堅香戦
わたし、堅香サツキにはツツジという姉がいる。
「だから何?」と言われてしまうとそれ以上言うことはなくなってしまう。
ただ、一つ言えることは私は姉のことが大好きだということだ。
いや、この言い方だと少し語弊がある。正しくは私は幼い時の姉が大好きだということだ。
今のツツジはあまり好きではない。怠惰なツツジははっきり言って嫌いだ。
「ふぁああ、おはよう」
リツが眠そうにしながら挨拶をする。
いつもと違う景色に少し戸惑ってしまう。
もしこれがツツジであればこの時間に起こすところから始めないといけない。一度起こしにいって、リビングに行く。どうせ起きてこないので、その間に私は朝食を済ませて学校の準備をする。ついでにツツジのカバンの準備をする。そして、二度寝をかましている残念な姉を起こす。そこからが大変だ、朝食を食べさせボサボサの髪をセットし服を着替えさせてカバンを私が二つ持ち引っ張りながら連れていく。その時間は約20分。
そうして、ようやく学校に行く。
いつも通り。
ルーティン。
でも今日は違う。
「何してるの、早く朝ごはん食べようよ」
「うん」と返事をしてリツの後ろをついていく。
「よく起きられたね。いつもなら、もっとゆっくりなのに」
「私を表と一緒にしないでよ、むしろ早く起きてゆっくりとしたいんだから」
結局、ゆっくりしたいんだ。
まあ、でも私としては楽だからいいけど。
「そういえば宿題は?今日数学のやつ提出だよ」
「昨日やった」
ここもツツジとは違う。
前に、ナオさんが「変化っていうほど違いはないよ」と言っていたけどまさにその通りだ。どちらかというと「違和感がある」という感じで気のせいかもで通ってしまいそうだ。たぶん誰も気づかない。
そしてナオさんはこうも言っていた、「ただ、仲が良かったり人の行動をしっかり見ている人は気づくよ。その人と仲が良ければ良いほどいろんなことに気づくから別人って感じがするんだよね」と、こうやってリツを目の前にするとよくわかる。外見やしゃべり方はほぼ同一人物といってもいい、だけど少しずつ違う。朝早く起きられたり、宿題をちゃんとやったりいつもしていないことをする。24時間365日も一緒にいるとその程度の差もとても大きな差に感じる。
まさに別人と暮らしている気分だ。
今日で二日目。
決断の時まで残り九日。




