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第二話 がっこう!

話がなかなか進まないですね……

おかしいところがありましたらご指摘お願いします。




 僕と夏芽は学校に入り、そこから左側の奥にある「新校舎」に向かった。

 私立風扇風凪高校は大きく「本校舎」、「新校舎」、「旧校舎」に分かれている。

職員室や保健室、校長室などの教師がよく使うような場所が集まっているのが「本校舎」で、生徒玄関を抜けてすぐにあるところだ。

「新校舎」は「本校舎」から左奥にあり、渡り廊下を使って行くことができる。「新校舎」には1年から3年までの教室といくつかの特別教室がある。僕と夏芽は同じ一階にある教室で1ー5だ。

「旧校舎」は建築の際、「新校舎」より早く完成したために「旧校舎」と名付けられた可愛そうな校舎である。こちらも渡り廊下を渡って行くことができる。「旧校舎」には美術室や音楽室などの専門系の授業に使われる教室が集まっている。

 僕と夏芽は「新校舎」の一階にある1-5の教室まで来た。中には真ん中の席に座っている女生徒のみで、他にはまだ誰もいないようだ。

 引き戸を開けるとその女生徒は音に反応し、こちらを向いた。


「やっほぉ~、琴音ちゃ~ん! 久しぶり~!」


 夏芽は片手を上げながら元気よく琴音の席へ駈け出して行った。僕も付いていく。

 席に座っているのは神殿(しんでん)琴音(ことね)。栗色の無造作なショートカットの髪が特徴で、顔立ちはとても整っている。夏芽とは違い凛々しい目つきでカッコイイとも呼べる美少女だ。身長は僕より高く、スラッとしたスタイルだ。胸については…… 前にそのことに触れて、殺されそうになったことがあるので省かせてもらう。

 彼女は近くの神社で巫女をしていて、僕と同じように霊が見える。また、霊についても詳しいので、霊に関して僕が手に負えない状況の時は助けてもらっていたりする。


「おはよう、夏芽。……キュー」


「おはよ」


 琴音がクールに返事をした。

 琴音は顔立ちが中性的なこともあり、セーラー服を着ていなければ何処の美少年かと見間違えることもよくある。そのせいか、全学年のアイドル的な存在でもあり、本当の男より人気がある。騎士のような恰好をすればたちまち王子様に変身するだろうな。


「キュー。なにか失礼なことを考えなかったか?」


「い、いや。久しぶりに会えて懐かしんでいただけだよ」


 琴音は超能力者か!? ……似たようなものかも知れないけど。

 しっかし…… 絶対琴音には巫女装束は似合わないよな。いや、美少年の巫女姿もそれはそれでありなのか……?


「後で死刑を実行するから覚悟しておけ。……それと、話がある」


 心を読まれてる……? やっぱり超能力者だろ。

 僕は殺されるのは嫌だが、話は聞きたいので頷いた。


「また、憑りつかれているぞ」


 ありゃ、バレてたか。流石巫女(一応)。

 学校に来るまでに30代の女性が僕に憑りついて、離れてくれないんだよね。


「大丈夫だよ。別に害は無いし、こういうのは慣れてるよ」


「しかしな……」


「ねぇ~ねぇ~、なんの話ぃ~? わたしだけ仲間外れぇ~?」


 夏芽が話がよく分からないのか、横から潤んだ瞳で見つめてくる。そんな風に見つめられたら恋に落ちてしまってもおかしくないだろう。僕は慣れてるから大丈夫だけど。


「あぁ、ごめんごめん。えっとね、僕に幽霊が憑りついてるんだよ」


「えぇ~、何処にもいないよぉ~? キューちゃん嘘言っちゃだめだよ~」


「まぁ、普通の人は見えないし」


 当たり前だけど夏芽には霊は見えない。見えるのは僕と琴音くらいだろう。


「霊ならそこら中にいるぞ。ほら、夏芽の後ろにも」


「うえぇっ!? う、嘘だよね? 嘘だと言ってよ~」


 夏芽は琴音の言葉を聞いて、踊るように暴れている。やっぱり怖いみたいだ。

 あ、夏芽の後ろにいた霊が逃げて行った。

 このまま夏芽の様子を見るのもいいけど、可愛そうになってきたな。


「大丈夫だよ。もういなくなったから」


「うへぇ~ん…… ありがとぉ~」


 僕が言葉を投げかけると安心したのかへたりこみ、涙を流しながら僕に抱き着いてきた。

 ちょっと!? む、胸が当たってますよ、夏芽さん!?

 僕がいきなりの事に慌てていると、


「なぁ~に朝からいちゃついてるんだ。ほら席に着け、ホームルーム始まるぞ」


 急に渋い男性の声が割って入って来た。

 この声は多田先生の声だな。って、ホームルーム!?

 壁に付いている時計を見ると、時刻は8時30分。朝のホームルームが始まる時間だった。あまり会話してないような気がするんだけどなぁ……


「ほら、立てるか? もうホームルーム始まるってさ」


「ふぇ? あ」


 夏芽は教室を見渡し、僕たちがすごく目立っていることを知ると顔を真っ赤にし、そのまま無言で自分の席に着いた。

 僕も琴音の席から離れようとすると、琴音がニヤリとしているのが見えた。

 クソ。絶対気づいてたな。

 僕は自分の席に着き、すみませんと多田先生に一声かけ、ホームルームを始めるよう促した。


「んじゃあ、ホームルーム始めるぞ。とりあえず連絡でもしとくかぁ……」


 そして、多田先生のやる気のない無駄美ボイスでホームルームが始まった。







「一回くらい冥界で罪を償ってこいよ」


「いきなりなんなんだよ! それに罪って何さ?」


 朝のホームルームが終わってすぐ、隣の席の男子生徒に死んで来い発言をされた。


「美形は死ねばいいんだよ…… 罪状は女の子と朝から見せ付けてくるんじゃねぇぞコラァ! の刑だ。ちなみに私刑な」


 そんな物騒なことを言っているのは、私立風扇風凪高校に入ってからの友人第一号、津根田(つねだ)友明(ともあき)だ。僕は「トモ」と呼んでいる。黒い髪を逆立たせ、某ツンツン頭の不幸少年程ではないがツンツンしている。身長は180cmと大柄だが、優しい印象でなかなか愛嬌のある顔立ちで、本人は知らないが隠れファンが少なからず居たりする。

 トモは名前の通り友人が多く、顔が広い。夏休み前に黒人と仲睦まじく話していたのには驚いた。また、トモは彼自身の人脈を活かし、『風高美少女研究会』という組織を立ち上げた。もちろん会長はトモだ。ちなみに風高とは私立風扇風凪高校の略である。


「副会長なのに規則を破ったしな。美少女は眺めるのが至高であり、付き合うことは外道だと俺が言わなかったか?」


「まず僕は、見せ付けていた訳でもないし、副会長にもなったつもりはないんだけど?」


 そう。僕は不本意ながらも副会長に任命されている。ちなみに退会不可。

 トモは愛嬌がある顔立ちなのに頭の中が『女』で埋め尽くされているため、隠れファンがいるくらいに留まっているのだ。


「まぁ、刑は友人のよしみと副会長効果で軽くしてやる。それよりもだ!」


「うわっ! な、なんだよ?」


 僕のツッコミを完全スルーしたかと思えば、大声を出してきた。

 トモは元々声が大きいのに大声を出したもんだから、僕の耳が悲鳴を上げている。


「今週の土曜日、『風高美少女研究会』の幹部全員で山籠もりの合宿をするっ!」


 ドドーンという効果音が聞こえた気がする。トモは両手を掲げ「決まったぜ……」的な雰囲気を醸し出している。


「……驚かないのな。つまんねぇ」


「いや、あまりにも唐突すぎて頭の回転が間に合っていないだけだよ」


 そう言うと、トモは「そうか」と言いながら手を下ろした。


「それで……、合宿ってどういう事なの?」


「ん? そのままの意味だが。詳細を言うと、山にキャンプ用の建物があるんだ。そこに泊まって修行をするんだ」


「ツッコミきれないな…… 修行って何すんの? 肉体労働系だったら拒否するよ」


「あぁ、それは気にしなくていい。内容はまだ言えないが、肉体労働はないから安心しろ」


 どうやら、山を往復十回とかにはならないみたいだ。内容をまだ言えないという部分が非常に不安ではあるけど、命が危険になることは無いだろう。……だよね?


「分かったよ。あんまり行きたくはないけど他に予定もないしね」


「おっし! 決まりだな! 男に二言は無しだぞ? 集合場所はキューの家で朝6時に集合な」


 集合場所は僕の家らしい。山が近くにあるからだろうね。時間も気にしなくて良さそうだしラッキーかな。

 一時限目を告げるチャイムも鳴って、トモは満足そうに教科書を取り出す。

 僕も話していたから教科書を出すの忘れてたなぁ~ と思っていると委員長が号令をかけ、授業が始まった。




 まさか、合宿に行くことが僕の運命を変えてしまうなんて誰も思えないよね。




次話は放課後編と山籠もり合宿編です。

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