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番外 狛犬と大精霊
小さな話です
読まなくとも別段本編に支障はありません
「ねえ、何してるの?」
呟いたのは幼子。犬の耳に尾を生やした、小さな狛犬の女の子。
「糸を織ってるのよ」
対して答えるのも幼子。左右微妙に色の違う緑の目をした、小さな大精霊の女の子。
聡明そうな目をした狛犬の女の子は、身の丈には余りにも合わない着物を着ていた。
それを見て大精霊の女の子は言う。
「糸が織れたら、心の澄んだ貴方のために服を作ってあげましょう」
それを聞いて、狛犬の女の子の顔が綻ぶ。
「じゃあ、服を作ってくれたら、わたしがいいところへ連れて行ってあげる」
その言葉に、大精霊の女の子は微笑した。
「可愛い。ありがとう」
出来た服は、狛犬の女の子にぴったりな神主の服。
「綺麗。ありがとう」
そして狛犬の女の子が連れて来た場所は、大精霊の女の子がとても住みやすそうな綺麗な場所。
お互いに名も知れぬ二人の少女は、されど友達であった。