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装甲お嬢様

「これが戦いの風よ」、完全思考同期型装甲巨兵(ドレス)、聖女機、”ホーリーメイデン・オリジン”撲殺。

さて、ラルーアとピジョンブラッド。

どちらが聖女にふさわしいのか。

「大変だあ」


 過去に何人も聖女を出したことがある歴史ある”ティーベ修道院”。

 ファイハット王都から遠く離れた辺境地に立っている。

 ある日、村人が大慌てで飛び込んできた。


「バグズが、村の裏山の向こうにっ」

「バグズが出たんだあ」



 ”バグズ”


 惑星マナの原住生物である甲殻生物(カニやエビの仲間?)。

 大きさは牛くらいから子犬くらいまで。

 小さな腰に六本の蟹のような足。

 大きなあぎとを持つ三角形の頭を持つ。

 群れで行動し人を襲う。



 小さな村なら全滅もありうる、危険生物だ。


 ざわ


 修道女たちがざわめく。


「コンス修道長」

 一人の修道女が呼んだ。


「わかりました、そちらに向かいましょう」

 四十代半ばの修道長、コンスが言った。

「聖女、ラルーアと、シスターアコ、シスターコズーネに出撃準備をさせなさい」


「「はいっ」」


「お願いします」

 村人が深く頭を下げた。


 ゴゴゴゴゴ


 チチチチ

 近くの森から鳥が飛び立つ。


「チャーチ級装甲移動建築物、”ティーベ修道院”出力全開」

「浮上」

 コンス修道長が指示をする。


「「はいっ」」

 ()()()()で複数の修道女が答えた。


 村の外れに立つ、”ティーベ修道院”が白い煙を出しながら、空に飛び上がった。

 この世界の建物は大抵飛ぶ。

 向かうは村の裏山である。



「聖女、ラルーア」


「あら、()聖女ですわ、シスターアコ」

 ファーストビル教原理派の聖女、”ピジョンブラッド”に聖女の選考で破れている。


 でも、原理派の聖女機、”ホワイトメイデン”は何か嫌な感じがするのですけど。

 背中に翼が生えた機体だ。


 静かな聖堂。

 膝をついて、静かに祈りを捧げる姿は、一枚の宗教画のようである。


 彼女たちの後ろには、三体の装甲巨兵。


 うち二体は、ファーストビル教に標準装備された、


 半思考同期型巨兵スカート、”ソーヘイ”


 修道院に配備されているため、顔と胸部装甲が女性型、”乙型”である。

 

 二機の真ん中にあるのは、


 小柄な女性型、完全思考同期型装甲巨兵ドレス”ホーリーメイデン・オリジン”


 祈りを捧げるような形で駐機している。


 三人が巨兵に乗り込んだ。


 パチパチ


 二機の”ソーヘイ”は沢山のスイッチやツマミを押し、上向きに空いた大きめの胸部装甲を手動で下げる。


 聖女機は、椅子だけしかないシンプルな操縦席に、


「思考同期、”ホーリーメイデン・オリジン”起動」


 つつましやかな胸部装甲が下から上に音も無く閉じた。



 ブー、ブー


「目標上空、出撃準備」


 格納庫に赤いランプが回る。

 床の一部がスライドして開いた。


 ビュオオオオ


 風が入ってきた。


 ガチガチガチ

 キシャアア


 眼下はバグズで一杯だ。


「巨大照明灯で怯ませますっ」

「降下準備をっ」


「「「了解」」」


「照射っ」

 まばゆいライトでバグズを怯ませた。


「降下っ」


 巨兵三機が、修道院から飛び降りる。


 ”ソーヘイ”は盾にメイス。


 ”ホーリーメイデン・オリジン”は両手に重力制御された、巨大なモーニングスター二本。


 両手首に、重力制御用の光のリングが光った。


「うふふふうう、さあっっ、撲殺の時間ですわよおおお」

 元聖女、ラルーアが叫んだ。


「うらああああ」

 シスターアコと、シスターコズーネも続く。


「シスターアコ、クラツカーですわああ」

「これこそ戦いの風ですわよおお」 

 両手のモーニングスターを振り回す。


 しばらくした後、バグズが殲滅された。


 ちなみに、バグズは食べるととてもおいしいので、村人たちに喜ばれるのである。



装甲お嬢様シリーズ、第十弾。

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