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ゆるゆる株式投資物語ー配当と優待が人生を少しだけ変える  作者: 稲毛塔名
大学生編

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14/30

第13話 ミニ勉強会と株をやらない自由

※本話は【ゆるゆるサークル】の回です

ゼミの講義が終わったあと、俺は槙原たちと一緒に歩きながら話していた。


「今日の経済学の話、渋沢栄一のところ、深かったな」

楔が言うと、槙原が笑う。

「前のめりだったな、石動(笑)」


「講師の話し方がうまいんだよ。気づいたら聞き入ってた」

「でもさ、最近ちょっと過熱気味じゃないか?」

別のやつが言った。

「電車乗っても、歩いてても、株の話ばっかりだろ。ニュース見ても、二番目くらいに必ず株が来るし」


「株主優待だの、株価だの、おすすめ銘柄だの……情報が多すぎて、逆に分からなくなってきてるよな」

「俺は株に興味ないからさ。他のニュースももっと聞きたいんだけど」


「株やらない人向けのニュース番組、作ってほしいよな」


そんな声に、俺は小さくうなずいた。


株以外にも、趣味になることなんていくらでもある。

株一色の世の中じゃなくて、いろんな事柄を扱う世の中になってほしい。


……そう思っている自分が、株をやっているのも、少しだけ可笑しかった。


──────────────────


サークルの時間になり、近況報告が始まった。


「それじゃ、前回お休みしてた舞華君から、軽く報告してもらおうかな」


舞華さんが少し姿勢を正す。

「はい、それでは……」


「特にないなら、言わなくてもいいよ」

そんな声が飛ぶ。


「いえ、大丈夫です。今、ホームセンターの株を買っていて……優待で割引券がもらえるとあったので、保有しています」


「いろんな株があるのに、どうしてそこにしたの?」


舞華さんは一瞬、言葉に詰まった。

「それは……」


「買うタイミングが、たまたま合ったんですよね」


俺がそう言うと、

「え、ええ……」

舞華さんは少しほっとしたようにうなずいた。


「こらこら、何を買ったか詮索しすぎないようにな」

部長が軽く制する。


「じゃあ石動、お前も何かあるか?」


「まだ買ってはいないんですけど……中部圏の私鉄株は、遊園地やホテル、博物館の割引券がたくさん付いてきて、お得ですよね。二百株以上必要なので、ちょっと高くつきますけど」


「中部圏の私鉄株は二百株で冊子がもらえるから、選べる楽しさがあるよな。百貨店の割引も付くし」


そんなやり取りに、場の空気が少し和らぐ。


──────────────────


「じゃあ次。今日のテーマだ。ファンダメンタルズについて」


天竜部長の説明が始まった。

項目は多いが、回復の見込みがある企業を探すこと。

今は赤字でも、決算前に黒字転換しそうな材料を持っているかを見る――そんな話だった。


辰野先輩が手を挙げる。

「僕は、好業績でじわじわ上がっていて、二期連続の企業は検討してもいいと思います。ただ、増配や黒字転換が出てからだと、もうみんな殺到して買いづらいです。PERやPBR、ROEを使って、割安な株を探すのが次の一手じゃないでしょうか?」


「辰野君、データ分析もほどほどになー。当たるとは限らないぞー(笑)」


確かに一理ある。

決算が出てから飛びつくのは遅い。

決算前に、割安で、前年だけ赤字だった企業の中から、黒字になりそうな材料を探す――

それが理想なんだろう。


──────────────────


サークルが終わったあと、舞華さんに呼び止められた。


「この前は……その、迷惑かけたでしょう?」

少し間を置いて、

「それに今日も助けてもらったし……ちゃんとお礼をしたくて」


「いえ、そんな大したことじゃ……」


「いいえ。

“ちゃんと家まで送る”って、簡単そうで、できない人も多いのよ」


一瞬、言葉に詰まった。


「……じゃあ、ご飯でも行きませんか。

あ、嫌なら断っても」


「行くわ」

迷いのない声だった。

「あなたが、どんな店を選ぶのか……興味あるもの」


来週は、楽しいけど。

同時に、選ぶ理由を問われるデートになりそうだった。

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