魔法少女ちゃん転生の裏側?
あとがきで解説コーナーとかやっていこうと思います。
「ローゼン!ローゼンはいるかい!?」
そんな声と共に騎士団にて勤務中であるはずのジークこと私の旦那様はなぜか家に帰ってきてはすぐにそんなことを叫び始めた。
「はい。いますよ。なんでしょうか、あなた様」
そういいながら私も家から飛び出すと、旦那様は一人の傷ついて、今にも命が途絶えてしまいそうな女の子を抱えて、息も絶え絶えになっていた。
「まあ!その子は誰なんですか!?」
私も困惑しながら旦那様にそう話しかけると、
「この子、ラピスは今日からうちの子になる!詳しいことは後で話すから今はこの子を治してあげてくれないか!!!頼む!!!」
そんな風に返してきた。まあ旦那様がここまで強引に何かを頼むということはそれだけこの子が訳ありだということでしょう。そう納得しながら私も
「わかりましたわ!早く医務室に運んでくださいな!!」
そう返していそいで行動を始めた。
医務室に運ばれた女の子こと、ラピスへの治療はすぐに始まった。聖者の称号持ちである私にかかればこんな傷どうとでもなると思って正直少し舐めてかかっていたことが仇になってしまった。彼女の傷には少しではあるが呪憑きであったのだ。現役だった頃の私であればこんなことを見逃すはずはなかったのだけど、と少し自己嫌悪に陥る。
しかし、正直そんなことで落ち込んでいる暇がないほど彼女の傷は根が深く、思ったよりも重症だった。どうにかして解呪をしなければいけないのではあるが、今手元に、それどころかこの国には解呪の聖石がないためどうすることもできない・・・
「あなた様。これは無理かもしれません。これは呪憑きの傷です。しかもこの前の騎士様で解呪の聖石は使い切ってしまったのです・・・」
「なっ!そんな・・・それではこの子を見殺しにするしかないというのか・・・?」
「ええ。最近教国による聖石の高騰が激しいですし、現在この国の聖石はありません・・・」
でもあきらめたくはありません。どういうわけなのかは知らないですけれど、この子はうちの子になるのです。なら死なせるわけにいくものですか。
「確率は限りなく低いですが、この子の生命力にかけてみるしかありませんね。」
「できるのか?」
「できるか、できないかではありませんよ、あなた様。実証例は一回ですがありますし、それにかけるしかありません!」
実際、現在考えうる限りではこの子を救う手立てはないのです。ならたとえ確率がどれだけ低かろうと・・・!そうして暫くラピスに回復魔法をかけていると、何かが光り始めた。
「!!ローゼン!これはなんだい!?」
「おそらく感応現象ですわ!これなら・・・!」
しばらくして光が収まるとラピスの指にさっきまでなかった指輪が嵌っていた。
「この指輪は・・・!心聖石!これならいけますわ!」
「ラピス!ラピス!あなたは生きなければなりません!「ヒール」!ここで終わってしまうなんてそんなの、この私が許しません!」
さあ!早く起きなさい!最後の一歩はあなたが踏み出さなければならないのです!
「んぅ・・・」
起きましたのね!
「起きたか!」
そして時は少し進み、ラピスの寝たあと・・・
「ところであなた様。この子は結局どこの子なんですの?」
「ああ。この子はな・・・元帥閣下の”あの”弟君の隠し子らしい・・・」
「はぁ!?て、てことはこの子は王家の、しかも”あの方”の血を引いてるということですの!?」
「ま、まぁそうなるな・・・すまん。また、迷惑かけると思う。」
「すまんで済むようなことだと思いまして!?王家の血を引いているんですよ!?どんな人たちから狙われるか今から頭がいたいですわ・・・でもまあ、仕方ないですわね。乗りかかった船ですし・・・できれば事前に相談して欲しかったですが・・・」
「すまん・・・」
「そこはすまんではなくてもっと違う言葉ではなくて?」
「・・・ありがとう。」
「うん。それでいいのですわ。この子は、もううちの子。王家の血をひてようとなんだろうと守ってみせますわ・・・!もちろんあなた様も責任持って協力して下さいね!」
「もちろんだ!」
これからどうなるのか、不安ではありますが。ラピスはもううちの子なのです。長生きできるように私の持ちうる力の全てを授けなければ・・・!そう考えるローゼンであった。
ローゼン・ファーレンハイツ:元々世界に数少ない回復魔法の使い手で、中でも超優秀な人だけが名乗れる”聖者”という称号を持っている国有数の回復魔法使い。
聖石:回復魔法や聖魔法の触媒となる石。
心聖石:人の心に存在していると言われる幻の聖石。なんらかの装飾品の形で顕現する。
元帥閣下:騎士団、魔法師団、兵団全てのトップ。現在は国王陛下の腹違いの弟が勤めている。