おこげとこがねの 夜のさんぽ
おこげとこがねの
夜のさんぽ
しずかな よるです。
おこげと こがねは、
そおっと ドアを おしのけて、
おそとに でかけました。
すこし ひんやりした かぜが、
ふたりの ひげを
やさしく なでます。
「あっ、
ほしが ひとつ
おちたみたい」
こがねが いいました。
「ほんとだ。
いってみようか」
おこげも うなずきながら、
こえを はずませました。
ほしを おいかけて、
ふたりは 森の はしっこへ
やってきました。
そこに いたのは、
まぁるい めを ぱっちり ひらいた——
ねむれない ふくろう。
「あのね、きょうは なんだか、
においが まぶしくて、
ぜんぜん ねむれないんだ」
ふくろうの うしろを 見てみると、
ふしぎな 花が ひとつ、
きらきらと 光っています。
すると、
「あれ……なんか……
おいしそう!」
こがねは
ぐっと はなを ちかづけて
ぺろりと
舌を 出したかと おもうと——
ぱくっ!
その花を
たべてしまったのです。
「えっっ!?!?」
「あぁーっ!!」
おこげと ふくろうの こえが、
夜に ひびきました。
そして こがねの おなかが、
ぽわ〜っと
光りはじめたのです。
「うわあ……
すごい……!」
こがねは うっとり。
「まって!
それ、もしかして……」
おこげが とびつこうとした、
そのとき——
こがねは、ぴょーん!
光を まとう
金色の しっぽを
ひらひらさせて、
草むらの むこうへ
かけていってしまいました。
「だめ!
こがね、まって、
まってよー!」
おこげは あわてて
ふくろうを
ふりかえります。
「いこう!」
羽を ひろげて、
ふくろうは
ひとつ まばたきをし、
おこげを 背に
さそいました。
「ありがとう。
あれ?
でも、なんか……
ぼくも
とべるみたい!」
ふわりと かけだした おこげの、
ひだりがわに
すいーっと
ふくろうが ならび、
ふたりは
とびたちました。
よるの そらへ。
こがねの 光を
おいかけて——
少しして、
月あかりが
すこしずつ
くもに
かくれはじめました。
「こがね、
どこまで
いっちゃうのかな……」
おこげの こえが
すこし
ちいさくなって、
みみが
ふるりと
うごきました。
「きっと、
もうすぐ
おいつくよ」
ふくろうが
ちいさな こえで
こたえました。
ふたりは
すこし つかれてきました。
それでも
とびつづけました。
風が
やさしく すれちがい、
森の あいだを
ぬけると……
ぱあっ
ふいに ひらけて、
そこには
光る 丘が
ありました。
まんなかには、
こがねが います。
ぽわ〜っと
金色の おなかを
ひからせて、
うっとりと
そらを
見あげています。
「いた……!」
おこげが
つぶやきました。
こがねの まわりには、
たくさんの
ふしぎな 花が
ひらいています。
しずかな 夜風に
ゆれて、
その花の
ひとつひとつから、
ちいさな 光が
ぽつん……と
生まれていきます。
その光は、
そっと
空に うかび、
やがて
星になって、
またたきはじめました。
森じゅうの 光たちと、
こがねの おなかの 光が、
いっしょに
ゆらゆらと
うごいているようでした。
花から 生まれた
星たちと、
まだ
星に なれない
花たちとが、
いっしょに
うたを うたっているような、
ふしぎで
やさしい
よるの
まんなかでした。
さてさて。
はじめに 見た あの光も、
きっと
まだ 星に なるまえの
花の ひかり
だったのでしょう。
こがねの おなかで
ゆれていた 光も……
大丈夫。
いまは
そらの どこかで
またたいています。
おこげと
ふくろう、
そして
こがね。
あの夜から、
ずっと
なかよしの
さんにんに
なりました。
ふしぎで
やさしい、
よるの
まんなかの こと——
きっと
これからも
ずっと
覚えているでしょう。
おしまい
絵本にできたら
いいなと思いながら。




