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棺の幼女

目の前の怪物と対峙する。

そして短剣を構えた。


その直後、怪物が動き出した。先ほどと同じように足を伸ばし、柚希を狙う。

しかし、柚希はさっきまでの自分とは比べ物にならない速さで避けた。



「ウォラァァァァァァァ!!」

雄叫びを上げるのは豹変した柚希だ。その声を短剣に乗せてお返しだと言わんばかりに怪物を切りつける。

しかし短剣の刃が欠け、あちらはダメージを受けていないかのような動きで柚希に向かってくる。

実際ダメージはないのだろう。怪物の皮膚とも呼べる金属には傷一つついていない。


柚希は職業も祝福もなかったため、魔法を使う事ができずにいる。

頼れるのは己の拳と、この世界の狭間に来る数ヶ月前に買い替えた短剣だけだった。


「チッ……」

しかし、その短剣も今では武器としては致命的な状態にある。

その欠けた短剣で怪物の足を受け流した。

しかし、それを読んでいたかのように複数の足をあらゆる方向から伸ばしてきた。

短剣ではどうしようもないと悟った柚希は、短剣を投げ捨て魔力で強化された肉体ですべてを捌くが、

無傷とはいかずところどころに傷がはしる。


「最初からこうした方が早かったか」

それでも今の柚希には致命傷にはなりえない。

魔法を使ってこないことから、おそらく使えないのだろうと推測する。


「テメェのその目は飾りか!! もっと玉引き締めてかかってこいやぁぁぁぁぁ!!」

以前の柚希では信じられないような言葉が石の壁に反響する。


柚希の少し威圧がのった声にゆるんだ攻撃の隙を逃さない。

一気に地面を蹴って怪物に近づき、顔を蹴り飛ばす。

そして、そのまま倒れた怪物に攻撃も防御もさせる暇もないくらいに殴りつけた。

その一発が凄まじい。

次は俺のターンだと言わんばかりに常人には見えないであろう速さで敵を殴り、一つずつ目を潰していく。


怪物は再生を行っているようだが、再生する前に、違う個所に無数の傷をつけられ追い付かずにいる。

それほど今の柚希は速い。


「死んで俺の糧となれ」

魔力を拳一点に集め、最後の目を突き破る。

怪物の身体に亀裂が走り、霧散した。

普通の魔物とは違い、素材や魔石などは得られないらしい。


戦闘で疲労した体に鞭を打って石の階段まで行き腰を下ろすと、ステータス画面とは別のウィンドウが目の前に現れた。


―スキルを獲得しますか? はい/いいえ


―『心・鑑定』〈Lv-〉

全てを見通す。

それは心も例外ではない


―『変質』〈Lv-〉

物の性質を変化させる。


―『気配察知』〈Lv7〉

生物、物体など様々なものの気配を察知する。

範囲は〈Lv-〉に依存する。

現在 察知可能範囲 2.5㎞


—『超再生』〈Lv-〉

傷を再生する。HPも回復。

HPは一秒間にMPの半分の値回復する。



「鑑定に類するものがあるのはありがたい。あって困ることはないし全て貰っておこうか」

柚希が心の中で「はい」を選択するとウィンドウは勝手に閉じた。

そして、傷が見る見るうちに塞がっていく。

『超再生』の力だろう。


そしてそのままステータス画面を開く。

「やっぱりか」

ステータスは上書きされていた。おそらくこの部屋は外のルールの範囲外なのだろう。

そのおかげで、怪物とも渡り合えた。

格上にステータスが2倍という《叛逆》の効果も上乗せされたため、柚希のステータスが怪物を上回ったのだろう。

―—————————

速水柚希 AGE 16 Lv189

人族???

HP/20000

MP/20000


Str/50000

Vit/50000

Dex/10000

Agi/50000

Int/50000


スキル一覧

短剣術 〈Lv5〉

威圧  〈Lv-〉

心・鑑定〈Lv-〉

変質  〈Lv-〉

気配察知〈Lv7〉

超再生 〈Lv-〉


呪禍

《叛逆》

―—————————


「これはなんていうか……強くなったな……」


これまでのステータスに加え、この世界で何千、何万もの魔物を狩って溜まっていた経験値が一気に加算されたのだ。

ここに来るまでのステータスは平均800ほどであったため、変化は一目瞭然だろう。

ちなみに勇者柊栄人のステータスは平均3000ほどである。勇者のステータスでもあの世界ではトップクラスに位置するだろう。

柚希は最低値でも「Dex/10000」である。化け物と言われても文句は言えない。ステータス的には人間かどうかも怪しいらしい。




ステータスの確認が終わったところで、祭壇の上にある棺に目を向けた。

先ほどの怪物は、おおかたあの棺を守る番人のような役目を担っていたのだろう。

柚希は石段を上り、棺の前に立つ。

これだけ豪勢な装飾が施され、勇者でも倒せないほどの番人が守るものだ。

それに興味を惹かれ、棺の蓋に手をかけようと手を伸ばすと、蓋は勝手に柚希とは反対側へと滑り落ちていった。

柚希は僅かに手を引っ込めた。


「ん~、ふわぁぁよく寝たのじゃ~。今は世界暦何年かのぅ。そんなに寝てないとは思うのじゃが……」


自分、寝起きですよと言わんばかりに、起き上がって伸びをし始めたのは幼女だった。

エメラルドの美しく透き通った髪に、誰が見ても口を揃えて美人だと言うであろう顔立ち、空色のワンピースが彼女の髪と白い肌を際立たせている。


道行く人はその歩みを止め、この幼女に目を奪われるだろう。そして、紳士(ロリコン)は鉄の掟を忘れ、変態(ロリコン)に成り下がる……? であろう程に。


(なぜ幼女……)


柚希の疑問はもっともだ。自分と魔物以外に生命体は存在しないと思っていた。

それに棺だ。普通死体が入っていると思うだろう。


柚希はそんな幼女が座っている棺を、足の爪先でコンコンとつついてみる。


「ん……!? ……なんでここに人の子がおるのじゃ!? この部屋は見つけられぬはずなのじゃが……! それにガーディアンはどうしたのじゃ! 誰にも妾の快眠の邪魔をさせぬようにガーディアンを置いておいたはずなのじゃが!」

幼女は眠そうな顔から一転、幽霊でも見たかのような顔をしながら柚希に話しかける。


「お主、何か答えぬか。それにこの足はなんじゃ……? 妾はこれでもえら……」


幼女が「快眠の~……」と言い始めたあたりから柚希は無言で棺の縁に足をかけ、再び話始めた途中で、「じゃっじゃうるせぇ。何か言い残すことはあるか? 猶予は与えんが」という目を向けると、棺をそのまま祭壇の下へ蹴り落とした。














学生の身分ですので更新は休日になるかと思います。

読者の皆様がどう思っていらっしゃるのかを知りたいので、

ぜひ感想を書いてくださるとうれしいです!

面白ければ評価もお願いいたします。



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