婚約破棄からの!
初投稿のため、読みにくいかも知れませんが、
生暖かい目でお許しくださいm(__)m
「ダリア、お前との婚約は破棄させてもらう!」
隣に女を侍らせながら、ダメお…愚鈍な第1王子が私を見据えながらのたまう。
今現在の状況は王宮にて、第1王子の18歳の誕生日パーティー(舞踏会)が始まったところです。
一応、幼い頃からの婚約者である私ダリア・ティース(侯爵家長女)と顔を会わせたすぐさま、冒頭の第一声です。
エスコートすらしないのは昔からです。対面を保つ努力もしない愚鈍な王子が第1王子なんです。
話を戻しますね。
一言で言うと『ありがとう』しかありません。
誰にかって?勿論、愚鈍王子の隣のに居る女にです(笑)
私の人生をあんなおバカさんにダメにされたくありませんもの。いちいち尻拭いもしたくありませんし、全く好みじゃない男と一生一緒にって…ある意味、拷問です。
「何か言うことはあるか?」
「ありませんわ。」
「くっ!無いだと!マリーに謝罪しろ!」
「マリーとは…どなたですか?」
「お前が散々嫌がらせや苛めをした女だ!」
愚鈍王子はそう言いながら傍らに居る女を抱き寄せました。
「そんな下らないことしてませんわ。」
「そんな下らないことをずっとしてきたくせに、開き直るのか!」
「開き直るもなにも、お初にお目にかかりましたわ。」
「ふざけるな!証拠だってあるんだぞ!」
「見せてくださいませ。」
だんだんヒートアップする王子に私は冷静に対応します。勿論言いたいことは、はっきり言わせていただきます。
「…ダリア様が…私のドレスを…王子さまにいたただいたのに…」
震えながら目に涙を浮かべ、言いつのるマリーという女を大丈夫だよと言わんばかりに見つめる王子。
なんという茶番かしら。呆れてしまいます。
「いつの話でしょうか?」
「分かってるくせに聞くな!」
私の疑問に愚鈍王子は怒鳴ります。
「身に覚えがないから聞いていますの。教えてくださいませ。」
「あの…夏の…学園での舞踏会で…」
「その前後はこの王宮でずっと仕事をしてましたわ。」
「ふざけるな!跡取りでもないお前が王宮で仕事なんぞあるものか!」
愚鈍王子の言葉に、会場に居る全員が思ったことでしょう。『えっ?知らないの?』と。
えぇ、知らないでしょうね。だから私が愚鈍だとバカにしてしまうのですよ。
「私、10歳の頃よりずっと魔術団の団員として働いてます。ちなみにこの会場に居るほぼ全員の方がご存じです。」
呆れてものが言えません。婚約したあとに働き始めたのですが、当時はそんな小さな子供が!と、社交界でかなり話題になりました。
私が最小年齢を更新したんですもの。話題にもなります。
第1王子の婚約者にして、あのティース侯爵の令嬢が…とね。
「そんなことも知らないとは…」
王さまの呟きが聞こえました。
「だとしても、誰かに頼むことだってできるだろ!」
なんとか我を取り戻した愚鈍王子が言い募ります。
「ではその誰かを連れてきてくださいませ。でなければただの言いがかりですわ。」
「マリー他にもあるだろ?」
「この間…町に行った時に…連れ去られそうに、なって…」
「そうだ!その連れ去ろうとした馬車にティース家の家紋がついてた!」
「いちいち家紋入りの馬車で、犯人ですなんてやる方はいませんわ。どこかの誰かが我が家に罪をなすりつけたかっただけでしょう。私が犯人だという証明になりませんわ。」
「この俺が助けたんだ!間違いない!ティース家が犯人だ!」
「ではその馬車を動かした御者は捕らえたのですね?」
「あ、いや。マリーを助けるのにいっぱいで…」
「では思い込みだけで我が家を犯人だと?」
「思い込みではない!確かに家紋を見た!俺がマリーばかり構うから、嫉妬したんだろ!」
思わずため息が出てしまいました。どんな思考回路をしたら、私が愚鈍王子に惚れてるとなるのやら…。
「分かったなら謝罪しろ!」
「我が家ではありませんわ。まして嫉妬など…あり得ませんわ。」
あっ。思わず言ってしまいましたが、不敬罪ですかね?まぁでもハッキリさせなくてはなりませんから、言わせていただきます。
「惚れてませんもの。ただの政略での婚約ですから。」
ちょっぴりショックな顔をした愚鈍王子ですが、なにを分かりきったことを。
「だが政略だとしても、地位が目当て「私、魔術団の副団長ですので地位はすでにあります。」…そうか。」
最後まで言わせませんでした(笑)当然です。
「でも第1王子さまの婚約者なら未来の王妃さまでしょ?地位目当てでも、あるんじゃないかしら?」
今まで目に涙を浮かべていた女が、いきなり頭をコテンと傾げながら会話に口を挟みました。
周りの方も私と同じ意見だと思います。知らないの?と。第1王子とはいえ、側妃の子ですから王太子になるには第2王子(王妃腹)が亡くならないとなれません。
側妃さまが早くに亡くなったため、王妃さまが第1王子も我が子と分け隔てなく育てたというのは、貴族ならみな知っています。
ちなみに第2王子は天才といわれる頭脳を持っていますが、愚鈍な兄が好きで裏から兄の手助けをしてしまう優しい王子さまです。バカな子ほど可愛いというやつかしら?
「…マリーさまでしか?あなたは貴族では無いのかしら?」
思わず聞いてしまいました。
「また庶子の平民とバカにするんですか?あいかわらず失礼ですね。オイリス男爵が父ですのよ。」
ムッとしたように言い返してきました。
「そう。初めて聞きましたがオイリス男爵令嬢ですか。王太子は第2王子のレオンさまにすでに決まっております。ですから第1王子さまと婚約しても未来の王妃さまにはなれないんですよ。」
知らないならと説明をしたのですが、何故かショックを受けてらっしゃるようで…ご自分が地位を狙っていたのが見え見えです。
「茶番はそれくらいでいいか?」
静かに見守られていた王さまが『茶番』と言いきりました。
「なっ!父上、茶番ではありません!ダリアがマリーに謝罪しなくては、収まりません!」
「ではこれを見なさい。」
そう言いながら王さまは手元にあった魔石に魔力を込めます。
魔石からプロジェクターのようになにもない空間に映像が映し出されます。
学園の教室でしょうか?マリーさまが手にドレスを持って入ってきました。そしていきなりそのドレスにハサミを入れ始めました。ボロボロに破れたドレスを置くと一旦その場から立ち去りましたが、すぐに何かを探している風にまた戻ってくると『キャーっ』と、叫び声を挙げました。
「これが何か分かるな?」
王さまは第1王子を見つめながら言います。
「…はい。俺が、マリーにあげたドレスです。」
「そうだ。自作自演だったわけだ。」
「うそよ!なんで?何で?映像なんて…」
マリーさまは周りを見ながら「私じゃない!」と言い始めています。
「マリー嬢。学園は安全上、魔法で監視されているんだよ。」
王さまは静かにでもハッキリと仰います。
「うそよ!私じゃないわ!そうよ、ダリアなら魔術団の副団長なら手を加えて、私に擦り付けることだってできるじゃない!」
えっと…呼び捨てですか?私、侯爵令嬢、あなた、男爵令嬢。
私の方が格上なんですけど?パニックになって気づいてないんでしょうけど。
「学園の監視に関しては、誰であろうともし手を加えて入ればすぐに解る。魔石が変質してしまうから。」
だからありえないだよ。と、王さまは説明しますが、マリーさまはまだ認めようとはしません。
「ちなみに先ほど話題にあったマリー嬢の連れ去り未遂も、オイリス男爵とマリー嬢の共犯、自作自演だと裏がとれている。」
「うそです!そんな事しないわ!」
もうすでに先ほどまでの、私か弱いの…という雰囲気はなく、王さまの言葉に逆らい続けるマリーさまを皆はシラケております。
ええ、私もです。
王さまに楯突いて不敬罪だけでなく、我が侯爵家を陥れる事までしています。立派な犯罪者です。
「アラン(第1王子)の訴えがあっから、こちらで調査した。すでに御者は捕縛済みだ。」
「信じてください!その御者がウソを言ってるんです!私じゃない!私は被害者よ!悪いのはあの女よ!」
マリーさまはそう訴えながら、私を指差しました。
「いい加減にしないか!どれだけ罪を増やせば気がすむのだ!学園でこの1年の相次ぐ盗難事件も、他の令嬢に嫌がらせをしていたのも、全てマリー嬢が犯人だと分かっておるのだぞ!」
「うそよ!そんな事してないったら、してない!皆、私が可愛いから嫉妬してるのよ!」
何を言ってるのやら…そうですか。盗難事件もあなたでしたか。もうさっさと退場してくださいよ。
あぁ…さすがに愚鈍王子もドン引きしてます。『あばたもえくぼ』には、ならなかったみたい。
「マリー嬢とオイリス男爵を捕縛。」
王さまの一言で、この茶番劇の幕はおりました。騎士たちに捕縛されながらも、いまだに自分じゃないとマリーさまはわめいていました。
「ダリア嬢。アランがすまなかった。」
父親としてでしょうが、王さまに頭を下げられてはいたたまれません。
「いえ、もったいなきお言葉。どうか頭をお挙げくださいませ。」
「ありがとう。ところでダリア嬢は、アランとの婚約は…」
「申し訳ありませんがこのまま辞退させていただきたいです。」
「そうか。これでも可愛い我が子だからな、アランを支えてくれたら良かったのだが…ダリア嬢はどなたか好いた方がおるのか?」
「お慕いしている方は下りませんが…」
「どの様な男が好みだ?協力するぞ?」
「ありがとうございます。できましたら、父や兄のような腹ぐ…いえ知的で、私を掌で転がしてくださる方が…」
「(今、腹黒って言ったよな…ダリア嬢を掌で転がすって…うん。理想は父親と兄ということか。)そうか、では宰相はどうだ?」
「…さすがに…お年が…」
「だろうな(60のじじいに18歳はないわな)。冗談だ(宰相への嫌がらせだ)。」
「さぁ、皆。茶番劇は終わりだ舞踏会を楽しんでくれ。」
王さまのお言葉で愚鈍王子の誕生日パーティーは再開されました。
王太子にはなれないながらも、愚鈍王子は顔だけは良いため、令嬢方が周りを固めアピール合戦となりました。まぁ、王族には代わりありませんし、将来は臣下に下り公爵になる予定ですからね。
私?私は勿論、大好きな腹黒父と腹黒兄に引っ付いてたくさん可愛がっていただきましたよ(笑)
今なら一週間缶詰仕事も笑ってできそうです♪なにせエネルギー補充しましたもの。
そうそう、マリー嬢ですが、余罪が思いの外たくさんあったみたいで…残念?ながらオイリス男爵家自体なくなりましたので、身分は平民の下の賎民(強制労働者)という罪人のみがなる身分になり、今は何処かで働かされているのでしょう。
愚鈍王子が欲しいなら、変なことせず言ってくだされば、すぐに周りを説き伏せてお譲りしたのに…
何でしたっけ、こういうの………………ざまぁですわ(笑)
拙い文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございました。