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銃声のその後は2

 全員が水戸ミオを見つめていた。

 その右手にはハンドガンが握られている。


「今すぐ、ナオから離れて」


 相変わらず抑揚のない声で話す。


「まっ、待て。なんだその物騒なものは」


 さすがにさっきまで怒り心頭だった村瀬もさすがに慌てている。


「これは、私の異能で出した」


「出したって銃の使い方なんて知らないだろう。普通」


「そんなこと言われても知らないよ。なんかできそうな気がしてやったらできた」


「そんなバカな…」


「でも、実際にここにあるし弾も出た。それよりもナオから離れて」


 ミオは淡々と答える。


「わかったから、それを引っ込めてくれ」


 「うん、わかった」というとスカートのポケットにハンドガンをしまった。


「えっ?ポケットに入れるの」


「うん、他に入れるとこもないし」


 銃器の扱いってそんなんでいいのか。


「それって空砲じゃないんだよな」


「なんで、そんなこと聞くの?」


「いや、だって実弾なら天井に穴が開くはずだろ」


 全員が、さっき撃たれたであろう天井を見た。

 天井には傷一つついていなかった。それどころかさっき落ちたはずの薬莢すらなくなっていた。


「たしかに、傷一つついてないな。つまり、破損が起こってもすぐ直る、もしくはそもそも傷つかないのか……」

 博士はつぶやいた。


「待て待て。たしかに、そこも重要なことではあるがそれよりも彼女が銃を向けたことはルール違反じゃないのか」


 村瀬は不快感をあらわにしながら質問をした。


「おそらく、ルール違反にはならない」


「なぜだ」


「まず、勝負は自分としか行えないがそれ以外は書かれていない。つまり、勝負でなければ問題ない。あと、禁則事項にはプレイヤー以外の殺傷行為としか書かれていない。普通に考えればプレイヤー同士なら問題ないということだ」


 全員がその言葉の意味をすぐ理解した。


「まあ、今は大丈夫だと思うけどな」


「ナオ、どうしてそう思う」


「それは、決まってる。裏のおれが威嚇射撃で済ましているからだ」


「ちょちょちょっ、なに。今の音!痛っ」


 ものすごい勢いで高瀬さんが教室の扉を開けて入ってきた。

 まあ、ものすごい勢いで開けた扉が跳ね返ってきて挟まっていたけど、本人のためにいじらないでおこう。


「いやー何もないですよ」


「そんなことないよね。校舎中に響てたよ。バーンって。間違いなく撃ったのは彼女だよね、ミオさんだよね」


「さあ、なんのことだかわかりませーん」


「ミオさん、目を見てしゃべりなさい。というか監督役だから異能も全部わかっているから素直に白状しなさい」


「すいません。私がやりました」


「素直でよろしい。というか勘弁してくれよ。学校の修繕すんの全部俺なんだから」


 ん?今なんかすごいこと言わなかったかこの人。


「えっ?学校修繕全部やってるんですか」


「今回だけだけどな」


「でも、さっき撃ったのに天井はきれいじゃないですか」


 俺はさっきの天井を指さした。


「ああ、これはそう見せてるだけ」


 そういうと、高瀬さんはパチンと指を鳴らした。

 すると、天井の穴が突然現れた。


「うわっ、本当だ。すごい魔法みたい」


「魔法だ。なんせ、プレイヤーネームマーリンだからな」


「じゃあ、この天井の穴も魔法で?」


「いや、今から仮止めで板貼って、ホームセンタープロに行って天井材買ってくるだけだけど」


 わあ、超アナログ。

 たぶん、全員思っているけど。


「まあ、そういうことだから余計なものを壊すなよ。直すの大変なんだから。わかったか?」


「はっ、はい」


 高瀬さんのあまりの迫力に全員が返事をした。


「ほら、たまるな。行け行け」


 そうして、全員教室の外に追い出された。


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