15話 箱
孝一はゆっくと自身の車を車を拭いていたそんな作業が行われているなか咲夜は、眺めていた。孝一の愛車は流線型で未だに多くの熱狂的なファンがこの車にいることわかる車だった。
「拭き終わったから、ボンネット開けるぞ」
孝一の掛け声に咲夜はソファーから立ち上がり孝一が開けようとしているボンネットに近寄った。
そこにあったエンジンは、機械的で冷たさと無骨さがあったがその機械的なところが美しさを生みだしていた。
「こっちも開けたぞ」
「ありがとう」
「うん、俺は他の車触ってるか終わったら言ってくれ」
「はーい」
咲夜は、ノーマルの方から確認しながらどういったパーツがどこに繋がってるのかをはっきりと細部までは確認できないがなんとなく確認することは出来た。もう一台の完全にチューニングされて上にMR車体でなく、パドルシフトによるシフト変更するようになっている上エアロなどカスタムパーツ盛りだくさんなためおりなぜこの車両が公道を走行できるのかわからないほど改造されていた。そして、そのためかエンジンルームには多くの空間が出来ていた。
「全然違う」
本が参考にならないほどは改造されている上の先に見た車では地面を確認することができたがこちらの車は、何かでふさがれていたが、数か所は下との空気が出入りできるようになっている場所が確認できた。
「ねえ、聞いても良い?」
「どうしたんだ」
「こっちのエンジンルームのところ塞いであるの?」
「塞いでは、ねえぞ」
孝一が手を拭きながら咲夜がのぞき込んで言っている意味が分かった。
「そう言うことか、お前なら分かるだろ飛行機の羽と同じだ」
「あーなんとなくわかった。床下の風を制御してんのか」
「そう、まあこの個体は完全に魔改造されてるから公道走行できるか怪しいラインにはなってるんだがな」
「それにしても、昔は乗りたくない車だったのに」
「さすがに、子供からしてみれば何も付いていない車なんて乗りたくないだろう」
「それは、そうかも」
「今から乗りに行くか?」
孝一から誘うのは珍しかった。孝一からしてみれば咲夜はゲームの方が好きだろうと考えて誘うことがなかっただけであったがそれを止める声が聞こえた。
「お二人さん、ドライブに行くのは良いんですが、孝一さんは先に夕食を食べてください。」
「「はい」」
時計を見れば既に夕飯時と言っていいほど時間が経過していた。
「よろしい、孝一さん手を洗ってくださいね」
「はい」
「咲夜は、終わるまで待つか今度にしなさい」
「じゃあ、1時間ぐらいゲームしてくる」
「わかった」
そらだけ言うと沙織は、キッチへと戻っていった。
「父さん、1時間ヴィジオンログインしてくる」
「わかった、車の準備だけしとく」
これで一旦解散となった。
ーーー
咲夜は、時間制限付きのログインを行った。アップデートと同時に新機能の中に任意ではあるが現実世界の時間を表示することが出来るようになっていた。咲夜は、時間を気にしたくないという理由で今まで表示させてはいなかったのだがさすがに1時間という制限があるなかでは、付けてログインすることにした。
ログアウトして、リビングに出ても人がいる雰囲気はなかった。それは、2階に降りても音が全く聞こえなかったことから瑠璃がこの場に居ないことが確認できた。しかし、咲夜はひかりに連絡して現状を確認しなければならなかった。
「もしもし、ひなでーす」
「ひかり、今どのぐらいの場所?」
「空港に居るよ。それと私は、ひな」
「わかってる」
「わかってるなら良いんだけど気を付けてね」
「おーん、それでこっちには、何時頃到着する?」
「えっとねー、関西空港から本島に行けると思ってたんだけど行けなくって羽田空港からしか日本地域は行けないみたい」
「一回、関空から羽田に行くっていうことはさらに時間かかるか」
「うん、料金も増えそうだけど、多分足りると思う」
「了解、後1時間後ぐらいに父さんとドライブに出かけて来るからもしかしたら迎えに行けないかも」
「わかった、どうせ羽田に着いたとしてもすぐに本島行の飛行機に乗れないと思うから」
「うーん、了解また」
「はーい、またね」
本島に行く手段は飛行機が主な手段となっているのが現状となっている。また、航空会社自体も未だにゲーム会社側の好意によって運営されているだけでいつ無くなっておかしくない。
咲夜は、残りの時間をどうやって使うか悩んだがいつもの様に図面を書くことにしたのだが明らかに今書こうとしているロータリーエンジンのおにぎり部分のローターを書くには時間が足りなかった。しかし、今後プレイヤーが裕福になってくれば現実世界では非常に高価であるがために入手しにくい物も作ることが出来るプレイヤーがいれば入手できるので早めに所得してはおきたいものだった。
「時間が足りねー」
咲夜は、水をコップに注ぎながら考え事をしていた。水は、ペットボトルの物を使ってはいた。この世界の水は水道繋がって居ればどこでもその地域の水事情と同じような水を入手することが出来るのだfが現実世界にないこの本島に関しては日本と同じような基準のものが出ているため飲むことは可能なのだが咲夜はいつの癖で使っただけであった。また水に合ったって体調を崩すもないためどんな物を食べたとしても大きな差はないのだが汚れている物よりはとうことだった。
「あと、50分ぐらいならあそこのパーツなら書けるかも」
何かがひらめいたように咲夜は自室で線を引き始めた。咲夜は、このゲームにログインしている大半を作図に回しているのだが他のプレイヤーと比べると珍しい部類のプレイヤーだった。大半のプレイヤーは自身がなってみたかった職業やひとまず金を稼がねばといって労働に励むプレイヤー、友人で遊ぶプレイヤーもいて多種多様な遊び方があったのだが皆結局はGがなければどうもならないということで稼ぐことになってはいた。
50分後咲夜は、製作機の前で特殊な形をしたものを持っていた。その形状はトラックに近い形状をしており穴が開いておりその穴は、円を二つ重ねたような形をした上にそのトラック状の形状の片側から管が上下での伸びていた。
「何とか、間に合った」
実際は、若干時間外になっているのだがそこは気にしてはいけない点ではあった。その出来上がったものはロータリーエンジンのおにぎりが回転するための個室の一つの壁となる物であった。
「あ、時間やっべ」
先ほど作ったそのブロックを自室の机の上に置いてログアウトした。
ーーー
現実世界に戻ってくるとリビングから楽しそうな話し声が聞こえて来たのだが明らかに3人で話しているようだった。
リビングに行くと咲夜が下りてきたことを確認した、孝一はあの階段でガレージに降りて行った。
「ひかり、ログアウトしたのか?」
「うーん、今から羽田に行っても良かったんだけど時間もそうだけどお兄ちゃんが一日中ログインしてる日に移動する」
「わかった」
「咲夜、ドライブ行くんでしょ」
「うん」
「私たちも、行くから」
「え」
「もう一台の方で行くから」
「わかった。ちょっとスマホ取って来る」
スマホを取りガレージに向うとガレージ内で暖気を始めていたのだが明らかに孝一の乗っている方が音が大きかったのだが上に居た時のは音や振動が聞こえなかったのでこの家の良さが分かった。
「お待たせしました」
「良いよ、シートベルトして」
シートベルトをしていると目の前のシャッターがゆっくりと開いて行った。横に止まっているひかりたちの方が先に動きだしてそれに続くような形で咲夜方も動き出した。ガレージから出てそのまま近くのインターチェンジで高速に上がると咲夜たち方はスピードを上げて行きその速度は200kmにもなっていた。高速道路自体に速度規制が撤廃されてのはここ数年なのだが同時に事故が発生した時の速度規制は厳しくなった。
「咲夜、大学どうするんだ」
「今のところ考えてるのは、近くの大学か東京の大学に行くか悩んでる」
「そうか」
孝一は、その後喋ることなく1時間程速度を落として走行していた。すると後方の方からひかりたちの車が抜かしていった。それを確認した孝一は、速度を上げて後ろに着くような形で走行していたのだがサービスエリアに入ることになった。
「うーん、遠かった」
「ここは、どこ?」
伸びをしているひかりの横で咲夜はどこに着いたのかが分かっていなかった。
「広島の宮島」
「宮島」
「うん、もうプチ旅行だね」
「それは、良いんだけど何所に行くの?」
「わかんない、それは二人が決めることだし」
「そうか、それにしても父さんの車、燃費悪すぎないか」
「父さんからしてみればロマンの車だから仕方ないって言ってたけどね」
「ロマンの車にしてもだろ」
サービスエリアの近くのガソリンスタンドで給油している二台を見ていた。
「私、トイレ行って来る」
「あー」
咲夜からしてみれば、自宅周辺を軽く回って終わりだと考えていたのだが大事になったように感じていた。せっかくだしということで咲夜は夜景を見ていた。旧のサービスエリアは夜景を見ることは出来なかったのだが高速道路を管理運営している団体がICFというフォーミュラカーの運営を行っている団体に移ったため高速道路の改修が行われたこのサービスエリアも新設であった。
「ほら」
眺めていると孝一がカップコーヒーを渡してきた
「ありがとう」
「うん、母さんたちは先に移動するらしい」
「わかった」
二人には、しばらく会話は無かったのだがコーヒーが無くなるぐらいのタイミングで孝一から話しかけた来た。
「咲夜は、何に悩んでるんだ」
「悩んでるって?」
「悩み事があるんじゃないか?」
「無いわけではないけど」
「進学のことか?」
「そう、さっきは近くの大学か東京の大学に行くか悩んでるていったけど何がしたいのかが分かんない」
「そうか」
「ねえ、父さんは大学行ったでしょ」
「ああ」
「どうやって決めたの?」
「それはだな」
孝一は聞かれれば素直に簡潔に答えるのだがいい珍しく直ぐには答えなかった。
「車に乗るか」
「う、うん」
その後サービスエリアを出てから二人の間で会話されることは無かった




