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ザルリディア一族に伝わる神話
夜の女神はいつも一人だった。
昼の神々が寝静まると、夜の女神は目を醒まし、一人暗闇の中にいた。
女神が寝ると、昼の神々が目を醒ます。
あるとき、光の神が一番最後まで起きていた。
光の神が寝ると同時に、夜の女神が目を醒ます。
瞼を開けた女神の目に、一瞬だけうっすらと光の残像が見えた。
女神はその残像が物珍しくて、それに似たものを創りだした。
星々である。
星々のおかげで、夜の世界はうっすらと照らし出された。
女神の目にいろいろなモノが飛び込んできた。
それは、昼の神々が創りだした生き物だった。
女神はそれを真似て、夜の世界に生きるモノを創りはじめた。
しかし、暗がりでしか見ることができず、また、女神一人の力だけで創ったそれらは、昼の神々が創りだした生物とはかけ離れた異形のモノだった。
たくさんの異形のモノに囲まれても、女神は寂しいままだった。
女神は泣いた。
両目から溢れた涙はやがて『夢幻の湖』となった。
あまりにも女神が嘆くので、名も無きいにしえの神が降臨し、女神の胎内に神を与えた。
女神は喜び、神が胎内からでると、己の力をすべて与え「我は全ての安らぎとならん」と言って、『夢幻の湖』に浮かぶ小島に身を横たえ、永遠の眠りについた。
女神から誕生した神が、冥府の王・夜の管理者 ウィドゥセイト神である。




