26話 電話
2人は、電車で学校に向っていた。昨夜発生した事故はただの漏電から安全機能が作動したことにより停電した事故で問題も解決されたことで今朝から問題なく運行していた。幾ら科学技術が発展しようと根本的な技術は大幅に進展はしていないのでこういった事故が時たま発生する。発生したとしても数年に1度あるかないかと言ったレベルではあるのだが。
「昨夜、今日はどうするの」
「どうするって何を」
「今日もうちに泊まる?」
「泊まらんよ」
「そう」
知佳は、何か悲しそうに返答してきた。普段、無口で必要なことしか伝えてこないが付き合いが比較的長い部類に入る咲夜は知佳のちょっとした変化に気が付くことが出来ている。このままだと分が悪いと考えた咲夜は、別の話にすり替えることにした。
「それにしても、今日はそっちの服にしたんだな」
「うん」
咲夜たちが通う学校には、制服がいくつかあった。男子生徒は基本的に学ランかブレザー制服の2択を選択しているのだが女子生徒は、セーラー服をはじめいくつかの種類がありその組み合わせは無限と言っても良かったのだが当然その分料金がかかるので結構厳選して選ぶ生徒が多かった。また、私服通学が許されていた時期もありはしたものの数多くの問題が発生したために私服通学を認めている学校は数を減らしていた。二人の通う学校は人気校に入るのだがその理由としては、各自ある程度の制服の改造が認められているので皆若干制服が異なっていた。
「でも、少し寒くいないか」
「寒い」
「なら何で、いやなんでもない」
「そう」
知佳の格好は、黒に近い緑のワンピース形状の服で胸元は、ダブルスーツの様にボタンが2列になっていた。そして、咲夜が続きを言うのを止めたのは明らかに咲夜が今着ている制服に、合わせるような服装になっていることに気が付いたからであった。
その後は会話されることは無く咲夜の家と知佳の家の中間地点にある高校に登校した。
ーーー
学校では普段の様に咲夜は、外を見たりして時間を潰していた。咲夜からしてみれば既に覚えている内容なので真剣に聞くつもりもなく、時たま化学の先生が教えて来る豆知識の様な化学知識が唯一の楽しみではあった。そして、今は数学の授業で教師が何かを必死に教えているのだが、その大半の生徒は空腹と戦う4時間目だった。その4時間目ももう5分もすれば終わる時間ではあった。
「よし、今日はこれで終わりにしよう。今日は聞く気がなかった奴が多くいたから後で課題を何時のもように送っておくから明日までに紙で提出してくれ」
そう言うと当然クラスメイト達は不満げに「えー」と言った声を出してはいたのだが教員は知ったことかという感じで教室を後にしていった。教員が後にするとクラスメイト達は各自好きなように動いて行った。この学校には、AからE号棟までありAとBは各学年の教師がありC号棟には化学など実験室と職員室DとEには部室がある。そのD号棟ににある空き教室に咲夜は通学の途中で買った昼食を持って向っていた。
教室に着くとそこには先客がいた。
「よう」
「うん」
「4時限目はどうしたんだ」
「自習だった」
「そうか」
そこにいたのは、知佳であった。そもそもこの教室が使われていないことと鍵が開いていることを教えてくれたのは知佳であるのだから当然ではある。
「そう言えば、昨日の国会の奴はどうなったんだ」
「あれ、こうなった」
どうも説明がめんどくさいようで咲夜と一緒に買ったサンドイッチを食べながら自身のスマホの画面を見せて来た。そしてそこには、議案が可決されたことが、記載されてはいたのだがすべてが可決されたのではなく幾つかの法案は通っていなかったり条件が付いていたりと説明を嫌がる理由が分かるもであった。
「そうなると、これからいろいろ役所は大変だな」
「うん、でも実際に運用が始まるのは2年後だかまだましかも」
「そうだな。それにしても僅差だな」
「3票差は結構ギリギリだしね」
「まあ、その代わり人数制限が付いてるからそこはいい点だな」
「確かに」
知佳は、サンドイッチをむしゃむしゃ食べていたのだが含まれているセット内容に嫌いなものがありそれをさっきから昨夜のサラダパスタの蓋の上に置いていた。
「おい、全部食べろよ」
「食べて」
「好き嫌いはよくなぞ」
「それは、仕方ない」
「成長もしないぞ」
「成長はしてる」
そう言うと自身の胸をしたから支えるような形で強調してきた。さすがにその攻撃には昨夜も返しようがなかった。しばらく強調していたのだが咲夜が何も言わなかったのが顔を赤くしてやめてしまった。
「なんか言ってよ」
「何を、言えばいいんだ」
「大きいよとか?」
「それを俺が言って何か問題にならないか」
「なるの?」
小首を傾げた知佳ではあったのだが咲夜からしてみれば言いにくいポイントで実際、知佳本人が気にしている素振りを他の人の前では見せていたので触れないようにしていたのだが、知佳は時たま咲夜の前ではこういったことをするときがあった。
「まあ、いいや」
「そうか」
「そうだ、今日から私もヴィジオン始めるから」
「え、やるの?」
「何か問題でもある」
「いや、無いけど。どこから始める気だよ」
「本島だけど」
「無理だろ。あそこ抽選だぞ」
「無理だったら、咲夜が呼べばいい」
「金は?」
すると知佳は、咲夜を指さした。
「俺か」
「うん」
「因みにいくら移動にかかるか知ってるか」
「知らないけど」
簡単に答えた知佳には驚いたしまった。しかし、咲夜からしてみれば知佳がゲームの世界にもいることはありがたかった。咲夜は、暗記能力と応用力には優れているのだが、パソコン関連の技術に関しては、全くでき無かった。この、まったくできないも知佳と比べて出来ないであったアプリやゲームのプログラムをこの年齢で出来てしまうことが異次元で昨夜のパソコンに関連する技術はその辺の学生よりあるのだが。
「それで、今日から始めると言っても本島から始まった楽だけど別だったどうするんだ」
「すぐに移動を始めるけど」
「そうなると、すぐお金送らないといけないじゃないか」
「そうだね」
「はー、寄り道できないのか」
「大丈夫、うちに来れば」
「問題あるだろ」
「無いけど」
「両親の許可とか知佳の両親の許可といるじゃないか」
「ほら」
先ほど返したスマホを操作した知佳が見せてきたのはうちの両親との連絡画面でそこには、咲夜を無期限で宿泊させることの許可の内容だった。
「おい、先回りか」
「うん」
「でも、お前の両親はどうなんだ」
「ほら」
そう言って見せられたのは、咲夜が泊まることの了承が書かれていたのだが最後の一文が問題だった。そこには母さんとの愛の巣は使うと二人で寝るのは問題ないと書かれていた。
「おいおいおい、お前の両親どうなってんだ」
「そういうこと」
「いや、何かの間違いだ」
そう言って咲夜は、何かあったとき用に聞いていた知佳のお父さんに電話を掛けたのであった。




