19話 完成と譲渡
咲夜の燃料を買って戻ってくるのはさほど時間はかからなかったのだが、咲夜は今後のことも考えて20Lのタンクを持って戻ってきた。その際、街中を見て気が付いたのが多くのプレイヤーが電動自転車で移動しているということだった。これは、チェーンが作られたことでゲームのアップデートと同時にNPCにより貸し出し自転車が登場した。その自転車にチェーンが使われているので咲夜に大金が入った理由でもあった。
咲夜は、燃料を車に注ぎ込んでいった。20Lは一瞬で飲み込まれていった、咲夜は燃料を給油できないことを恐れた結果この車の燃料タンクを大型に設計して積み込んだ。そして咲夜は、エンジンを掛けるために運転席に座りセルを回した。電機関連は繋がっていた居たのでエンジン始動させるために先日買った運転に関連する電子部品の説明書を見ながら作業を行った。ポンプが動く音がしてしなくなったので指導させようと捻るとかかりそうな音だけして掛からなかった。しかし、その作業を続けて10にはいかないぐらいでエンジンが始動した。その音はすごくマフラーを付けていたのだがそれでも音が大きいように感じた。それは、この世界では、初めての内燃機関の始動であった。さすがにエンジンがかかる音に気が付いて瑠璃も会議室から出て来た。
「咲夜さん掛かったんですね」
「ええ、掛かりました」
「掛けるなら教えてくださいよ見たかったのに」
「すいません」
「いえ、吹かしてみてくださいよ」
「いいですよ」
咲夜は、運転席でアクセルを踏みエンジンを煽ったその音はうるさい物ではあったのだが頼もしさも感じるものであった。
すると、どことなくアナウンスが入った。
「プレイヤーによる実績が解放されたことによりプレイヤー・企業間での特許技術の販売・譲渡が可能になりました」
それだけ言うとそのアナウンスは聞こえなくなった。そしてそれは、咲夜だけに聞こえていたわけではなく瑠璃にも聞こえていたようであった。
「咲夜さん」
「ええ、多分ですが私たちのことですよね」
「そうだと思います」
「こんな感じにミッションがあるんですかね」
「結果だけ見ればあるんだと思います」
「そうですよね。ひとまずは今やることを進めて行くしかないですね」
「はい、続きをやってきますね」
そう言って瑠璃は会議室に戻って行き咲夜は、出来た車にナンバーを配布してもらうために再度製作機に入れるために動かした。咲夜は、製作機に入れて電子端末からナンバーの配布を申請した。申請自体は簡単ですぐにナンバープレートが装着されたのと同時に紙の書類と電子端末の個人所有物欄に配布されたナンバープレートの番号が追加されていた。そして紙の方には車体の全長、全幅、重量、エンジンの気筒数が書かれていた。
「やっぱりそうだったか」
咲夜が予想していた部分はこの乗員のことでそこにはシートの数の4名と記入されていた。出来上がった車を咲夜は、先ほどまで置いていた場所に戻してロータリーエンジンのおにぎり部分作製をすることにした。
ーーー
さらに2時間後部屋で作業をしていたこともありドアがノックされた。咲夜が返事を返すと扉が開けられて瑠璃が顔を見せて来た。
「咲夜さん入っても大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ」
顔だけ入っていたところから瑠璃が紙を持って入ってきた。瑠璃はこの部屋をデザインしたこともあり咲夜が知らないところにギミックがあったようで椅子が出て来た。
「そんなところに椅子があったんですね」
「はい、隠しみたいな感じで椅子を作っていました」
「そうなんですね」
「はい、それで内装に関しては出来上がったんで後は作るだけなんですが 欲しい材料があるんで一緒に買いに行きたいので車を出してもらえませんか?」
瑠璃は、申訳なっさそうに言ってきた。咲夜からしてみれば全く問題がないので了承した。
「それは、問題ないですよ」
「それは、良かったです。後これなんですが」
そう言って取り出してきたものは、Tシャツではあったのだが咲夜が今着ている物とは異なり刺繍が施されていた。その刺繍も精密にデザインされていた。
「すごい出来ですね」
咲夜はその服を広げてみていた。そして瑠璃は、同じように何種類か作っていたようで側に置いてあるベットに広げて置いて行った。そのベッドは部屋を作ったときに作成されて家具の一つなのだがベットは、未だに板だけの状態なのでベットとは言えない状態ではあった。そしてそこに広げられたのはシャツだけでなくズボンなども広げられており服の一式がそろっていた。
「他にもこんな感じで作ってみました」
「それは、ありがとうございます」
「いえ、楽しかったので大丈夫ですよ」
「これ、いつ作っていたんですか?」
「咲夜さんが、ログインしていなかった時に暇つぶしで作っていました」
「そうだったんですね」
「それより、着替えてみてください出かけてみませんか?」
「はい、どの組み合わせにしたらいいですか」
「これと、これの組み合わせが良いと思います」
差し出されて服を受け取り瑠璃は、咲夜の部屋から出て行った。咲夜は受け取った服に着替えようとしたのだが自身が臭いことに気が付いた。この世界ではトイレに行く必要もあれば汗を掻くこともあるそうなると当然だが体は臭くなっていくそこまでリアルにできていた。
咲夜は、その匂いには気が付いたのだが今現状この家にはシャンプーは、元より洗剤すらない状況であるとしたら瑠璃がどこかから買ってきた食器用洗剤のみであった。咲夜はあきらめて服を着たのだが一応と思い体を軽く拭くことにした。自身で管理していたタオルを浴室に持っていき軽く体を拭いていた。すると先ほど見た服装とは異なりワンピースを着ていた。
「どうでしょう」
「良いと思います」
「それは、ありがとうございます」
瑠璃は嬉しそうにワンピースを整えていたのだが咲夜が手にしているタオルが気になったのだろう、そのタオルを見つめていた。
「どうしましたか?」
「その、タオルどうやって入手したんですか?」
咲夜が手にしていたタオルは、ふかふかなものであったそして瑠璃も咲夜と同じようにタオルをもっていたのだがそのタオルは糸を織っただけでタオルというよりも布に近い物だった。
「これですか」
「はい」
「免許を取得した際にタワーの中の売店で売ってましたよ」
「そうなんですか」
瑠璃の食いつきは非常に良かった。瑠璃からしてみれば、タオルと言ったらふかふかのものであった上に同じような布が入手できれば出来ることの幅が広がると考えていたからであった。
「いりますか?」
「え、良いんですか?」
「もう数枚あるので」
「それは、ありがとうございます」
咲夜は、自室からタオルを3枚取ってきて瑠璃に渡したすると瑠璃は嬉しそうにそのタオルを自身の部屋に置きに戻って行った。
ーーー
あの後咲夜は体を水で軽く拭いたのちリビングで待っていると興奮が収まったのか若干頬を紅くした瑠璃が来た。
「お待たせしました」
「大丈夫ですよ。では、行きますか」
「はい」
二人は、エレベーターで1階に降りて行った。




