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コップとボール

作者: 杜若表六

あなたはランダムに広いフィールドを歩いている。

あなたはどこからかランダムにボールが飛来してくることに気づく。

まれに空のコップが飛来することもある。

まれに水の入ったコップが飛来することもある。

まれにテーブルが飛来することもある。

まれに空のコップをのせたテーブルが飛来することもある。

まれに水の入ったコップをのせたテーブルが飛来することもある。

まれに濡れたテーブルが飛来することもある。

決して水だけが飛来することはない。


ボールが飛来した場合、打ちどころに気をつけなければならない。


ボールが飛来した場合、ボールの形状を確認し(その大きさと硬さはランダムである)、あなたの在所との関係をみさだめ(ランダムである)、ボールの落下速度と放物線を予測し(ランダム)、それから手をのばしてボールをキャッチまたは身をよじりボールを回避する。

あなたはこれらのプロセスを、物体が飛来するその一瞬で行わなければならない。


救済策として、あなたはゲームに参加することができる。


ゲームに参加した場合、地上のあなた以外の物体は空のかなたへ昇っていく。

ゲームに参加した場合、あなたの元にボールが飛来する可能性は高まる。

ゲームに参加した場合、あなたの元に空のもしくは水の入ったコップもしくはテーブルが飛来する可能性は低くなる。

ゲームに参加している場合、あなたはボールをキャッチする必要がある。

ゲームに参加している場合、あなたはボール以外をキャッチする必要はない。

ゲームに参加中、あなたはボールの飛来に対する準備が可能となる。

ゲームに参加中、あなたは身体にグローブなどの用具を装着することができる。

ゲームに参加中、あなたは脳内に伝達されるイメージによってあらかじめ飛来するボールの形状を確認することができる。

ゲームに参加中、あなたは雲の動きの法則を読むことにによってボールが飛来するタイミングをあるていど予知することができる(ただしボールの落下速度と放物線、および自分の在所との関係はランダムである)。


ところで、まれにテーブルの上のコップの水がこぼれずにテーブルが着地したり、水の入ったコップから水がこぼれずに着地することがある。

だから、たとえばテーブルの上のコップの水を飲みたいときは、テーブルの上のコップの位置を確認し、あなたの在所から手がとどくかをみさだめ、適所に移動し、それから手をのばしてコップをつかみ、口元によせ、水を飲む(あなたはこれらのプロセスを任意のタイミングで行ってよい)。

ゲーム内ではこの行為は禁止されている。地面に接触している物体もしくはそれに接触している物体から水分を摂取してはならない。

だから、たとえば水の入ったコップをのせたテーブルが飛来した場合、水を飲みたいときは、飛来するテーブルの上のコップに入った水の落下速度と放物線を確認し、あなたの在所との関係をみさだめ、適所に移動し、それから身をよじり、テーブルとコップを回避しつつ、口を開けて飛び散った水滴が口の中に入るのを待つ(あなたはこれらのプロセスを物体が飛来するその一瞬で行わなければならない)。


水分を定期的に摂取している限り、あなたはフィールドを歩き続けることができる。


ゲーム終了時までにキャッチしたボールの数によって、ゲーム外であなたのもとにボールが飛来する可能性と、地上で水の入ったコップの置かれたテーブルをみつける可能性が変化する。


フィールド上のゲームフィールドの範囲とゲーム開始およびゲーム終了のタイミングとあなたの全行為は任意である。

ただしゲーム内ではその限りではない。


補足:テーブルが飛来した場合も打ちどころに注意せよ。

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