夢のお店
僕は、散歩をしていた時にある店を見つけた。店の名前は「叶六」。外観は昔の下町にある店のようだった。
なんとなく懐かしい気がして、その店に入ってみることにした。
「いらっしゃい」
笑顔で迎えてくれたのは、ここの店主のおばあさんだった。
こんにちは、と軽く挨拶をし、僕は中を見回した。不思議なことに、何もない。駄菓子屋のようにお菓子があるわけでもなく、古本屋のように本が並んでいるわけでもない。
不思議に思い、僕は質問をした。
「ここは何の店なんですか?」
「ここはね、夢のお店だよ」
「夢のお店?」
なんだそれは?と不思議に思った。
「そう。ここでは、夢を売っているんだ」
私の疑問は深まるばかりだが、おばあさんの笑顔は変わらない。
「人にはいろんな夢があるだろう?例えば、『使いきれないほどのお金が欲しい』とか『あの娘と両想いになりたい』とかねぇ。色んな夢がある。そんな夢がもし現実になったら・・・どうだい?」
「もしかして・・・、どんな夢でも叶えてくれるお店なんですか?」
僕がそういうと、おばあさんは少しだけあきれた顔をした。
「いいや、違うよ。夢が現実になったらどうなるか?という夢を見せてあげるんだ」
「・・・?」
よくわからない。
「例えば、『使いきれないほどのお金が欲しい』という夢が現実になったら、どうなると思う?」
「うーん・・・」
「そうだねぇ。その前に、どうやって使いきれないほどのお金を手に入れるのかしら?」
「宝くじ、とか・・・?」
「そうねぇ。じゃあ宝くじで1等を当てたとしましょう。1等をあてて、沢山のお金を手に入れたらどうなるか?その夢を貴方に見せてあげる」
おばあさんがそういうと、僕は意識を失った。
目が覚めると、僕は自分の部屋のソファに座っていた。そして、目の前に1枚の宝くじと宝くじの当選番号が書かれた新聞があった。番号を確認すると、1等だった。
「まじかよ!すげえ!」
僕は喜びが抑えられず、電話で友達に1等を当てたことを報告した。そして、友達と今度飲みにでも行こう、と話をした。
そして僕はすぐに準備をして、銀行に向かった。もちろん、換金するためだ。
色々な手続きをし、その日のうちに100万円だけ受け取った。全額受け取るには数週間かかるらしい。
すぐに受け取れるものだと思っていたため、少しだけ残念な気分になった。
100万円をバッグにいれ、銀行を出た。すると、さっきとは別の友達から電話がかかってきた。
「おい、お前1等あてたのか!?」
「そうなんだよ、あたったんだよ!」
「なあ、少し金貸してくれないか?パチンコですっちゃってよ・・・」
「はあ!?嫌だよ、なんでだよ!」
「何言ってんだよ、ふざけんなよ!6億も当てておいてよ!クソ野郎が!」
そうして、電話は切れた。何故そんなにも怒られなくてはならないんだろうか?
電話が切れてからすぐ、また電話がかかってきた。
その電話も同じような内容で、断ったらまた怒られた。
それから何度も電話がかかってきたので、僕は電話の電源を切った。
悪くもないのに怒られて、気分が悪い。テレビでも見て気分を変えよう。僕はそう思い、家に帰った。
家に帰り、少しするとすごい勢いでインターホンが鳴らされた。
「おい、いるんだろ!金かせよ!」
「6億もあるんだろ!少しくらい助けろよ!」
さっき電話をかけてきた友達たちだった。
彼らはこれでもかと言わんばかりに大声をあげられ、さっきにもましてインターホンを鳴らされ、壊れんばかりにドアを蹴られた。
家の電話も鳴り続けた。警察に電話を掛けようにも、かけられない。
僕はもう、逃げられない。汗も震えも止まらない。
目の前が、真っ暗になった。
「どうだったかねぇ?」
「うわああぁぁぁぁ!!!!」
目の前には、おばあさんがいた。あれは夢だったのか、そう思った。だが、震えが止まらない。
「そんなに怖い思いをしたのかい?もっといい思いをして、笑顔で帰ってくると思ったんだけどねぇ・・・」
おばあさんは溜息をついた。
「このお店に来るお客さんはね、みーんな怖い思いをして帰っていくのさ。私は要望通りの夢をみせてあげるんだけどねぇ・・・」
「はあっ・・・!はぁっ・・・!」
「あら、ごめんなさいねぇ。貴方は自分が望んだ夢を見ていたわけじゃないのに、こんなに怖いをしてしまった・・・。お詫びに、今日、ここであったことを忘れさせてあげる」
おばあさんはそういうと、僕の頭に手をおいた。
僕は宝くじを買った。1等が当たったら何に使おう?
いかがでしたか?やはり、語彙力や文章力がないのがつらいです・・・。もっと頑張ります!