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ゆるゆる株式投資物語ー配当と優待が人生を少しだけ変える  作者: 稲毛塔名
高校生編

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2/8

第2話:気が重いカフェテリア

※本話は【昼休み/投資詐欺】の回です

俺は今日も休み時間に、ヤフーファイナンスでヤンリオの株価を眺めていた。

キャラクターグッズとテーマパークを運営している会社だ。


そこへ、槇原がやってきた。


「おっすー石動。今日も株見てるの?」


「株価が高いからな。チャート見て、上がるか下がるか予想して、これからの実践に備えようと思って」


「ふーん。俺、株に興味ないからよく分からんけど……でも気をつけろよ」


「何が?」


「二組の谷口、聞いてないのか? あいつ最近学校来てない理由」


「?」


「両親が投資詐欺に引っかかったらしくてさ。学校どころじゃないんだと」


「投資詐欺?」


「“絶対上がる”って証券会社の人に言われた株を買ったら、数日後に上場廃止になるらしい。

 ほとんど価値がなくなったって話だ」


「……」


「まぁ、投資詐欺以外は噂も混じってるだろうから、どこまで本当か分からんけどな」


身近で、こんなことが起きるんだな――と、俺は思った。


神流学園のカフェテリアは豪華だ。

定食、パスタ、ラーメン、カレー、うどん。どれもおいしい。

ただし、大盛りはない。


食べ過ぎると頭が回らなくなるから、程々に――という考え方らしい。

味は申し分なく、文句を言う生徒はいない。


俺はペペロンチーノを注文した。

結構好きなメニューだが、今日はあまり食欲が湧かなかった。


「楔~、一緒に食べよ~」


幼馴染の瀬尾美玲だ。

トレーにはミートソースパスタが載っている。


「ペペロンチーノ好きだね~」


「オイル系は、あっさりしてて好きなんだよ」


美玲の口の周りには、ミートソースがつきまくっていた。


食事が終わったあと、俺はスマホでヤンリオの株価をぼーっと眺めていた。


「その株、いつも見てるよね~。美玲と遊園地行きたいの?」


「まぁ……いつか一緒に行きたい気はするけどな」


「顔、真っ赤だよ楔」


「大人になったら、こんな株価の高いものも、当たり前に扱う世界になるんだなって思って」


「その年でそんなこと考えてるの、楔だけだよ」


「……そうだな」


「どうかしたの? 楔」


俺は、二組の谷口の両親が投資詐欺に遭った話を、美玲に話した。


「あ~、噂になってるね。それ気にしてるの?」


「ちょっと、ドキッとしただけだよ」


「あっはっは。そんなこと?」


「そんなことって……」


美玲は俺をじっと見つめたまま、言った。


「大丈夫だよ。私は、楔が引っかからないって信じてるから」


その言葉が、胸の奥にすっと落ちた。


休み時間ギリギリになり、俺たちは慌てて教室に戻った。


それはそうと、大学部の教授が経済の授業で言っていた。


「大半の日本の株は、明るい」


……当たっていてほしい、と思った。


放課後。

今日の終値のヤンリオ株は、雪崩が起きたかのように急落していた。


夜。

家族で夕食を食べながら、俺と父さんは

『プロ野球戦力外通告』を見ていた。


父さんは、この番組が好きだ。


「なぁ楔。人はどん底に落ちる時もあるけどさ、

 光に救われていく時もあるんだよな」


「……」


「その全部をひっくるめて、人生って形作られていくんじゃないか。

 父さん、これ見てるとそう思うんだ」


俺は、学校で起きたことは何も話していない。

それでも、その言葉が、妙に腑に落ちた気がした。

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