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スキル発動

目が覚めた。朝だ。

「さて今日はどうしようか。」

俺はとりあえず腹が減ったので宿で朝ごはんを食べることにした。そうして俺が1階に降りると

「おい!ババア!今月の支払いはどうした!?!?まさか払えないとか言うわけじゃねぇよなぁ!?」

「今月の分はもう払ったじゃないか!これ以上払う金なんてないよ!」

「あぁ!?ふざけたこと言ってんじゃねぇぞババア!!こっちでは既に確認済みなんだよ!さっさと払え!!」

「そんなこと言われても払ったもんは払ったんだから絶対無理だよ!」

どうやら揉め事らしい。ばあさんと揉めている男はおそらく借金取りみたいな感じだろう。会話の一部を聞いた感じはあの男が言いがかりをつけてお金を取ろうとしているのだろう。ばあさんを助けてやりたい気持ちはあるが、俺は会話の一部を聞いただけだ。この考察が本当に合ってるか分からないし、ばあさんのほうが嘘を言っているかもしれない。なんなら俺はまだ自分の実力を知らない。あの男に勝てるかすら分からない。薄情だと言うやつがいるかもしれない。臆病だと思われるかもしれない。だが俺は異世界に来たばっかりだ。戦い方なんて知らないし、首を突っ込んだとして俺がボコボコにされたらたまったもんじゃない。だから俺は何もしない。それが1番良い選択だろうから。

そんなことを考えていると1人の女が男の背後に立って言った。

「おい、やめないか。ここは宿だ。ご飯を食べている人が居る。何より今は朝だ。まだ寝ている人だって居るだろう。その人らを起こしてしまったらどうするんだ?」

「あん!?うるせぇ!!俺は今このババアと話してんだ。口を出してんじゃねぇぞ!」

そう言って男が振り返ると

「なっ!」

男は驚いたようだった。

「ちっ!分かったよ。今日は引き下がってやる。次はねぇからなババア!」

そう言って男は素直に宿から出た。何故だろう?あの女の人は偉い人か何かなのか?まあ、何にせよあんな行動が出来るということはそれなりの人物なのだろう。

男が宿を出ていってばあさんがその女の人に話しかけた。

「ありがとうね、お嬢ちゃん。助かったよ。」

「いえいえ。聞いている感じあちらが無茶を言っているように思ったのでやめさせようと動いただけですよ。」

「それでもお嬢ちゃんのおかげで助かったよ。次来てくれた時はサービスしてあげるからね。」

「はは、ありがとうございます。また来ますね。」

ばあさんが感謝の言葉を伝えるとその女は笑顔で返して宿を出ていった。雰囲気はかなり良さそうな人だ。

気まずかったから俺はしばらくしてから注文をした。


朝食を食べ終わって俺はある場所を目指して街を歩いていた。そこはどこかというと

「よし、着いた。おぉ〜やっぱり雰囲気あるなぁ。流石異世界!」

そう武器屋だ。俺は中に入ると驚いた。

「うぉ〜、すげぇ…マジモンの武器たちだ…」

そこには剣や鎧、槍など様々なものがずらーっと並べられていた。

「何買うか迷うな〜。そもそもとして俺のこの職業にどんな武器が合うか検討もつかねぇからな。」

暴君。こんな名前ならどんな武器でも似合いそうではあるが·····いや、特にこれといった武器相性が決められていない可能性もあるな。だとしたら自分が使いやすそうな武器を買うべきか?それとも一通り試してみるか?そんなふうに少しの間迷って、俺はそれを手に取った。

「剣とか斧とか槍は全然分からないからな。これならある程度は使えそうだ。」

そう言って俺はナイフを手に取った。前の世界でも俺は包丁は使い慣れていた。もちろん包丁とナイフが同じってわけではないだろうがそれでも1番使えそうなのがナイフだった。俺はそれを店主に渡して言った。

「店主さん。このナイフ買います。いくらですか?」

そう言うと店主は

「7000ミルだ。」

と店主はぶっきらぼうに言った。

愛想が悪いなぁと思ったが口には出さなかった。なんならそっちの方が武器屋の店主らしいと思いもした。それで俺は7000ミルを取り出し

「はい、これ。ありがとうございます。」

「……おう。」

そんな会話とも言えないようなやり取りをして俺はその店を出た。


この後どうするかだが俺はとりあえず服を買いたいと思っている。今の格好は制服だ。これだと嫌でも目立ってしまう。だから安くてもいいからとりあえずおかしく思われない服が欲しい。そこでちょうどいいところに服屋があった。この街って広そうに見えて案外狭いのか?などと思いながら俺は入店した。

俺が入店すると店員が笑顔で

「いらっしゃいませ〜!」

と言った。そしてそのまま

「どのような服がご所望でしょうか?」

と聞かれたので

「とりあえずなんでもいいので普通の服が欲しいです。」

といった。店員は不思議そうな顔をしたが俺の服装を見て納得したようだ。少しモヤモヤした。

「ではこちらなどはいかがでしょうか?」

そう言って店員が見せてくれた服は黒くてあとは白い模様が少し入っているだけのシンプルなデザインの服だった。下も同じようなデザインでどちらも生地が薄めの動きやすそうな服だったので俺はそれを買うことにした。

「じゃあ、その服で。」

「かしこまりました!着て帰られますか?」

「あ、はい。」

「了解しました。では今着ている服をお入れできる袋も用意しますね。」

気が利く店員さんだ。

そうして俺はその服を着た自分を鏡で見て一言。

「うん、普通だな。」

もちろんその言葉は服に対して言ったものでもあるが、その服を着た自分に対しても言った言葉である。似合ってるわけでも似合ってない訳でもない。まさに普通だったのだ。まあ、頑張ってこれが似合う男になろう。と俺は心の中で思うのだった。


そして俺は他にも水やタオルなどの必要そうなものを買って宿に向かって帰っていた。辺りはすっかり暗くなっていた。だがこの2日でこの辺はだいたい見て回ったつもりだ。だからどの道が宿への近道かなどはある程度把握している。

そうして俺がその人気のない道を歩いていると俺の前に3人の男が現れた。誰かと思ったがその中の1人は見覚えがあった。朝に宿で揉めていた男だ。そしてその男が言った。

「兄ちゃん。悪いことは言わねぇ。有り金全部寄越しな?」

「悪いが今、手持ちは無い。」

「嘘つくんじゃねぇよ。そんなに荷物持って金がないだぁ!?舐めてんじゃねぇぞ!」

「だからこの買い物でお金を使ってしまったんだ。だから今持っている金は全然ない。」

もちろん嘘だ。だがこいつらに渡す気は無い。すると男がこう言った。

「じゃあしょうがねぇなぁ。持ち物全部置いていきな!」

そんなことを言われたので俺は

「嫌に決まってんだろ?バーカw」

そう言って中指を立ててやった。

「このやろぉ!!」

そうして男たちは襲いかかってきた。なぜ俺が挑発したかと言うと単純に今の俺の実力を知りたかった。だから戦ってみたいと思ったのだ。朝は勝てるか分からないから戦わないと言ったが今の状況じゃしょうがないよな。せっかくなら異世界の初戦闘は魔物がよかったがしょうがない。こいつらの相手をしよう。

そうしてまず俺は飛びかかってきた1人の脇腹に肘を入れて悶えるそいつを別の男に向かって蹴り飛ばしてやった。

この世界に来てから職業を得たおかげか、かなり身体能力が上がっている。これもおそらく異世界人の才能なのだろう。だから俺はひとまずこの戦いはナイフを使わずに戦う。万が一にも殺してしまったら後味悪いからだ。

そうして俺は残った1人に向かって詰め寄りそいつが振り下ろしてきた剣を横から思い切り叩いてへし折ったあと腹に思い切りパンチを入れてやった。だが相手もこの世界で生きてきただけはある。すぐに立ち上がって距離をとってきた。そして手のひらをこちらに向けて構えた。魔法か。確かに俺は全然魔法を使ったことがない。

だから魔法戦になったら負ける可能性がある。

だが俺にはこいつがある。だから俺はその言葉を唱えた

「スキル·····発動」

その瞬間、俺の意識は闇に呑まれた。

そして目が覚めるとそこは暗い空間だった。俺は何が起こったか考えた。

スキルが失敗した?相手の魔法がいつの間にか俺に命中した?それとも他の原因か?そんなふうに俺が必死に考えていると

「やあ。」

と声がした。思わずそちらの方を見るとそこには……

人の形をした影のような何かが立っていた。その何かはこの暗い中でもやけにはっきりと見えた。そしてその影はこう言った。

「君は今、スキルを使おうとしたよね?君のこれからの人生きっとそのスキルが必要になる。だけど君にはそのスキルを使うために今までの自分を捨て去る覚悟はあるかい?」

今までの自分を捨て去る?何を言っているんだこいつは

「今までの自分を捨て去るって…何故だ?」

「そのスキルはそういうものなんだよ。それで君にはその覚悟はある?」

今までの自分……思い浮かんだのはクラスメイトや前の世界のことだった。

前の世界じゃ俺は施設で育ってきた。親が居ないからだ。元々母親は居なくて、父は急に姿を消した。今じゃ顔も覚えていない。

そしてクラスメイト……とっくにあいつらは俺の事なんてどうでもいいと思って異世界生活を楽しんでいるんだろう。勝は俺の事を心配してくれているかもしれないが俺がまたあの中に戻るということはきっと無理だろう。

つまり俺の今までの自分はもうないようなものなのだ。だったら答えはひとつ。

「ああ、今までの自分なんか捨ててやる。このスキルは俺のものなんだ。だったらさっさと使わせろ!」

「そうかよく分かったよ。じゃあ行ってらっしゃい。」

影がそう言うと俺の意識はまた闇に呑まれ………

そしてまた目が覚めると今度は戻ってきていた。状況を見るにこっちでは一切時間は経っていないようだ。そりゃそうだ。もしもこっちの時間が進んでいたらとっくに俺はボコボコにされている。そういえあの影は一体何者だったのだろう。まあいい。今はとにかく体の底から湧いてくるこの力を早く使いたい。

だから俺は男たちに手招きをしながら

「さっさとかかってこいよ。捻り潰してやる。」

とそう言った。

ハブられ無双第3話です!

吾季君の初戦闘です!初めての戦いで昂っていますね笑

遂にスキルを発動させた吾季君の実力は如何に!

次回楽しみにしていてください!

是非応援よろしくお願いします!!

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