エピローグ
20年以上も経過すると、どこかしら故障が出てくる、バイクを整備していた。
まだ、部品を供給していることすら、不思議だ。
燃料タンクを外して、イグニッションコイルを外したところで、、エクステンションバーと、ユニバーサルジョイントをレンチに差し込んで、プラグを外しにかかる。
マグネットで、プラク゛が出できた。
焼け具合を見るとも、4発のうち、3.4番が被っている。
キャブか、エアーフィルターのどちらかだ。
ここんとこ、あんまり乗っていなかったので、ぐすせってるのかもしれない。
キヤブの掃除は、素人はあまりやらないほうが、いいのでエアークリナーを交換する。
湿式のため、少しオイルをしみこませて、エアーを少し拭いてねじ込んだ。
9Eのプラグを入れて、トルクレンチで、11Nで締め付ける。
レンチがカチといって止まる。
タンクのオバーフローのパイプと燃料パイフをつなぎこみタンクをはめ込んだ。
ここが、一番緊張する、エンジンがかかるかどうか。
キイをひねり、火が入ったところで、アクセルであおる。
かかった!!
ポットした。
エキパイを一本一本触って、気筒が死んでいないか、確認する。
暫くまわして、エンジンの下に、オイルパンを置いて、オイルを出した。
まだ、そんなに汚れてはいなかったが、合成オイルなんで劣化は早い。
鉱物系のオイルだといいのだが、安めのオイルを入れて、短期で交換するほうが、エンジンには良いと、バイク屋のオヤジが言っていた。
オイルフィルターレンチで、オイルフィルターを外すと、オイルが大量に出できた。
新して、オイルフィルターを付けてレンチで締めた。
オイルを規定入れて、少しエンジンをかけてみた。
エンジン音が、小さくなっていた。
そのまま、少し回して、オイル量を確認して、すこし継ぎ足した。
灯火を確認して、ヘルメットに、ライダースーツ、エドウインのワークブーツを履いて、今では珍しくなった、4発水冷ののクオターを発進させた。
子供の泣き声が、響きが心地よかった。
どんな小さな命も必死に生きようとしていた。
生きることは、前に進むこと。
たとえ、どんな災害の前でも、新しい命ははぐくまれる。
命の尊さは、国や言葉が違っても変わらない。
今日も、新しい命が生まれてくる。
母親の中で、長い時間守られて、そしてその母親を守る人たちの元へと、願いとともに生まれてくる。
若い看護士の腕の中で、タオルにくるまれた赤ん坊が大きなあくびをした。
パソコンを打つ手が軽快に跳ねている。医療系の翻訳ソフトが、撃った端から翻訳していく。傍らでは印刷されたレポートとにらめっこをしている、白衣の男がいた。
傍らでは、真剣にパソコンのディスプレイを見ながらも、ボストンバックの中身が気になるような、ナースキャップを被った女性がいる。
男性の机の上には、航空券のチケットが置かれていた。
颯爽とスーツを着なして、プロジェクターの前で、プレゼンを行う、女性に誰もが見とれていた。
白い肌と、彫りの深い顔とすらりとしたスタイルは、どこにいても存在感があった。
プロジェクトリーダーのネームプレートが、首からのIDに記載されてあった。
朝から、朝食に涙を流している男がいた。
願いが叶ったのか、胸の大きな金髪のお姉さんが奥さんらしかった。
周りからは、犯罪だと騒がれていた。
それでも、幸せそうに、朝からチュチュしていた。
バイクは、回転を上げていく、2速で18,000まで上げて、巡航速度で4速でいつでもパワーバンドの8,000~12,000に行けるようにしていた。
シートの真下のエンジンの振動が伝わってくる。
トルクがない分、まわして稼ぐしかない。
自動車専用道路に入り、巡航速度を80㎞/hで固定、5速で走った。
すんなりとエンジンは回っている。
エンジンの熱量が半端じゃない。
膝に熱が伝わってくる。
被り気味だったエンジンが好調のようだ。
専用道路を降りて、一般道に降りた。
目の前の信号が赤になり、バイクを停止線に止めてエンジンをニュートラルした。
横断歩道を幼稚園の年少組の女の子と、母親が渡り始めた。
女の子は、バイクに向かって手を振っていた。
後ろから爆音が響いてきた、柄の悪い改造車がバイクに迫っていた。
女の子が立ち止まった、目の前に急ブレキーの音がした。
バイクの男が、バイクを倒して、女の子を抱き込んだ。
車は、バイクを激突減速したが、男を10m以上跳ね飛ばした。
男は女の子をしっかりと抱きしめていた。
女の子の泣き声が響いた。
男は、そのまま動かなかった。
バイクは、車の下に入り込んで、つぶれていた。
路面には、新しいオイルがクーラントに交じってこぼれていた。
完結しました。
最後まで、誰かを守るという意味の終わり方です。




