□金ぴか以下略 その3
■王子、ショック。
「問いに答えねば、刺客と判断し…切る!」
王子が今にも怪しいフードの人物に切りかかろうとした時、突然またもや空より何かが降って来た。
「にゃあああああああああああああああああああ!たんまだにゃ。」
現れたのは怪しい黒猫。
「…っな!…猫?だと…」
王子は自分の剣が防がれたのに驚き、またそれが猫だということに驚いた。
その時の一瞬スキを猫は見逃さず受け止めた逆の手の爪で王子を引き裂こうとした。
王子は、ッハ!っと気がつきすぐさま後方へ下がった。しかし、攻撃は防げれたものの胸付近の服が少し引き裂かれていた。
(っ…!攻撃は防げたが…この猫魔物か…?どちらにせよ強い!)
「猫は猫でも黒猫だにゃ!」
(にゃかにゃかやるにゃね…この金ぴか王子)
(黒猫…。見れば分かるそんな事…。馬鹿にしいるのか?
いや、落ち着けまた此方を油断させる罠かもしれない…)
「なんだおみゃーら!僕様を馬鹿にしてるにゃね!特にB子お前の考えはお見通しにゃ!」
(馬鹿も何もこの空気は貴様が作ったんだろう!?
……B子?…まさかこのフードの者の事か?くっ…動かないと思ったら仲間を呼んでいたのか!?)
「っとこんな事してる場合じゃなかったにゃ。おい!金ぴか王子!」
「…金ぴか。…私の事なのか?」
「おみゃーの事に決まってるにゃ!金ぴか王子!」
猫の言葉に翻弄されあれやこれやと考えていた王子は自分が呼ばれた事に反応が遅れた。
いや遅れたというより認めたくなかった。
「……金ぴか…。」
(金ぴかとはなんだ?私の髪が金髪だからか?いや金髪などこの世界で珍しいことじゃないし?
まさか…!!あれのことか?…いや落ち着け…しかし。だが金ぴか王子はないだろう…)
王子ショックによるダメージ-150を受ける。
「おみゃーこいつは僕様の獲物だにゃ!」
「っは?」
金ぴかとは何か?金ぴかとはなんぞやと悶々と悩んでいた王子に猫は更に分けの分からない事を王子へ言った。
「一体なんの話だ?」
王子は困惑を隠しきれず猫に問うた。
(獲物だと?このフードの者は仲間ではないのか?)
「おみゃーB子の事も知らずに剣を向けたのかにゃー。なんて恩知らずだにゃー。」
猫はヤレヤレと言った感じに上から目線で王子に説明をしだした。
(なぜか頭にくるのは私だけか…。いや落ち着くんだ…。……さっきから何回目の落ち着けだ…?)
そんな王子を尻目に猫は勝手にどんどん説明をした。
「こいつはにゃー魔女イザベラ様の敵である賢者の一番弟子なんだにゃー。
そして僕様は魔女イザベラ様に仕えてるとっても強いアニマルテイマーのゴン様の下僕だにゃー。
それでどうして僕様が…」
「…!!お前が刺客だというのか!」
(…ッ!この猫が魔女の放った刺客だったのか!)
「おみゃー達!猫の話は最後まで聞くって習わなかったのかにゃーーー!」
「習った覚えは無い。(それは人だろう…)」
「…おみゃー達今僕様に向かってとても失礼な事を思ってるにゃね?」
ピクピクと耳を動かし、尻尾はヘビのようにくねらせ、猫は爪を尖らせた。
「僕様をこれ以上怒らせて猫まんまになりたくにゃかったら、僕様の説明を最後まで聞くにゃ。」
(…っく。なんて殺気なんだ。いやこれは覇気に近い…。ここは大人しくすべきだな…)
「…っ。分かった。」
ふと怪しいフードの者に王子は目を向けた。フードの者はさっきから一切言葉を発していないが、猫の言葉に小さく頷いていた。どうやら猫とフードの者は仲間ではないらしい。
(びーこ…?だっただろうか?猫とは見知らぬ仲ではなさそうだが…一体何者だ?
さっきから微動だにしない…。この猫の気迫に平然としているとは只者ではない…)
この猫とフードの者は一体…?
■B子、王子を説得??
「たっく近頃の若いもんはコレだからにゃー…」
とブツブツブツとお怒りのお猫様は私と金ぴか王子の前で呟いており、私と王子はと言うと猫様のお怒りにふれ素直にその愚痴を聞いております。
(あー早く終らないかなこのブツブツ。おなか減ったー。)
「…B子何か言ったかにゃ?」
ブルブルブルブル(言ってまっせん!喋れません!思ってません!聞いています!)
(どうぞお話の続きを!)
何だこの猫。黒猫だ。
超怖いっス。というかなんで私の思ってる事わかるんだYOYOYOYO!!!!!!!
「まぁいいにゃ…僕様は優しい黒猫だからにゃ。おみゃー達に仕方がないから説明してやるにゃー。」
今なら私は金ぴか王子が何を思ってるか当てる事ができる。
(別に説明してくれなんて頼んでない)
なぜかって?私も同じ事を思ったからですよ。
しかも王子は猫が喋るたびにピクピクって反応してどんどん怒りを溜め込んでるんですよ。
分からなくもないですがね。でも私のほうが怒りマックスですよ。
だって変な黒猫が超怖いし超喋るし、隣では金ぴか王子がどんどん怒ってるし。
ちょー分けわかめ。
でもよくよく考えると私、説明求める!って言ってた気がしてきた。
あれ?この状況もしかして私のせいですか?????
いやーそんな分けないかーあははは……
――――いやでもほら師匠ならやりかねないのか?
………。
まぁあれですよ。ここは大人しく聞こうよ王子。
私は王子に手を差し伸べ肩をぽんぽんと叩いた。王子は私の動作に驚き訝しげに見てきた。
(ドードーまぁ落ち着け王子。)
言葉を発する事はまだ出来ないが、少しなら体を動かす事は出来るようになってきた私は両手で落ち着けとジャスチャーした。
最初は訝しげに見ていた王子はどうやら察してくれたらしく、少し後ろに身を引いてくれた。
(ココは大きな心をもって猫の話を聞こうではないか!)
「…どこまで言ったかにゃー??おみゃー達ちょっと待つにゃ。」
いざ話を聞いてやろうかと思ったらこのクソ猫待てときたかこのヤロー。
私が必死で金ぴか王子を説得したというのに!!!!
しかもどこから出したか知らないが、ノートをとりだしぺらぺら捲っている。
「あーあったにゃ。…こほん。いまから説明するにゃよー。」
もう如何でも良くなってきた。
早く喋れこの猫が!
どんどんB子の口が悪くなっていくのは気のせいじゃない。