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接触2

 とりあえず、有里花に教えてもらった場所のベンチで横になって時間をつぶしていた。

 目的の人物はまだ現れてくれない。

 この二週間で変わったことはそれぞれの異能を把握した。これを言いだしたのは、村瀬で「真田みたいに穏便に済ませることができるかもしれない」という理由だった。こういう時に村瀬の行動力はとてもありがたい。

 そうして会話が増えたおかげでこの二週間何もなかったのかもしれない。

 その会話の中でリツが「異能って響きがダサいからスキルに変えたい」と言いだしてそれが通った。

 スキルは有里花であれば火・水・風・地のエレメントに属した魔法が使える。リツは反転、さっさんは相手と動きを同調させるスキルを持っている。残りのメンバーについては、まだ自分でもわからないらしい。

「おやおや、いかにも暇そうって顔してるね。ナオ君は」

 ようやく目的の人物が接触してきてくれた。

「なんで、こんなとこにいるんですか、ゲームマスター」

「本当に…君といいマーリンといい、もう少しサプライズに対してそれ相応の反応してくれないかなー」

「サプライズって……今日の朝わざとぶつかってきた人が急に現れても驚かないでしょ、普通。むしろそれでびっくりしてたら逆に鬱陶しいですよ」

 それを聞くとゲムマスターはあちゃーといった感じで手のひらをおでこに当てて顔をしかめながら「それもそうか」と言った。

「どうして、うちの制服着てるんですか?しかも上級生の」

「ああ、これ?いいでしょ。前回の参加者の子がね『いつもの格好で学校に入るのはさすがにまずいからこれ着て堂々と入ってきなよ』ってくれたの」

 くれたのって言われてもあなた一回その格好で鏡に立ったほうがいいって。赤髪に紺のブレザー、グレーと薄いピンクのチェック柄スカートってどんなサービスシーンだよ。そりゃあ、さすがにあのゲーム紹介の時のボディーラインを強調した服装で学校に来られても困るけどこの格好はもっとやばい。

「あれあれ?顔赤くなってない?思春期だねー、うりうり」

「ちょっと、何言ってるかわかんないですけど、つ、つつかないでくださいよ」

 「ほれほれ」といいながらなおもつついてくる。

「おい、そこの変態コスプレイヤー、人が必死に運営してる中、後輩いじりですか?いい御身分ですね」

「やあ、マーリン。こんなところで奇遇だね」

「ああ、奇遇だな。見覚えのある赤髪を追ってここまで来たら偶然お前に会ったんだ」

「たっ、たぶんそれ偶然じゃないよね。確信犯だよね。赤髪の高校生なんてこっちじゃレアだって聞くし。痛い、痛いって。お願いだからこめかみグリグリしないで」

 ゲームマスターの抵抗もむなしく高瀬さんのこめかみグリグリは勢いを増すばかりだった。

「あのー、いちゃつくのは結構なんですけど、早く本題に入ってもらっていいですか」

「誰がいちゃついてるだ」

 標的が切り替わって俺になったみたいだ。

「うわー、いたいいたい。ぼうりょくはんたーい」

「そうか、まだ足りないか」

 さらに力をこめてグリグリしてくる。さすがに、ここまでくると滅茶苦茶痛い。

「ほんと、イタイイタイ。マジですいませんでした。冗談ですからちょっとした盛り上げたい気持ちから出た発言ですから勘弁してください」

「まあまあ、後輩のナオ君もこう言ってるわけだし放してやりなよ」

 いや、誰のせいでこうなったと思ってんの。少しは責任感じてくれ。

「じゃあ、本題に入れって言われたわけだから言わしてもらうけど。ねえ、誰か勝負しそうな人いないの?」

「なんで、おれに聞くんですか」

「いやーだってナオ君が最後のクリア者になるかもしれないし、それになんだかんだでみんなをまとめてくれてるからそういうのも詳しそうだし」

 (なんで、おれがみんなの情報を集めてるの知ってんの)

「みんなの異能は把握してますけどそこらへんはみんな今は誰も考えていないんじゃないですか」

 ゲームマスターは「なるほど」とつぶやいて少し考えて「じゃあ、他の人で誰と誰が勝負しようとしているとかは何も知らないわけか」とつぶやいた。もちろん、知るわけもないので「そうですね」と答えた。

「ああ、それならたった今申請があった」

「えっ、誰ですか!」

「とりあえず、二人とも一旦離れてくれない」

 気がつけば、ゲームマスターと二人そろって高瀬さんに迫っていた。

「堅香姉妹だよ。二組合同で期間は一週間、決まらなければルールを変更してもう一度だってさ。とりあえず、受理するかどうかはお前が決めないといけないから」

 そういって、ゲームマスターを引きずりながら「じゃあね、水戸君」と言って去ってしまった。

「次はさっさんたちか……」

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