各種スペックと登場人物(ネタバレ注意)
○護衛艦「ゆきかぜ」
艦種:ミサイル護衛艦(練習艦から種別替え)
艦番号:DDG169(練習艦時TV3507)
全長:155m
全 幅:16.5m
深さ:10.2m
喫水:5m
基準排水量:4700トン
満載排水量:6400トン
最大速力:34ノット
エンジン出力:100000馬力(LM2500ガスタービン4基 二軸推進)
乗員数:200人(練習艦時420人)
主武装:73式54口径5インチ単装速射砲×1、90式艦対艦誘導弾(SSM‐1B)4連装発射筒、Mk.13 mod.3ミサイル単装発射機、20ミリCIWS×2、68式3連装単魚雷発射装置×2、チャフ発射機×2
搭載可能航空機:1機(SH60‐K)
特徴
「イージス艦建造計画」が暗礁に乗り上げたことを受け、ミサイル護衛艦整備の必要性に迫られて急遽、建造が認められた護衛艦。 元々、「はたかぜ」型以降の次世代艦として設計されていたため「はたかぜ」と比べて船体が延長された上に後部の主砲を撤去し、対潜用ヘリを搭載できる格納庫を増設する。
湾岸戦争勃発による「湾岸戦争協力金」捻出の為に次世代練習艦「かしま」の建造が見送れ、第44期練習航海に支障が出るという懸念から艦内スペース確保の名目でアスロック発射機の装備を延期し、空いたスペースを司令部要員の居住区と倉庫にしてしまうことにより練習艦として就役させる案が認められ、追加として艦橋構造物内部に「かしま」と同じように公室や特別公室が設置されることになる。
「かしま」就役後も、練習艦隊の一員として留まっていたが、予算削減と護衛艦隊総旗艦「さわかぜ」除籍に伴い、護衛艦隊総旗艦となる。
予算の都合もあって艦内構造は練習艦時代のままになり、空いてしまった居住区には護衛艦隊の幕僚達が利用することになり、3年に一度の観艦式においては内閣総理大臣の座乗艦として使われている。
今回の任務においてミサイル護衛艦として優れた策敵能力を有しているのとヘリを搭載でき、皇族が利用することを見越して設計された特別公室を始めとした多くの居住区を有している上、艦齢が古く扱いにくい艦であったことから派遣艦として選ばれることになる。
経歴
1985年度予算案において当初5隻建造される予定であった「はたかぜ」型護衛艦の3番艦として申請されたが、大蔵省査定の結果、建造が認められず次年度以降に流される。 一方、米国よりイージスシステムの技術供与の話が防衛庁に持ち上がり、イージス艦の建造計画のために「はたかぜ」型は2隻までとする方針が固まる。
しかし、翌年に幹部自衛官による情報漏えい事案が生起し、米国議会において日本に対するイージスシステムの技術供与に懸念する動きが出始めイージス艦建造計画の雲行きが悪くなる。
1987年度予算案においてイージス艦建造計画が暗礁に乗り上げ始めたことを懸念し、改「はたかぜ」型として日本独自の設計であるミサイル護衛艦の建造計画が出される。 尚、設計には就役したばかりの「はたかぜ」に見つかった機関部を始めとした数々の欠陥を見直すことになり、ダメージコントロール能力向上のために艦体を延長し、CICなどの重要区画の変更、機関には試験的に米軍のイージス艦と同じLM2500ガスタービンエンジンを使用し、非常用発電機の撤廃、燃料と真水タンクの増設、大容量造水装置の設置、後部主砲とアスロック発射機を撤去する代わりに格納庫を設置し、対潜哨戒用のヘリを搭載出来るようにする案(対潜攻撃については汎用護衛艦に委託)であったがイージス艦建造計画がまだ生きていたため大蔵省に却下される。
1988年度予算案においてイージス艦建造計画が暗礁に乗り上げたために急遽、改「はたかぜ」型の建造が認められることになる。
1988年、米国議会において日本に対するイージスシステムの技術供与に反対していた中心的議員が某国関連企業より多額の不正献金を受けていたことがCIAの調査によって明らかになり、某国の手によって妨害されていた事実が明るみになる。
同年、改「はたかぜ」型護衛艦の建造がIHI横浜工場にて開始される。
1990年度予算案(実史の2年遅れ)において米国からイージスシステムの技術供与が認められたことを機に海上自衛隊初のイージス艦の建造が許可される。 防衛庁内部において改「はたかぜ」型の有用性が疑問視され始める。
1990年8月湾岸戦争勃発 1991年度予算案で認められる予定であった練習艦隊旗艦「かしま」型の建造が「湾岸戦争協力金」捻出の為に一年延期される。 防衛庁と大蔵省の協議の結果、建造中であった改「はたかぜ」型の艦種を変更し、練習艦として就役されることにし、艦橋内部に公室と特別公室の設置、幕僚や音楽隊、実習幹部のために居住区の増設、女性自衛官用設備の追加の予算が認められる。
1991年8月 改「はたかぜ」型進水 不幸な生い立ちを憂い、関係者達の手によって大戦中の武勲艦から名前を取って練習艦「ゆきかぜ」と命名される。
1993年4月 「ゆきかぜ」就役 艦尾に自衛艦旗が掲揚される。 強力な機関を搭載しているため最大速力34ノットを記録、現役護衛艦中で最高速力を誇る韋駄天艦として世間から認知されてしまう。
1994年5月 第44期練習艦隊旗艦として世界一周航海を行い、無事に達成する。 この時の実習幹部の中に、後にこの艦の艦長となる人物の姿もあった。
尚、この年に練習艦「かしま」が無事に就役したため帰国後、「ゆきかぜ」は練習艦隊の旗艦の座を「かしま」に譲り、練習艦隊の一艦艇として行動することになる。
2010年6月 練習艦隊の予算削減と護衛艦隊旗艦「さわかぜ」除籍に伴い、練習艦から艦種変更され、ミサイル護衛艦として艦番号が「DDG169」に変更される。
艦内設備等はそのままで護衛艦隊総旗艦となる。
2011年3月11日 東日本大震災発生、青森沖で訓練中であったところ災害派遣命令により被災者の救助と行方不明者の捜索に尽力し、多くの人々の命を救う。
尚、この中に本作の主人公となる海野守の姿もあった。
2017年9月某日 小笠原沖での訓練中に謎の漂流船を発見する。
○登場人物
・主人公サイド
海野 守 (うみの まもる) 20歳 1等海士
本作の主人公。 目立った特徴がなく、何をやっても「普通」の評価を受ける平凡な青年。 東日本大震災を機に海上自衛隊に興味を抱き、高校卒業と同時に入隊した過去を持つ。 艦魂が見える体質であったがためにレジーナと契を結び、異世界の戦乱に巻き込まれてしまう。 レジーナのことを一途に思っているが、彼女からは都合の良い手下としか思われていない。
第1章の終盤ではようやくお互いの気持ちが通じ合うようになり、叔父に代わって女王となった彼女のために奔走することになる。
レジーナ・フォン・ムーニス 18歳
ドゥーベ・レグルス連合王国の王女。 本作のヒロインでもあり、高位魔法使いの素質を持ち、精霊との会話をする能力がある。 同じ能力を持つ守に興味を抱き、自身の野望のために彼と契を交わす。 エルフ族特有の美貌を持ち、王女としての強い責任感と民への慈愛の精神を持つ反面、私生活においては尊大で横暴、自分勝手で我儘とあまり褒められたものではなく、守はよく彼女の行為に振り回されてしまう。
第1章の終盤でようやく守の献身ぶりを認め、恋人として認知するようになる。
雪風 ??歳
護衛艦「ゆきかぜ」の艦魂。 守やレジーナといった特殊な力を持つとされている一部の人にしか見えない存在。 小学生のような幼い外見であるが、実年齢は守より高いという事実がある(本人は少々気にしている)。
艦内では調理室でツマミ食いを好むなど、好き勝手なことをしているが艦魂達の中では古株で姐さん的な振る舞いを見せたりもする。
レジーナの良き友人として行動しており、彼女とともに守をパシリとして使うなど女傑ぶりを見せている。
フィリア・クレスト 22歳
レジーナの護衛。 ダークエルフ族の戦士であるが、レジーナの父親の自決を介錯した過去があるために彼女からは憎しみの対象とされてしまう。
命令に忠実でレジーナのためなら命をも捨てる覚悟があり、彼女の身に危険が迫ると感じた途端に周りが見えなくなってしまうところがある。
広澤と付き合うことによって少々落ち着きを見せるようになり、守とレジーナの関係を暖かく見守るようになる。
ジル 16歳
レジーナの下にいるメイド達の取りまとめ役。 十代中頃であるものの、しっかり者で面倒見の良いお姉さん的な存在。 元々は戦災孤児であったところをレジーナの父親の仲介で彼女の世話役になった経緯がある。 レジーナとの付き合いが長いだけあってお互い心を許せる間柄でもある。
日本の外交官である立花に淡い恋心を寄せる。
広澤 裕吾 (ひろさわ ゆうご) 30歳 3等海曹
乗艦歴10年以上のベテラン隊員。 守とは以前、災害派遣で出会ったことがある。 今は彼の教育係でもあり、「対番」と呼ばれる兄弟分の関係。 重度のオタクであり、ライトノベルの愛好者であることからレジーナ達が異世界から来たことに真っ先に気付くことになる。
第1章後半では優しい兄貴分の反面、恋人となったフィリアのために影でクーデターに加担するなど、奇抜な行動が目立つようになっている。
三上 健 (みかみ たける) 26歳 3等海曹
護衛艦「ゆきかぜ」に搭載されているヘリの搭乗員。
広澤とは初任海曹課程の同期であり、オタク仲間。 某アニメの影響で自衛隊に入った経緯がある。
しかし、重度なオタク主義が災いしてか、猫耳娘達を襲う帝国軍将兵には容赦のない制裁を加えたりもする。 念願叶って猫耳娘をゲットするも、その父親であるベアティから目をつけられてもいる。
・護衛艦「ゆきかぜ」の乗員達
森村 真司 (もりむら しんじ) 46歳 1等海佐
護衛艦「ゆきかぜ」艦長。 優秀な人物だが、性格に難があることから上層部から煙たがられている。 かつて米軍との演習においてインチキで相手艦隊殲滅という成果を上げてしまったため、防衛省内部では「反則王」というあだ名をつけられた過去がある。
独身でありながら、レジーナ達には父親のような目線で接する紳士的な一面がある反面、30代~40代の女性(特に副長)には頭が上がらないところがあった。
第2章冒頭で綾里から隠し子がいることを暴露されて以降は、彼女との関係をやり直そうと努力し始めるも、ツンツンばかりして中々デレを見せてくれないことに少々悩んでいる。
綾里 玲子 (あやさと れいこ) 40歳 2等海佐
護衛艦「ゆきかぜ」副長。 父親は元海上幕僚長という先祖代々海軍軍人を生み出してきた名家出身。 年齢に似合わぬスタイルと童顔であったことから艦内の中年隊員達からは美人すぎる副長として名高い。
冷静沈着で優れた判断力を有することから森村の暴走を抑える意味で配属されたものの、彼とは実習幹部時代に付き合っていた過去がある。
第2章では森村との間に娘がいるという衝撃的発言をもたらしてくれている。 再び森村との交際を始めてはいるものの、元来がツンデレキャラのため中々前へと進展はしない。
高見沢 浩二 (たかみざわ こうじ) 38歳 3等海佐
護衛艦「ゆきかぜ」砲雷長。 主砲からミサイル、魚雷や機銃といった艦の武装を一手に管理する砲雷科のトップ。 綾里に次ぐ権限を持っており、彼女が来る前は森村の次席指揮官としての役割を担っていた。
今時珍しい大砲屋らしい熱血漢を持つために部下からの信頼が厚く、東京湾でドラゴンを仕留めた時には祝勝会を催した。
米沢 英才 (よねざわ ひでとし) 37歳 3等海佐
護衛艦「ゆきかぜ」船務長。 レーダーや通信系統を束ねる船務科のトップ。 メガネがトレードマークで小太りの体格ながら、アメリカ留学も経験した秀才(その特技はあまり生かされていないが)。
高見沢とは対照的な性格で公私問わずに自分の感情を表に出すことなく、酒を飲まない真面目人間という印象を持たれている。
第1章ではCICで才腕をふるう綾里の片腕として活躍する。
武田 裕之 (たけだ ひろゆき) 50歳 3等海佐
護衛艦「ゆきかぜ」機関長。 主機や電気、応急や工作といった機関科のトップ。 他の佐官クラスの幹部と違い、海曹から部内幹部試験を経て幹部になったB幹出身。 森村とは練習艦隊勤務時代からの知り合いで、綾里との交際をばらした黒幕でもある。 自衛官に似合わぬ太った体格をしているものの、潜水士の資格を持つダイバーでもある。
艦内では最年長だけあって親分的な立場で士官室のまとめ役になることが多い。
守や広澤の直属の上司でもある。
蒼井 満 (あおい みつる) 42歳 3等海佐
「ゆきかぜ」に搭載されているSH-60K1号機機長。 パイロットとしては老齢に差し掛かっているものの、未だに飛行技術は衰えずにドラゴンと立ち回りを演じるほどの腕前を持つ。 普段は冷静沈着な一面がある一方では、操縦桿を握ると攻撃的な一面を持つことから公私の分別がはっきりしていることが伺える。
因みに、東日本大震災の災害派遣において彼の操縦する機体が守を救助した過去がある。
独身の割には子供好きの一面が災いして猫耳娘のミーナに懐かれてしまう。
北川 水樹 (きたがわ みずき) 34歳 1等海尉
護衛艦「ゆきかぜ」補給長。 商業大学を卒業後、民間企業での事務経験を活かして入隊した過去を持つ女性自衛官。 調理や補給、経理、衛生を取り仕切る補給科のトップ。
アラサーで独身というのを気にしており、女子力を磨いて度々見合いをしている模様だが成功した試しがないという幸の薄さを気にしている。
美容コーディネーターのオリビエとは懇意にしており、彼女のために艦内の床屋部屋を美容室として提供している。
藤本 悟 (ふじもと さとる) 28歳 2等海尉
蒼井が機長を務めるヘリのパイロット。 パイロットとしてはようやく独り立ちを始めたばかりであったが、訓練生時代からの付き合いである蒼井の判断に泣かされることがしばしばある。 独身である機長と違って新婚ホヤホヤで、日本にいる嫁は妊娠中で時折ポケットから彼女の写真を取り出して微笑む愛妻家でもある。
度々命懸けの任務に振り回されているため、妻に対する愛情は信仰と言っていいほどに深まり始めている。
武藤 淳 (むとう あつし) 28歳 2等海尉
護衛艦「ゆきかぜ」砲術士。 高見沢の元で砲術を学んでいる若手幹部であるが、気の弱い一面があり中々部下を取りまとめられていない。
しかしながら、温和で聞き分けの良い性格が幸いしてか海曹士からの評判は良く、時折彼らからの助け舟を得たことにより何とか勤務をこなしている。 艦内の乗員達によって編成されている立入検査隊の指揮官にも任命されている。
望月 哲郎 (もちづき てつろう) 48歳 3等海尉
護衛艦「ゆきかぜ」掌砲術士。 曹長上がりの叩き上げであるC幹出身。 ベテランであるため、武藤の教育係的な一面がある。
主に出入港における甲板作業などを取り仕切っており、ベテランらしい臨機応変な行動を得意としている。
バラディ沖海戦では彼の指揮によって禁じ手に等しい「捨錨」を実施したことにより敵船に包囲されていた「ゆきかぜ」の速やかな出港を成功させている。
・艦魂達
浦賀
掃海母艦「うらが」の艦魂。 雪風と違って豊富なバストを有するおしとやかなお姉さま的な外見を持つ。
掃海艇の艦魂達にとっては母親のような存在であり、母港が同じ船越地区であることから雪風を姉と呼んで慕っている。
千代田
潜水艦救難母艦「ちよだ」の艦魂。 船越地区最古参の古株であり、雪風にとっては良き親友でもある。 母艦の名前を持つ艦魂達はその性質上、おおらかな一面を持つために幼い艦魂達の世話係を引き受けることが多い。
三笠
知る人ぞ知る伝説の海戦を戦い抜いて日本を救った戦艦三笠の艦魂。
日露戦争終結後に自決を図るも東郷平八郎の尽力もあって海から引き上げれれ、幾多の任務を経て記念館として横須賀でコンクリート漬けにされる。
守と同じく艦魂の見える東郷平八郎が何を考えてのことかわからないが、三笠はそのことを未だに恨んでいる。