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ゆるゆる株式投資物語ー配当と優待が人生を少しだけ変える  作者: 稲毛塔名
高校生編

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4/8

第4話:株投資と株主優待と美玲!?

※本話は【株主優待】の回です

穏やかな朝、俺は学校へ向かっていた。

雲ひとつない青空で、暑いくらいの天気だ。


「よーす、楔」


槇原が横に並んでくる。


「よーす」

「いい天気だな~」

「ちょっと暑いくらいだよ」

「俺らも三年生になったな~」

「そうだな。最高学年だ」


少し間を置いて、槇原がニヤニヤしながら言った。


「なぁ楔」

「なんだよ」

「美玲ちゃんとは、どこまで進んでんの?」


「……ゲホッ、ゲホッ!」


思わず派手にむせた。

口に入れていたミンティアまで吐き出してしまう。


「なんでそんな気になるんだよ!」

「いやさ、美玲ちゃん明るいし可愛いし、運動神経抜群だしさ。まぁ高校生にはよくあるただのひがみだ。気にすんなって」


「……いや、気にするけどな!」

「はっはっはっ」


放課後、俺はいつものようにパソコンルームへ向かった。

目的は株主優待のチェックだ。


株主優待には本当にいろいろある。

飲食店の割引券、飲料や食品の詰め合わせ、生活雑貨――

今は育ちざかりだから、お菓子がもらえる優待も正直ありがたい。


「……最近、みんな美玲との関係を俺より気にしてる気がするな」


「私がどうかした??」


背後から声がして、俺は飛び上がった。


「どうって……って美玲!? いつからいた?」

「よく聞こえなかったから。何て言ってたの?」


「い、いや、なんでもないよ」


ごまかしたその瞬間、美玲はモニターをじっと見つめていた。


「あっ、マックの割引券も優待であるんだ。これあったら、この前のグラコロも安く済んだってこと!?」

「まぁ、そうなるな」

「へぇ~、優待って便利だね~」


「生活雑貨とか日用品の店もあるぞ。ボウリングの無料券とかも」

「いっぱいあるんだね……あ、楔。この張り紙なに?」


「あぁ、それはチャートの研究とか、今見てる株主優待の紹介ページのリンクだよ。見る人は俺くらいだけどな。七不思議に入れてもいいかも」

「たぶんもう入ってると思うよ。今どき珍しいもん、そういうの」


「でも実際、四つか五つくらいしかないんだろ?」

「そうそう。私は正門の謎の銅像が気になるな」


「二宮金次郎像だろ。危ないって理由で撤去が進んでるらしいけど、学園長が“文化的価値がある”って言って、邪魔にならない場所に残したらしい」

「へぇ~。楔、詳しいね~」


「俺は未来人が落とした、株価を記した本のほうが気になるけどな」

「あ~、すごいよね。株価が大きく動いた瞬間が書いてあるんでしょ?」

「ああ。そのタイミングが分かれば、利益を出すのは簡単だって言われてるらしい」


翌日、俺はカフェテリアでシーフードカレーを食べていた。


「ここがガスト経営だったら、優待券で無料になるのかな……」


そんなことを考えながら、スプーンを口に運ぶ。


家に帰ると、今日の夕食は肉じゃがだった。

妹はグリーンピースが嫌いらしく、きれいに端へ避けている。


「ところで楔、今日は学校で何してたんだ?」


父さんが箸を止めて聞いてくる。


「株主優待をPCルームで眺めてたよ」

「寂しいな~(笑)。一人でか?」

「いや、途中から美玲が来た」


「そうか。株主優待のある会社を今のうちに探すのは悪くないな。社会人になると、そういう余裕もなくなるからな」


「父さんは、どんな優待を持ってたの?」

「父さんはな、巨人戦をテレビで観るのが好きだろ? あのとき飲んでたビール、優待でもらったやつだ」

「へぇ~、知らなかった」


「いいか楔。優待も大事だが、それに振り回されると時間だけが過ぎていく。欲しいものがあったら、金額と相談して決断することだ。多少割高でもな」

「うん、分かった」


「そうだ。今度の休み、みんなでアウトレットモールに行こう。楔には洋服屋の割引券をやるから、それで何を買ったか、よかったら教えてくれ」


父さんは、少し嬉しそうにそう言った。


――いつまでも、こんな時間が続けばいい。

俺はふと、そんなことを思った。

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