お説教
「まったく、お前はとんでもない娘だ」
イーウイアは心もちうつむき、テーブルを見つめながら、父親の説教が頭上を通り過ぎていくのを待っていた。
「明日から、伯父上の元に通いなさい」
父親のその言葉に、イーウイアはピクリと反応した。下を向いて黙り込んでいたが、頭の中はめまぐるしく動いていた。
あいつのことは嫌いだった。いつも無駄に偉そうで、大声を張り上げれば人は従うと思っている。けれど、怖いわけではない。ただ、突然の大声に驚いているだけだ。あいつはその違いを理解していない。
親もバカだと思った。なぜあれを選んだのか。よりにもよって、今までの中で最悪の人選だ。自分が嫌っていることを知っていてやったのか、それとも知らないのか。
普段なら、集まりの時にしか接点のない人間について、わざわざ「嫌い」と口にすることはしない。関係のない相手に心を割くのは無駄だから。だけどら今回は違った。今回はがっつり関係者。あいつの弟子になるなど、願い下げだった。
拒否しても却下されるに違いない。それならば、向こうから辞退してもらうしかない。二度と近寄ってこなくなるほどの打撃を与えてやる。
イーウイアはそう心に決めた。
ロンダイトはイーウイアを窺うようにしばらく見つめていたが、身じろぎもせずに下を向いている様子に観念したと勘違いした様子で、「これ以上、問題を起こすなよ」と言い残し、部屋を退出していった。
ドアが閉まる音を確認してから、イーウイアは顔を上げた。そこには悪意に満ちた笑みが浮かんでいた。




