32話 格納庫
咲夜と知佳は明日が休みなことをいいことに作業を続けていた。何が原因で出来ないのかは分かっていたのでその原因である資格はどこで取得することが出来るのかを考えていたのだが二人の意見がまとまった場所は意外にも近くにあった。
「タワーか」
「そこしかないでしょうね」
「そうだな。今世界にはタワーが8か所あるからな」
「うん」
「世界地図に落とし込むと東京、香港、ドバイ、喜望峰、ローマ、ロンドン、サンパウロ、ワシントンそしてこの本島」
「世界にある9つのタワーに資格販売の施設があると考えていいのかも」
「ああ、でも、世界中に武器の会社があることを考えればタワーがある地域に住む人間が余りに有利すぎじゃないか」
「そこは、仕方ない。ゲームだもの、でも今後は資格を取得した人間が会社を立て販売店を作っていくでしょう」
「そう思いたいな」
「そもそも、特許自体も早いも勝ちだから仕方ないところでもあるんじゃない」
咲夜は、そこに反対意見を言うことは出来なかった。現状咲夜が大金を抱えているのは特許が大きく寄与していたからではあった。
「そうだな」
「うん、時間から考えて車がそろそろ出来るんじゃないの?」
咲夜は、電子端末で時間を確認してみると確かにそろそろできてもいい時間になっていたので作製機に向かうことにした。
ーーー
作製機に着くとそこには、既に車両が出来ていた。車両は、黒だけでペイントされており現実世界での警察車両と同じようなカラーリングにはされてはいなかった。
「いい出来じゃない」
先に、出来上がった車両の中を見ていた知佳が感想を言っていた。後に続き咲夜も同じように車内を確認した。内装は、派手なものではなく必要最低限のものでコストが明らかに下げてあるような内装だった。そして、咲夜たちの持つ車両とは異なり前席と後部座席を分けるようなパーティションが設置されていた。
「流石に、これは付くのね」
「ああ、日本みたいに無しでも良かったんだがこれからのことを考えるとあった方が良いからな」
「そう、これは後付けなの?」
「いや、根元から付いているから変えようと思うと設計図からだな」
「そうなのね。そうなると市販は難しのね」
「いや、そもそもこの車自体のメインシャシーはうちのと同じだから問題はないよ」
「それなら、改良版の販売も早そうね」
「ああ」
咲夜たちは、車両の出来を確認した後ナンバープレートの取得をした。ナンバープレートは、咲夜の車両のシモ桁が一つ違うだけだった。
「これで、動くのね」
「まだ燃料が入ってないから動かにけどな」
そう言って咲夜はあらかじめ準備していたジェリ缶から燃料を移していった。このジェリ缶は咲夜が先日、給油した時の新しく販売されていた物で、価格は5000Gと以外にも安く咲夜は思わず4缶も買ってしまった。その内1缶だけ給油していた。
「それ、役立つことがあったのね」
「ああ、デザインも良いからミリタリー系の車両に合いそうではあるな」
「そうね」
ジェリ缶は、第二次世界大戦時にドイツ軍が開発したものに酷似していた。咲夜はこのことを知っていたので少しこれを見つけた時は驚きはした。
咲夜は、燃料を入れ終わりエンジンを掛ける作業をしていた。作業と言っても数回エンジンを掛けるようにダイヤルを回しすだけで前回と同様に数回でエンジンは掛かった。エンジンが掛かったついでにホールに車両を移した。ホールに置いていた個人車両と比べると若干個人車両の方が大きかった。
「意外に小さいのね」
「ああ、でも町中を走るとこれの方が大きがな」
「それは、仕方ないでしょう」
「そうだな」
「それにしても、始動に必要な電源はどこから来ているのかしら」
「そこは、気になるところだな。バッテリーは積んではいるがそれは充電されているはずがないからな」
「でも、製作された時点で充電されていると考えた方が納得しない?」
「確かにな」
実際に知佳の予想どうりで咲夜は、設計時点でバッテリーの充電の有無には記載はしてはいなかったのだが作製機は組み立ての時点で充電が必要と考え充電していた。そのためバッテリー単体で作製すると充電はされないのだがこういった作製機が必要と考えた時は勝手に充電される仕組みになっていた。
「それで、試走に行かない?」
「良いが先に給油するからな」
「それは、かまわないわ」
「そうか、なら先に給油しに行くぞ」
2人は、試走に行くことになった。
ーーー
二人が乗った試作車は、高速を走っていた。先日瑠璃と走った時とは異なり明らかに目的をもって走っていた。
「それにしてもタワーに無いのは意外だったな」
「うん」
給油を終えた、二人は前回の反省からタワー近くの駐車場に車両に止めたのちタワー内部を散策したのだがそれらしき受付は無くそれ以外ではないかと考えいろいろ確認していたのだがそれいった物が無く諦めることになった。
「それにしても今どこに向ってるんだ」
「飛行場」
「こっちには、無いぞ」
「うん、今は運用されてない」
「そう言うことか」
本島には、運用されている滑走路が5本あるのだが、その内2本が軍事関連の空港が北西側にあり残りの3本は南西にあるのががこれはあくまでも今現在、運用されている滑走路であって過去に採用されていたという設定で本島の中央にある砂漠エリア近くに1本滑走路が残っていた。
「それで、そこに向かう理由は?」
「秘密」
「秘密にする必要があるか」
「無い」
「なら何で」
「なんとなく」
「そうか、それでなんでなんだ」
「今後、飛行機とか大型の物を作ろうと思うと今の場所だと出来ないから」
「確かにそうだな。そうだが、そんなに資金は無いぞ」
「知ってる、あの家を買うのが優先なんでしょ」
「そうだ、因みにその知識はどっちからだ」
「瑠璃から」
「そうか」
その後は、話をすることなく知佳に指定された場所まで車を走らせ続けていた。助手席ではゲーム内でも寝ることが出来るのを発見したようで知佳は寝ていた。既に外は暗くなっていたのだ問題なく走れせていた、追い越し車線では時より猛スピードで走行していくNPCの車がいた。
走り始めて3時間ほど経ったときに指定されて場所にたどり着いた。知佳が指定した場所は、湖のほとりではあったのだがそこか元空港であったであろう施設を見ることが出来た。
「おい、知佳付いたぞ」
「うん」
現実世界とは異なりすぐに起きた知佳は周囲を確認した後車から、降りた。後に続くように咲夜も降りた。知佳は、咲夜のことを気にすることなくそのまま空港の施設のゲートの横にある建物に近づいた。その建物にはNPCがおりそこに何か話しかけた知佳は、咲夜の方を見てハンドルを握り運転するようなジェスチャーをした。それを見た咲夜は、車に再度乗り込みその建物まで車を動かした。一旦ゲートの前で止まったときに知佳が乗り込むと同時に目の前にあったゲートボールが下に下がり知佳に目線を向けると進めと言わんばかりであったのでそのまま車を進めた。その後は知佳の案内どうりに車を進めるとある格納庫の前で駐車した。
「それで、この格納庫はどうしたんだ」
「うん?この格納庫は借りたの」
「は?」
「正確には、借りる予定なんだけど」
そう言って、知佳は車から下りて咲夜が初日に行ったように電子端末で手続きを済ませてしまった。




