第8話 シャル目線1
干からびそうであった、この体に産まれて、何も食べず飲まず、穴から這い出したと思えば、岩の上で日光の直撃。
卵から這い出て、最初の脱皮をする体力も無かった。
このまま死ぬのかと思っていたら、誰かに水を飲ませて貰えた。
目の前に、ホーンラビットの切り身が出て来た。
でも、口を開ける体力が無かった。
口の中に押し込まれてきた肉。
なんとか飲み込んだ、飲み込めた。
肉が魔力に変換されて、少し体力が戻った。
次々と肉が来た。嬉しかった。
見ると人の少年だった。
微笑みながら、私を見てた。
森に返してくれると言う。
でも、嫌だった。
この少年の顔を見ていたかった。
夢中でまとわりついた。
そしたら、家に連れていってくれた。
また肉をくれた。
タオルという、湿った寝床を作ってくれた。そのまま眠った。
少年が出かけようとしていた。置いていかれたく無かった。
名前をくれた。
シャルって、名前。
連れて行ってくれると言う。
嬉しかった。
少年は、目にも止まらぬ速さで動いた。
すごい大きな肉を仕留めていた。しかも、その肉の要らない部分で、さらに肉をおびき出して、仕留めていた。
そして肉をいっぱいくれた。
体が、少し大きくなれた。
そしたら重くなった?って、言われた。レディ言う言葉じゃないと、怒って腕を叩いてやった。
嬉しそうに笑ってた。
不思議な人間だ。
そろそろ両親出さないとな