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己の実力・決意

俺はゲンとの戦いの後、宿に帰ってきた。四六時中ゲンと一緒に居る訳では無くて安心した。もしもそんな生活が続いていたら俺は気を休める暇が無かった。そうなるとすぐに俺は音を上げていたかもしれない。

「とりあえず風呂に入るか。」

そうして俺は風呂に向かった。


風呂から上がった俺は今日の反省点を考えていた。

まず分かったことがある。俺には圧倒的に経験が足りない。それは仕方がないことなのだろう。だとしても今日のあの短い戦いの中で俺はそれを痛感していた。

「スキルさえ使えてたらなぁ·····いや、それは言い訳に過ぎないか。」

俺は奴によって隙を作り出され·····そこを突かれてしまった。つまりは俺に問題がある。スキルどうこうの話じゃない。俺はあいつの足を狙うあまり、他に注意が回っていなかったのだ。

やっと出てきた隙に気を取られすぎていた。結局のところ俺の集中も切れかかっていたというわけだ。もっと冷静な判断が出来ていればああはならなかっただろう。

とりあえず今の目的は自分自身の実力を高めることだ。これからの特訓でもスキルの使用は最低限に抑えよう。ちなみに今の俺のステータスは·····なんとレベルが3つも上がっている。あの戦いで……だ。おそらくスキルの影響範囲も増加しているだろう。

つまりあの男との戦いは俺にとって、ものすごい糧になるということだ。

「こりゃ·····あいつの経験を根こそぎ奪うしかねぇな!」

俺は笑いながらそう言うのだった。

そうしてまた今日という1日が終わっていく。


そうして俺は部屋のドアをノックする音で目が覚めた。

こんな朝早くから誰だ?少し不機嫌になりつつ俺はドアに向かって言った。

「はーい、何の用ですか?」

すると返事が返ってきた。

「まだ寝てたのか?とっくに起きてるもんだと思ってたが、まあいい。早く支度して降りてこい。下で待ってるぞ。」

相手の正体はゲンだった。どうやら迎えに来てくれたらしい。こりゃ案外、俺は気に入られているのかもな·····とそんなことを思いながら俺は支度するのだった。


そうして俺が下に降りるとゲンはご飯を食べていた。俺がそれを見ているとこちらに気づいたゲンが

「こっちに来て座れ·····お前の分の飯も注文しておいたから。」

そう言われたので俺は席に座りながら

「ゲンさんの奢りですか?」

と冗談交じりに聞くと

「バカが。自分で払え。」

と言われてしまった。


ご飯を食べながら俺はゲンに聞いた。

「今日は何をするんですか?」

するとゲンは食事に集中したまま

「今日は少し外に出て魔物の相手をしてもらう。」

「魔物の相手ですか?」

「ああ。お前も自覚しているだろうがお前には経験が足りない。もちろんそこは俺が鍛えてやるが今のお前には経験がない故の慢心がある。だから昨日の戦いでもお前は勝ったと確信し、注意を怠った。」

……全くもって正論だった。俺はこの世界に来たばかりでまだこの世界での俺の実力がどの辺に位置するのかが分かっていなかった。だから無意識にもしかしたら自分は強いのかもしれないという慢心が生まれてしまっていた。

「だから今日はお前には自分の力というのをしっかりと理解してもらう。そうすることによって自分の課題などもたくさん見つかるだろう。」

「なるほど……だったら早速行きましょう!」

そう言って俺はすぐに残りのご飯を食べ切ると意気揚々と外に出るのだった。

·····いや、外に出ようとするのだった。ドアを開ける寸前で俺はばあさんに捕まってしまい

「ご飯の料金をまだ貰ってないよ。」

「す、すみません……」

すごい顔でそう言われたので俺は大人しく代金を払い、改めて宿の外に出るのだった。


俺は初めて街の外に出た·····こんなにもこの世界は美しいんだな………最初に思った率直な感想はそれだった。

視界一面に緑の高原が広がっていて遠くには森、そして横を見れば川、少なくとも前の世界ではこれほどに綺麗な光景は見たことがなかった。

そうして俺がその光景に見とれていると自然ではない何かが視界に写った。それは虫のようだがそれにしてはかなり大きい。あれは·····まさか

「魔物ってあれのことですか?じゃあ早速行ってきます!」

あれは魔物だった。この世界に来て初めて魔物を見た俺はつい興奮のあまり突っ込もうとしたが首根っこを掴まれて止められてしまった。

「そう急ぐな。相手はあいつじゃない。あんな雑魚を相手にしてもお前の実力は測れない。目的の魔物はもう少し遠くにいる。少しだけ歩くぞ。」

そう諭された俺は初めて見た魔物と戦いたい気持ちを頑張って抑えて·····その男のあとをついて行くのだった。


そうして俺たちはかなり歩いた。そう……かなりだ。何が少しだけだ。めちゃくちゃ歩いたじゃねぇか。俺はそんなこと考えていると俺は目の前に居る何かを見てしまった。

それはとても大きくて普通の一軒家くらいのサイズはあるトカゲのようだった。

俺がその大トカゲに驚いているとゲンか

「お前の相手はあいつだ。」

などと言ったので俺が「何言ってんだお前?」みたいな顔でゲンのほうを見るとゲンは気にした様子もなく話しを続けた

「あいつはオービーっていう魔物でな、この辺りで1番強い魔物だ。アインの嬢ちゃんみたいなトップ冒険者なら余裕だと思うが。」

あの人の強さはよく知らないが冒険者のトップらしいからな。それは当然だろう。じゃあゲンはどうなんだ?と俺が思っていると

「俺ももちろん余裕だぞ?なんせ俺はアインの嬢ちゃんよりも強いからな!」

思っていたことが顔に出てしまっていたのかゲンは笑いながらそう言った。ゲンのほうが強いか、、、、じゃあアインの実力もある程度は分かりそうだな。まあ、当然俺ではかないっこないだろうが。てか今更だがこのトカゲに勝てる気がしないんだが。絶対こいつはまだ早いだろ。

などと俺が心の中でツッコミを入れていると

「ほら、行ってこい。」

その言葉と一緒に俺はゲンによって突き飛ばされた。

「こっ、このスパルタ師匠がぁーーー!!!!」


オービーは俺に気がついたようだ。

「ちっ·····やるしかねぇか!」

俺はそう言いナイフを構え、まずはそいつの顔に向かってナイフを振るった。

‘’キィーーン.ᐟ.ᐟ.ᐟ‘’

 ナイフとオービーがぶつかり合った瞬間、俺のナイフはそのような甲高い音とともに砕け散った。

「おいおい·····嘘だろ?」

オービーには一切·····怯んだ様子などは無かった。

「こんな化け物相手に素手で戦わなきゃいけないってのかよ?」

俺は苦笑しながら目の前の化け物と相対する。

今度はオービーから攻撃を仕掛けてきた。

前の足が上がった·····嫌な予感がした俺は全力で横に向かって跳んだ。

俺がいた場所からものすごい音がして、俺がそちらを向くとそこにはオービーの足のサイズと同じくらいの·····深い穴があった。

「…………こりゃ、死んじまうかもなぁ(苦笑)」

そしてオービーはすかさず俺に向けてしっぽで薙ぎ払い攻撃をしようとしてきたので、俺は万が一にかけてオービーに突っ込んだ。

そうして俺は迫り来るしっぽを間一髪で避けた。傷は·····浅い。かすり傷ですんだ。俺がそんなことを考えていると

「吾季!!!!避けろ!!!!」

とゲンが叫んだ。

咄嗟に前を向くと目の前には大きく開けられた口。俺はスキルを発動し、そいつの動きをほんの僅かに鈍らせることでそれを回避した。

「ぐっ……」

無理やりスキルを発動したせいだろう。体が思うように動かない。あまりにも格上の相手にスキルを使うとこうなるのだろう。

俺がそんな呑気に考え事をしていると頭上から奴の爪が振り下ろされてくるのが分かった。

「ははっ、こんなのに勝てるわけねぇじゃん……」

俺がそう言い目を瞑ると

「馬鹿野郎!お前はまだ生きてんだろ!諦めんな!」

そう言いながらゲンは俺の前に立ち、そいつの攻撃を弾いた。そのまま俺のことを担ぎ上げゲンはその場を去った。


そして街に戻ってきたと同時にゲンが話し出した。

「俺はお前に自分の実力を知れと言っただけだ。誰もそのまま死ねとは言ってないぞ?」

「俺はあいつと戦ってよく理解しました。俺は·····まだまだ弱いんだと……どうせあのまま戦っていても死んでいました。」

「確かに今のお前は弱い。だから俺が鍛え上げると言っているんだ。俺の許可なく勝手に死ぬな。俺が·····お前を必ず強くしてやる。」

彼は俺にそう言ってくれた。

ああ、彼は本当に優しく正義感に溢れているんだな。

だからこそ·····こうも御しやすい……少し弱っているふりをすれば簡単に同情し、味方になる。きっとこれでよっぽどの事がない限りは彼は俺の味方であり続けるだろう。

俺はこの世界に来てから決めていたことがある。

[どんなことをしてでもこの世界で勝ち上がる]

そう、俺は強くなるためなら、とことん悪になろう。きっとそれが暴君となった俺の“使命”だから………

ハブられ無双第6話です!

実は私、この2日ほど風邪でかなりダウンしてました笑

体調が楽な時に合間合間書いてやっと1話出来上がりました。

6話書いてみて分かったことは作品を作るというのがものすごく大変だということです笑

僕の作品はかなり短い作品を1話1話投稿してるのですが僕の場合それでも2時間程度かかってしまいます。

いやぁ、小説家の方はほんとに尊敬します。

ホントは1日1話投稿するつもりだったんですけど、僕の体が持たなそうなので2日に1話程度のペースで行きたいと思います!

次回の話も楽しみにしていてください!

是非とも応援よろしくお願いします!

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