こすわけにはいかないので再度集中して、車を走らせた。
ーーー
本拠地まで近くなった時にある疑問に気が付いた咲夜はその疑問を横で何かを見ていた知佳に話しかけた。
「知佳、気になることがあるんだが」
「何が、気になるの?」
「格納庫に掛かる費用はどこから捻出してるんだ」
「かかる費用はパソコン関連のパーツを作ってるからそこから」
そう言って見せて来た画面には、短期間にしては高額な450万G と書かれており納得することが出来るものではあったのだがこれほど短期間で稼げるものだとは思っていなかった。
「そんなに稼げるのか」
「うーん、なんとも言えない。現状プラスチック類は高額なパーツになってるから金属が中心になってるから何とも言えないかな」
現状プラスチックを大量に製造できるような特許を持っているプレイヤーはいなかったそもそも原料であるサフナの流通量が少なくそれに伴ってプラスチック製品が高くなっているのが現状だった。
「そうか」
「ええ、だからこの車は、布とか金属が主になっているんだけどね」
「確かに、内装は、金属か革、布だな」
「気が付かなかったの?」
「いや、エンジンのパーツとかはアルミとかで大半は作ってるから気が付かなかった」
「そうなのね」
「ああ、それが原因で金額が上がっているんだがな」
「それでも、今のプラスチックよりはましでしょ」
「まあな、どうやったらプラスチックを安価にできるるかな」
「掘るしかないんじゃない」
「そうなるよな」
因みに、本島にも石油を採取している場所はあるのだがそこは、ゲーム世界の力ですべてガソリン、ハイオク、軽油、灯油など燃料に変換されていた。これは、他の油田でも同じ現象が発生していた。因みにプレイヤーが採掘権を購入して採掘した場合は原油として採掘されるようになっていた。
「いっそのこと咲夜が採掘権買ったら」
「無茶言うなよ。あれ結構高額だろ」
「うん、海外の人が買おうとしてたけど1日で3000万Gぐらいだったはず」
「それ、どこでも同額なのか?」
「なんとも言えない」
「だよな、中東とか高いんじゃないのか」
「確かに、その人の正確な場所は分かんないけど、アメリカとその辺の人だったはず」
「そうか、そうなるとこの島も高いかもな」
「確認してみればよかったね」
「今度確認してみるか」
「そうね」
採掘権は、始めに一回は各地域のでの実際の採掘量や質で決定されており出来るだけ現実世界と同じような質が取れるように調整してある、そして一度購入されてしまえばその後はその金額が最低限の価格としてオークションが行われる仕組みとなっていた。
「それにしても、ほんとにリアルな世界よね」
「ああ、リアルすぎて怖いぐらいだな」
「確かに」
「もう、付くぞ」
「ええ、さすがに疲れたから私はこの後、一旦ログアウトする」
「了解、俺もログアウトするわ」
「うん」
長時間のログインが終わった。そして、二人がログアウトした時間は、現実世界で空が明るくなりはじめるタイミングだった。




