報われない魔法少女ちゃん
お久しぶりです。どうも僕はかわいそうな女の子が好きみたいです。
「一撃で滅べ!しゃいにんぐ☆すぱーくるっ!」
そんな声と共に起こるのは目の前にいる木っ端魔物では絶対にかわせないような光の大爆発。
「GYAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!MURIIIIIIIIIIIIIII!!!!!!!」
今日もまたいい仕事をしてしまった。そんな達成感からか少し得意げな笑顔で一息つく。あ、突然だが私こと布里花瑠璃は魔法少女である。みなさんもご存知のとおり、魔法少女というのは気持ち悪い見た目をした怪物や凶悪なモンスターから人々の平和を影からこっそり守るという仕事だ。華やかなように見えるが、この仕事はそこそこ命の危険は伴うし、相手は気持ち悪いしでなかなかきつい仕事なのだ。
そんな仕事ながら、魔法少女にも任期というものがある。それはまあ年齢の関係だとか、心の変化だとかいろいろなものが加味された結果ではあるのだが、うちの地区では5年がいつもの任期らしい。そしてなんでこんな話をしているのかというと、今日も今日とて深夜のパトロールであった怪物を倒したところ、私の唯一無二の友人である白いたぬきみたいな見た目をした「ヴァングⅡ」が
「あ、伝え忘れてたんだけど瑠璃の任期は今日で終わりだよ!お疲れ様!今までありがとね!」
などと唐突に言ってきたからだ。いやそれはいいのだが。
「私いなくなっても大丈夫なの?この地区。」
「うん・・・まあ実のところ結構辛いんだけどね。歴代最強の魔法少女の瑠璃に抜けられるのは。」
そう。実は私の担当地区であるここには当初、数多の魔物たちが住み付いていて大変だったのだ。そんな環境から、たった5年で魔物のかけら一つ落ちてないクリーンさになったのはひとえに私の尽力のおかげなのである。ここに住む人たちは私に感謝して欲しいところだ。
「ところでさ。瑠璃の願いは本当にあんなのでいいのかい?」
「うん。今でも変わってないよ。私の願いは”来世は幸せに過ごせますように”のまま。」
「・・・そうか。うん。瑠璃の願いは責任を持ってこの僕が叶えることを約束するよ。でも、だからって今世も諦めちゃダメだからね?」
「わかってるよ。でも、魔法少女の力を失った私じゃどれだけ保つのかわかったもんじゃないけどね。」
「僕にそこまでの力がなくてごめんね・・・」
「気にしないで。ヴァンのせいじゃないよ。ただ私の運が悪かっただけ。だから、来世は少しサービスしてくれてもいいんだよ?」
「もちろんさ!僕に出来る限りのことはするつもりだよ・・・おっと。そろそろ時間みたいだね。じゃあね。瑠璃。またいつか!」
「うん。じゃあね。ヴァン。またいつか!」
そういってヴァンは私の前から消えていった。ああ。これで唯一まともに喋れる友人も、私の命を今まで幾度となく救ってきた魔法少女の力も、失ってしまった。
「こんな調子じゃ、明日生き残るのも辛いかな・・・ははは・・・」
そんな言葉と乾いた笑いが真夜中の街に消えていった。
「おい!とっとと起きろやカスが!!」
そんな声と共に鈍い痛みが頭に走る。
「っ・・・」
痛い痛い痛い痛い!!!昨日までの比じゃないくらい痛い!やっぱ魔法少女としての力は偉大だったんだなってことを実感するよ・・・
「なんだその顔はよォ!俺に反抗するつもりか!」
ここでもバコンと拳が飛んでくる。あ、なんかやばい気がしてきた。
「反抗なんかしねえよなあ!お前は俺に生かしてもらってるんだからよオ!」
これは・・・多分新しい女に逃げられた時だな・・・ざまあみろってんだ・・・
「さっきからイライラする目つきしやがって!死ねや!」
そんな言葉と共に頭に響きわたる衝撃。それが私の、布里花瑠璃の最後の記憶だった。
結局魔法少女辞めてから24時間も生きられなかったね・・・まぁヴァンも約束してくれたことだし。来世に期待しますか・・・
「っ〜〜〜〜!!!!!なんてことするんだこの人は!瑠璃・・・ごめんね。守ってあげることができなくて・・・でも約束は守るよ。瑠璃がきっと幸せな生活を送れるように。僕から送れるものはこれくらいだけれど。少しでも幸せになってくれるといいな・・・さあ、おいき。君はもうこの人生からは解き放たれた・・・」