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想い重なる



あの後、安部さんは周囲の妖や怪異を討伐すると

申し出てくれて、別行動を取っている。

わたし達の命を救ってくれた彼には

本当に感謝しかない。


夜空には無数の星々が煌めき、

あの中にわたしのお父さんとお母さんも

いるのかなって思ったらちょっとだけ切なくなった。


お母さんは最後の最後までお父さんを愛していた。

お父さんだって同じで、

最後まで自分の信念を貫き通した。

だからわたしもそんな2人に憧れて、

誰かを心から愛したいと思うようになった。 


その相手は、小さい頃からずっと一緒の夜月で。


夜月もわたしを大事だと、愛してると言ってくれた。

でも、お父さん、お母さん。

本当にこの選択でいいのかな?


安部さんやおじさんを夜月から引き離してしまうことになった。


夜月の背中を見つめていると思わず口から

ポロッとこぼれ出た。


「夜月は……わたしのこと好きなの?」


自然と歩みが止まり、夜月が振り返った。


「華恋?」


怖い。

大切な人を自分の運命に巻き込むのが。

お父さんと、お母さんみたいに

また失うんじゃないかって思っちゃう。


「好きだよ。心の底から。

……こんな形で()ってごめんな。

小さい頃からずっと華恋が好きだ。

だから、これからもお前を守りたい。

その権利を俺にくれ」


夜月がわたしの両手を優しく包み、

慈愛に満ちた瞳をわたしに向ける。


ずるいよ、そんな顔されたら

怖いなんて言えなくなっちゃう。


「……わたしも夜月が好き」


「そんなこと、もうとっくに分かってる」


どこからか現れた蛍が幻想的に森を照らした。

まるで、世界に2人きり。


夜月のその切れ長の瞳も、高い鼻も、

薄く伸びた唇も、たまに見せる笑顔も大好き。


月と蛍が森を照らす夜に、

ふたつの影が重なり合う。


例え、世界がわたしを拒んでも

夜月だけはわたしを受け入れてくれる。

その事実に温かい涙が零れ落ちた。


たとえ世界が滅んでも

たとえどんな困難が待ち受けていようと

わたしはこの恋を手放さない。


ずるくてごめんね。


「ずっと一緒にいてくれる?」


「あぁ、もちろんだ。

だから一緒に行こう」


差し伸べられた手を取り、

わたし達は虹色の光に向かって歩いて行く。


さよなら、人間界。

わたしは愛する人と一緒に生きていきます。

新しい世界で生きて行くのは怖いけど、

夜月と一緒なら大丈夫だって

そう思えるんだ。


だからしばらくの間、バイバイ。

わたしは幸せな笑顔を浮かべた。




(終わり)

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